農協批判の裏に何がある?

昨今、農業関連の言論では農協批判がかまびすしい。私が親しくさせてもらってる方もずいぶん厳しく批判しておられる。しかし私はそこから一歩引いて見ている。農協がダメになったら誰が一番喜ぶのだろう?と考えると、おいそれと同調する気が失われるからだ。

イギリスやアメリカは、次の時代の支配者になるために、金融を強化している。まるでヒルファディング「金融資本論」のよう。まあ、この本では銀行が中心で、今の米英は株式市場だけど。金融で儲け、金融で世界を支配する、そんな世界戦略を持っているように感じる。そしてそれはかなり成功している。

そうした世界戦略の中で、日本の農協というのは思う通りにならない存在。米英の白人中心な世界と違い、黄色人種が持つ巨大マネー。米英もずいぶん人種問題では理解を示す様にはなったが、差別主義者はどうしても一定数いるだろうと考えた場合、農協は気に入らない存在だと思う。

もしそうした人達が、日本の友人に言葉巧みに、農協批判をしかけるようにそそのかしたら。そしてその友人も農協が面白くないと思っている人だとしたら、うまくそそのかされるかも。今の激しい農協批判には、そうした変な応援団がいるんじゃないか、という気が少ししてる。知らんけど。

なぜそう感じるかと言うと、当の農協を利用している農家から、さほど厳しい意見を聞かないから。しかも私が話を聞く農家は、かなり大規模に経営を展開してるやり手農家。農協批判者がよく引き合いに出す「小規模農家ばかり守る」というのとは対象外の人達。その人達が、農協にそんなに批判的でない。

農協批判者たちにそうしたやり手農家は「そうした面もあるけれど」と、批判を否定することはない。そうした面があるのは事実。けれど、いい面もたくさんある、ということを指摘する。「どんな組織も理想的とは言えないでしょ、だめなところばかり批判するのはフェアじゃない」と言う。

弱小農家だけを守る、という農協批判は、もしかしたら二十年前ならあてはまるところがあったかもしれない。しかしもうかなり前に方針転換してる。なのにいつまでも過去のイメージで批判するのはフェアじゃない、という指摘はその通り。なのに昨今流行る農協批判は、使える批判をすべて総動員。

なぜそこまで農協を憎悪するのか?なんか恨みがあるのか?それとも、農協を一緒に批判し、解体しようとそそのかす誰かがいるのか?農協批判はどれも似通っていて、そしてどうもバランスが悪い。なんか裏でもないと説明がつかない、と直感的に感じる。根拠は違和感でしかないから、「知らんけど」。

とりあえず、農協という巨大マネーが機能しなくなれば、誰が一番喜ぶかといえば、米英の金融支配を世界戦略として考える人たちじゃないかな、と思う。自分たちと違って黄色いサルが米英の金融を左右することがあるのは、米英に一部いるであろう差別主義者からしたら面白くないだろうと思う。

「史記」や「戦国策」、「春秋左氏伝」を読むと、敵の強みをいかに自壊させるかという企みが当たり前のように出てくる。
有能な老将軍が出てくると厄介、と考えた敵国が、「老将軍は年老いて恐るるに足りぬ、けれどその息子は軍事の天才だから将軍になるのを恐れている」とウワサを流した。

すると、そのウワサを真に受けたその国は、息子を将軍にした。父親である老将は反対した。「息子は机の上での戦術は巧みですが、現場はそんなものではない。必ずや我が国を危機に陥れるでしょう。もし息子を将軍にするなら、たとえ負けても我々一族を罰さないとお約束下さい」と君主に要求。

果たして、息子将軍はリクツだけで軍を動かし、敵国に大敗した、という話がある。

私は、世界は協調すべきだと考えているし、米英にもそうした考え方をする人が多いのも知っている。しかし世界は騙し合いであり、自国の優位を固めるのが世界戦略だと考えている人たちも一定数いる。

農協という巨大マネーは、そうした人達から見れば目の上のタンコブ。これを解体したいと思えば、農協を面白くないと考える人たちに吹き込んだりする企みをしても不思議ではない。史書や兵法書は、当然そういうことがあると考えて国家運営するようにと教えてくれる。

そう考えると、農協の巨大マネーは、日本に残された数少ない強みとも言える。米英の一部勢力から嫌がられるくらいの強み。この強みを本当に自ら否定してよいのか?むしろその強みをカードにして、米英との交渉を有利に運ぶ腹芸が日本政府には求められるのではないか。

農協を悪の権化のように批判すること、そしてその批判にまんまと乗せられることは、老将軍を前線から引き離した敵国の戦略にまんまと乗せられるのに似ていないか。私は、農協批判に乗っかるのは、そうした理屈を考えると、非常に慎重にならざるを得ない。

私はむしろ、農協の巨大マネーを日本の強みの一つとして活かす戦略を立てるべきだと思う。批判に安易に乗っかって解体した場合、誰が一番喜ぶか、慎重に考えるべきだと思う。間違いなく、日本の強みの一つを日本自ら破壊することになる。日本を面白くないと考える国は、きっと。

「自分の強みを自分で潰した。愚かな国だ」と、内々にせせら笑うことだろう。表向きは「旧態依然とした既得権益層を破壊する日本の英断に敬意を評する」とか言って。
人間は残念ながら、そうした薄汚い面がある。だから、それらは歴史から得た知恵で封じ込める必要がある。

農協の巨大マネーは善用すべき。日本が今後も強みを発揮する上での重要なカードの一つとすべきだろう。そうすることで、日本の弱体化を内心期待している人たちの期待をいい意味で裏切っていく必要がある。
安易に農協批判に乗っかることは、少し慎重を期した方がよいように思う。

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