小学校算数のアヤフヤを消す

公立中学で学年最下位水準だった子どもを4人みたけれど。みな、中学の内容を終えることができ、高校の授業にもついていけるようになった。それはなぜかと言うと、小学校の内容からやり直したから。中には分数どころか九九もあやしい子がいたけれど、やり直したら習得できた。

たぶんなんだけど、それを習った当時は、それを受けとめるだけの体験が不足していたのだと思う。九九を習った時には、足し算をさんざんやって、2を二回足したら4、三回足したら6、のような蓄積がないと、九九はなかなか身につかない。

分数を習う時には、ケーキを8人で分けたり、ピザを6人で分けたり、おやつを3人で分けたり、という体験が十分蓄積していないと、何を言ってるのか分からない。分数を習った時に「体験ネットワーク」の準備が整っていなければ、分数の内容を受けとめようがない。

しかし。九九や分数を小学校で習ったときには受けとめようがなかった子も、中学生や高校生ともなると、友達付き合いなどでそれなりに経験を積むことができ始めているので、九九は容易に習得できるし、分数は紙のピザをいろいろ切ってやってるうちに「あ、なんだ、こんなことか」と理解できる。

その子にとって、分数などを体得するには、少し年齢が上にならないといけなかった、というだけのこと。そして面白いことに、小学校の内容をきっちり習得できると、中学校の内容も理解できる。もちろん、ウンウン言いながらだけど。小学校の内容は体感が必要で、数学理解の基礎であるらしい。

小学校の内容でしっかり復習する必要があるのは、算数のみ。小学校の算数は本当に重要で、ここで欠落があると、中学校の数学は理解できない。ましてや高校の数学なんかチンプンカンプン。侮りがたし小学校の算数。私は中学校の時二回復習し、高校生の時も一度復習した。意外に抜け落ちが見つかる。

しかし、小学校の算数の内容をしっかり終えると、中学校の数学は理解可能になる。時間かかった子でも、一年ほどで総ざらいできる。中学数学が総ざらいできたら、高校の内容もついていける。

私の指導体験だと、公立中学の定期試験で数学が90点以下なら、小学校の内容を一度復習した方がよい。意外な抜け落ちがある可能性がある。それを放置すると成績が伸びづらい。高校になったらなおさら。

まあまあ成績がよい(定期テストで80点くらい)のに成績がイマイチ伸びきらない、という高校生の場合、小学校ないし中学校の内容でどこか抜け落ちがある。ところがこういう生徒は、抜け落ちを探す方法を知らないことがある。難しい問題集や参考書ばかりやって、教科書を見ないタイプ。

抜け落ちを探すには、教科書が最適。私自身は中学・高校とも啓林館の教科書で、教えていた生徒もみな啓林館だったので、教科書で抜け落ちがないか復習させていた。成績が結構よい高校生でも、中学の内容で欠落がよく見つかる。そのままにすると成績は伸びきらない。

私は高校生になってから、小学校の内容は一回、中学校の内容は少なくとも五回以上は復習したように思う。欠落がなくなると、とたんに高校の内容も習得しやすくなる。算数や数学は基礎から積み上げていく学問なので、抜け落ちがないようにすることが大切。

小学校で習うのに、大学受験でも出てきて、欠落があると解けないものに、面積や体積の求め方がある。台形の面積の求め方とか、円錐や三角錐の体積の求め方、忘れてる高校生が結構いる。時々思い出せて解けることもある、という生徒は、知識がアヤフヤである自覚がなかったりする。

アヤフヤなところをなくさないと、自分が何を分かっていて、何が分からないのかが分からない。復習しているとき「本当に自分は分かってるだろうか?」と問いかけつつアヤフヤを消していく作業が必要。これをしっかり、小学校の内容から復習してやっとくと、高校の数学もついていけると思う。

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