八方美人でもえこひいきでもない、「公平な偏愛」

(患者と親しくなったら、その患者だけ特別扱いしていると批判され、それ以来寄り添った医療ができなくなったという意見に対し)
お役に立つかわかりませんが。私はある職員から、泣きながら相談されたことがあります。「八方美人だと悪口言われた。私にはそんなつもりはなく、誰とでも仲良くしたいだけなのに。」
他方、えこひいきが過ぎると批判されていた人からも相談を受けていました。
どうしたらよいのか、私も悩みました。

NHK教育の番組をなんとなく見ていたとき、「公平な偏愛」という言葉に出会いました。「これだ!」と思いました。それからは悩みが解消しました。
「公平な偏愛」とは何か。それを理解するには、コシノ三姉妹の母親のエピソードがわかりやすいかと存じます。

朝ドラ「カーネーション」の主人公でもあるその母親は仕事大好き人間で、仕事の時間を確保するために子どもたちを習い事に出しまくっていたそうです。それでいて、いざ子どもに何かがあったら、仕事も他の子のことも全部意識から外して、目の前の子どものことに全集中したそうです。その全集中をどの子にも。

八方美人と呼ばれるときって、目の前の人のことに集中せず、他の人の眼を気にしていたりします。他方、えこひいきと呼ばれる人は、えこひいきの対象の人のこと以外は無視、軽視です。前者は「偏愛」が欠け、後者は「公平」を欠いています。

公平な偏愛は、目の前の子のことに全集中します。他のことを全て忘れて、目の前の子にすべての意識を集中する。そうした「偏愛」を、どの子にも。これを、コシノ三姉妹の母親はやっていたそうです。一人ひとりに与えられた「偏愛」の時間は短くとも、その偏愛を受けたことで、

自分が愛されていることを全く疑わなかったそうです。その偏愛を三姉妹のどの子にも注いだので、誰も不公平感を持たなかったそうです。
「公平な偏愛」は、子育てだけでなく、人間関係でとても大切なことのように思います。

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