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景気ってそもそもなに?景気動向指数とは?【ニュースでよく聞く政治・経済キーワードをわかりやすく解説!②】

こんにちはしんです。

首都圏では緊急事態宣言の延長がありましたね。ですが一気に人出が増えた気もします。いつもは空いているお気に入りのカフェに行列ができていて少し驚きました。

今日は「景気」についてお話しさせていただきたいと思います。

「最近ニュースに興味を持った学生さん」や「景気の判断軸について興味のある社会人の方」、「投資の判断材料を勉強したい投資家のみなさん」にぜひ読んでいただきたいと思います。

1.「景気」とはそもそも何?

ニュースを見ていると「コロナによる景気への影響が…」「景気刺激策の法案が…」など、「景気」というワードをよく聞きますよね。

ぼんやりとした「景気」のイメージはつきますが、景気とは何か聞かれると困ってしまう方も多いのではないでしょうか。

辞書には、景気とは「売買や取引などに現れる経済活動の状況。特に、経済活動が活気を帯びていること。好景気。」と記載されております。(曖昧…)

「景気」とは経済活動の状況を表す言葉で、ものの売り買いや取り引きの状況によって判断されるということですね。

ものがたくさん売り買いされ、企業間や個人間の取引が活発な状態のことを「好景気」と言います。「好況」「景気拡大期」も同じ意味です。

「好景気」の時は、ものがたくさん売れる→企業が儲かる→給料が上がる→ものがたくさん売れるという「景気の好循環」が生まれます。

一方で「不景気」とは、ものの売り買いがあまり行われず、経済活動が停滞している状態のことです。「不況」「景気後退期」とも言われます。

「不景気」だと、ものが売れない→企業が儲からない→給料が下がる→ものが売れないという「景気の悪循環」が生まれてしまいます。

政府はこの悪循環を防ぐために、様々な取り組みをすることになります。昨年の特別定額給付金の施策もその一環でしたが、皆さんはもらった10万円はどのように使いましたか?今後の生活がどうなるか分からない不安から貯蓄に回した方も多いのではないでしょうか。意外と景気とは私たち一人一人の持つ、将来の漠然としたイメージに影響されることも多いんですよね。

また景気は良い時と悪い時が大きな波のように繰り返しやってくるので、「山」「谷」と表現したり、「天井」「底」と表現することもあります。

ここまで景気とは何かについて説明してまいりました。それでは「景気」の良し悪しはだれがどのように判断しているのでしょうか。

2.「景気」の判断はどのようにされている?

「景気」の判断は非常に難しく、後になってみないとわからないとも言われております。数字に表れない「将来への不安」などをどう定量化するかも非常に難しそうですよね。

そのため景気を判断するためには様々な指標を組み合わせて判断する必要がありますし、国も様々なデータを発表しております。下記にて代表的な指標を3つご紹介します。

3.月例経済報告

月例経済報告とは、日本政府が毎月出している報告書のことで、景気に関する政府の公式見解を示すものになります。景気動向指数(のちほど説明します)や、そのほかの様々な指標や動向、見通しが総合的に考慮されます。データをもとに政府が出す公式見解ですので、政府の裁量の余地があるものになります。

それでは最新の月例経済報告を見てみましょう。

令和3年2月の発表は以下になります。

(フォントがださ…※個人の感想)

景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然と
して厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いている
ものの、一部に弱さがみられる。
」とのことです。

結局良いの悪いのどっち!?というのが私の正直な感想ですね。前述したとおり、景気の判断をリアルタイムに行うのは非常に難しく、このような曖昧な表記となるわけですね。政府の人も「んんん…何とも言えん」という状態なのかもしれませんね。

ちなみにこの景気判断の答え合わせは数年に一度開かれる「景気動向指数研究会」という有識者も含めた組織にて行われます。

4.景気動向指数

景気の方向感を示す代表的な指標の一つに「景気動向指数」というものがあります。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されおり、より定量的に景気の現状を測れます。

景気動向指数にはコンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。CIは構成する指標の動きを合わせることで、景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定します。DIは構成する指標のうち、改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定しています。

また、「景気動向指数」は景気に対し先行して動く「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」の3つの指数に分類されます。30項目の指標についても3つに分類されます。例えば以下になります。

・先行指数:新規求人数(除学卒)、東証株価指数など

・一致指数:営業利益(全産業)、有効求人倍率(除学卒)など

・遅行指数:家計消費支出(前年同月比)、完全失業率など

現時点での最新のデータは下記のようです。(3月8日毎日新聞)

1月景気動向指数 3.5ポイント上昇 5カ月ぶり上方修正 内閣府が8日発表した1月の景気動向指数(2015年=100、速報値)は、景気の現状を示す「一致指数」が前月比3.5ポイント上昇の91.7だった。これを受け、基調判断は景気が数カ月前に底入れしたことを示す「上方への局面変化」とし、5カ月ぶりに上方修正した。前月までは「下げ止まり」だった。

景気は上向いているものの、2015年に比較すると良いとは言えないという状況ですかね。一つ一つのデータが非常に面白く分析心をくすぐる内容になるのでご興味のある方はご覧ください。

5.景気ウォッチャー指数

景気ウォッチャー指数」とは、各地の景気の動きを身近に観察できる方の協力をもとに内閣府が毎月発表しているものになります。スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析しています。

現状を表す、「現状判断DI」と、2,3か月先を表す「先行き判断DI」を部門別に発表しており、50の数値を基準に判断されます。

最新の内容(2021年2月調査結果)もリンクを張っておきますのでよかったらご確認ください。

またこの調査の面白いところは、各インタビューの自由項目も発表される点になります。よりリアルで定性的な景気動向がつかめるので、投資家にとっても非常に参考になりますね。

自由記入欄の項目では例えばこんな声がありました。

家の中や近場でできる娯楽が主となっており、食を中心とした需要がある。食品の物産催事やバレンタインの企画等は高額品から品薄となり、自分への御褒美需要が顕著にみられる(北陸=百貨店)

外出ができず余ったお金の使い道やストレスの発散先として高価な嗜好品の売り上げが好調になっていると予想されますね、面白い。

6.まとめ

ここまで景気を判断する3つの指数についてまとめてきました。特徴をまとめると以下になります。

・月例経済報告:日本政府の総合判断

・景気動向指数:定量的な景気動向

・景気ウォッチャー指数:定性的な景気動向

これらの指数は毎月発表されますので、毎月目を通していくだけで、景気をより具体的に、立体的に理解できると思います。

慣れてきたら、景気動向指数を形成する30指標について、それぞれ傾向を勉強してみても面白いと思います。私は人材業界で働いているので、「新規求人倍率」「有効求人倍率」などは欠かさずチェックしているほか、投資家として「東証株価指数」「消費者物価指数」などもよく見ています。

また、各報道の解釈を比較したり、数字の傾向から自分なりの解釈をしてみたりすることで、情報リテラシーを強化するとても良い題材になると思います。

ぜひ今後も景気についての勉強を進めてみてください!










・月例経済報告(内閣府)https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2021/0219getsurei/main.pdf

・1月景気動向指数 3.5ポイント上昇 5カ月ぶり上方修正(毎日新聞3月8日)

https://news.yahoo.co.jp/articles/ad0a01da59adfd1af0d9fe37db656ad5ba491cd0


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