ノーベル賞増やしたいなら交付金に軸足

前から言うてるやん!ノーベル賞受賞者たちもずっと言うてたやん!ようやくデータとして出てきたか。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC19BFD0Z10C23A9000000/?n_cid=SNSTW005

私は年70万の研究費(交付金)を確実に分配してもらえていたから、学会でも注目して頂ける2つの成果を出せた。競争的資金が来るようになったのはその後。もし、今みたいに交付金が少ない状況で成果を出せと言われたら無理だった。

また、変に多額の予算(競争的資金)が来ても、3年内に成果を出さなきゃいけないという焦りから、中途半端な研究成果を出すのが忙しくて、ろくな研究できなかったろう。問答無用に毎年70万の研究予算が来たから、大胆な研究ができた。

本当は年100〜200万あるといいな、と思ってはいた。それならもっと研究を加速できたのに、という思いはあった。70万はちと足りなかった。
では500万ならどうだったかというと、新人の頃は要らなかった。私の場合、200万で十分だった。

最初の研究成果が出たとき、とあるところから「600万の研究費を支給する」と言われた。「なんか成果が出たということにしてくれればそれで十分」と。私は断った。もうすでに秋。600万来ても使い切れない。どうでもよいものを買わないと使い切れない。そんなお金のムダ遣いはしたくなかった。

この予算をもらっておいたら翌年から予算が安定的にもらえる、なんてことも匂わせられたけど、断った。お金のムダ遣いはしたくない。与えられた条件で最大のパフォーマンスを出したいと思っていた。
結果、その後も何年か、予算不足で苦しむことになったけど。

分野にもよるけど、年100万安定的にもらえたら成果を出しやすい研究者は多いと思う。私も、毎年200万もらえるなら、競争的資金は申請しないと思う。十分に、そして大胆な研究がそれで可能になるからだ。

たまに高額な機械を購入する予算が欲しくなるだろうけど(故障もするから)、研究費は年200万あれば、私は十分。
今はあまりに研究予算が少なすぎて、競争的資金がないとやってけない。競争的資金だと短期で成果出さなきゃいけないから、人を雇えるくらいの多額の予算を要求しなきゃいけないハメになる。

人を雇った途端に事務仕事が激増し、自分で手を動かして研究する時間がなくなる。余計に人が必要になり、雇うための多額の予算が必要となる。
私は今、6人のスタッフを雇って仕事をしている。この人たちの雇用を守るため、短期間に成果を出すため、多額の予算を必要としてしまっている。しかし。

本当は自分で手を動かして実験したい。競争的資金をもらうと「計画通りの」成果を出さなきゃいけないから、計画にない実験ができなくなる。しかし研究していると面白い現象に出会うことがある。その脇道に進んだ方が面白い成果が出るものなのに、脇道を進むゆとりが競争的資金にはない。

年200万の予算があれば、もっと大胆極まりない研究ができるのに!あともう一個くらい大きな研究成果を出してやるのに!と思う。
競争的資金は、お金に使われる感じがあって、本来の研究者の大胆さを引き出せないように思う。改革を早めて頂きたい。

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