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シンデレラ製品事例 生産財編 機械加工その2

― N社の事例 ―
赤字続きの町工場を引き継いだ3代目社長は、経営立て直しを図るために人員に手をつけず赤字製品を整理していきました。
その中で、利益が出ていて売り上げが右肩上がりの製品が1つだけありました。
それが「ナンバーディスプレイ」です。
そこで次に、買ってくれている顧客を訪問して尋ねたところ、おおよその使い方は想定していましたが、詳細用途や、効用が明確になりました。
美容院や飲食店にて、モニターと繋ぐことで、顧客情報をモニターに表示でき、迅速で丁寧な顧客対応に効果を発揮しているとの事でした。
使用されている用途の使いやすさを高めるために、パソコンなどとの接続方法を改善しました。
具体的には、ケーブルからUSB接続に変更することで、簡単に接続できるようになりました。
つまり、強みを高める活動です。
販売もテコ入れして、使い勝手の良い、検索されやすいウェブサイトにすることで、現在では売上が飛躍的に伸びました。
【ポイント】
・黒字で売り上げが伸びている製品を見つけ出した。
・使用している会社に行って、用途を確認した。
・使用しやすくするために接続方法を改良し、販売方法も改善した。
(『ドラッカーを読んだら会社が変わった!日本企業による実践の教科書』 佐藤等著 日経BP社より)

― K社の事例 ―
K社長は3代目。リーマンショックで売上が激減していました。
それまで営業は御用聞き程度とバカにしていましたが、経営者になってその重要性を再認識され、顧客訪問を開始したそうです。

自社でできるもの、加工したサンプルをアタッシュケースに入れて、たくさんの会社を訪問して、説明する毎日を送っていました。
複数の会社に説明していくと、「ハードターニング」という焼き入れした鋼への切削加工への関心が高いことに気づいたそうです。
それからは「ハードターニング」を前面に出して、企業へのPRを始めました。
そして、ダーツの部品加工依頼があり、タングステン合金(切削加工しやすいようにタングステン以外の金属を微量含む)を加工するようになりました。

その後、大口の純タングステンの切削加工の問い合わせがあったそうです。
加工しやすいタングステン合金と勘違いして、「簡単です、問題ありませんと」即答し、大量の注文が来ました。純タングステンは、非常に加工しにくく、タングステンメーカーでも切削でなく、研削加工(砥石で加工する方法、切削加工に比べると時間がかかりコスト増となる)するのが常識でした。
試行錯誤の繰り返し、切削工具・加工方法・その他の改善を行うこと半年、ようやく純タングステンの切削加工ハードターニングの技術を確立しました。
それから、タングステンだけでなく、モリブデンやその他の加工しにくい金属の切削加工にも展開していきました。
展示会に出展して、国内外より多くの問い合わせが殺到。今では海外進出を果たされています。
【ポイント】
・顧客への説明の中から、ハードターニングに需要があることを確認。
・顧客に聞き続けることで、その価値を確認。
・純タングステンという加工しにくい材料を加工できるまでの強みを高める。


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