新商品を開発し続けるワケ

昔、冷凍食品のメーカーの方から、なんで新商品を次々投入するのか聞いたことがある。たいがい旧来商品よりマズイしキテレツなものが多いのが不思議で。
「旧来商品の良さを再認識してもらうためだよ。バラエティ豊かな新商品のおかげでオーソドックスな旧来商品が売れ続ける」と聞いて目からウロコだった。

野球でもそれが言えるかもしれない。もしプロ野球選手が「ライバル減らそう」として高校野球とか草野球ができないよう法改正に動いたとしたら、プロ野球のファンも同時にいなくなるだろう。プロになれないアマチュアの厚みがあるからプロはたくさんのファンを獲得できる。

これもそうだな、と思う。
「「売れる作家が市場の経済を支え、売れない作家がコンテンツの豊かさを支えている。両方ないと死ぬんです」選択と集中だけではいけない」
なるほどな、と。
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弟は作陶家だけど、陶芸を趣味とする陶芸ファンの厚みがあるから生活ができる。
絵もそんなところがあるだろう。裾野が広いから山は高くそびえることができる。裾野のない山は崩れる。

裾野の広さが、新機軸をも生む。狩野派全盛の時代に、オドロオドロしいとも言える曾我蕭白が生まれ、絵の世界に厚みを加えている。イノベーションも厚みから生まれる。選択と集中ではかえって産業の縮小を招く。

あれ?もしかしたら、食品ロスの一因?売れない新商品を投入することの食品ロスでの割合って、誰か調査してくれないかな。流通を研究してる学生さん、卒論にいかが?博士論文にもなりそうなテーマ。

定番商品ばかりの世界って、つまらないだろうな。昔、改革開放前の中国って、人民服ばかりで、やっぱりオシャレしたい人たちの潜在的不服の原因だったみたい。

昔、「世界一受けたい授業」で「人間は不自然が大好き」と言う講師がいて、反発したことがある。ルソーだって自然に還れと言ったし、それはないんじゃないの?と。
でも考えれば考えるほど、人間はやっぱり不自然なもの、キテレツなものが好き。それがないとスタンダードも成り立たない。

不自然なもの、キテレツなものに目を惹かれるという人間の特性、だからこそオーソドックスが見直されるという不思議な特性、こうした現実を見据えて経済システムを構築しなきゃいけない。手綱さばきは難しい。

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