役所のデジタル化がヘタクソな理由についての仮説

これまでの役所のデジタル化って、「完成されたシステム」を納品させるという、モノ作りの時代の発想だったから、不断のアップデートという概念がなく、不具合があってもどうにか当て布するだけでろくに改善されなかった。デジタル化には、不断のアップデートという考え方が必要。

作ってみては、現場の声を聞き、改善。改善しては、現場の声を聞く。現場からは「もっとこうすると便利」という声を上げてもらい、それを現実化する。こうしたアップデートを繰り返すことでより使いやすく、より便利なものに仕上げていく。

役所が発注するシステムは、だいたい現場の声をろくに聞かないで作っているので、現場は慣れるのに時間がかかり、改善の声を上げる余裕さえない。慣れてきて欠点が見えてきた頃には、ろくに修正されなくなる。使い勝手の悪いシステムをしばらく使うハメに。

新たなシステムを導入するときは、根底から全然違うモノが納品される。使い勝手も変わってしまい、また慣れるのにアタフタ。アップデートするのに向いてないやり方。現場の声をシステム改善に反映させやすい「アップデート」の発想がほしい。

なぜアップデートがしにくいのか。たぶん、年度会計が影響してる。今年度の予算で支払える間に「完成されたシステム」を納品してもらわないと困る、という発注方法に縛られ、そのためにシステムを作る側も年度内にやっつけ仕事で作るしかないから、不出来なものができやすい。

アップデートを可能にするため、毎年度、決まった額を「アップデート」に予算計上する必要があるように思う。やや大きな改変が必要な時は別途予算計上するけど、根底からシステム作り直すような、これまでの経験蓄積をぜんぶ放棄するようなやり方はよくない。

アップデート思想を役所にうまく導入できないと、デジタル化はうまくいかないように思う。予算計上のしかたも変わらないと。そうでなければ、何年かごとに毎回、使いにくいシステムが導入されて現場が悲鳴上げる愚かなことが繰り返されるように思う。

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