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「これは僕に託されたんや」仕事の捉え方を変えた、運命の出会い

新生都市開発株式会社 代表取締役の永尾です。

私は20年以上にわたり、退去交渉を伴う不動産事業に携わってきました。こうしてキャリアをお伝えすると、脇目も振らず突き進んできたように思われますが、ときに迷いが生じたこともあります。そこで今回は、過去に訪れたターニングポイントについて、お話しさせてください。


尊敬する大先輩から得た、自信と仕事の楽しさ

前々回のnoteでは、私が退去交渉の仕事に巡り会った経緯をご紹介しました。「この仕事を極めたい」と直感した私は、より退去交渉に特化した会社へと転職し、仕事の面白さにのめり込んでいったのです。しかし、職場環境はお世辞にもいいとは言えず、逆境とも言える環境。それでも弱音は一切吐かず、ただただ耐え忍んでいました。「自分が限界を迎えるまでがんばろう」と、丸2年努力し続けたのです。

そんなある日、尊敬していた先輩社員と一緒に仕事をするチャンスに恵まれました。その方は10年以上も東京エリアの支店長を務めていた人で、当時24〜25歳の若造だった自分にとっては雲の上のような存在。業務に同行するようになってまもなく、「この人はほかの先輩社員とは違う…!」と実感するようになりました。

たとえば、一件ごとに交渉が終わると、その先輩社員は「永尾くんのあの話し方は良かった」「こんな風に感じた」と的確なフィードバックをくれました。また、失敗したときには、「どうすればもっといい方向に話を展開できたと思う?」とキャリアの浅い自分の意見を聞いてくれ、「それはいいアイディアだね」「その判断ではまだまだだな」など、率直な意見を投げかけてくれたのです。

当時、周囲にいた先輩方は、年功序列文化を盾にして、若手の意見をなかなか聞き入れてくれませんでした。ですが、その先輩社員は「いいものはいい、悪いものは悪い」とフェアに判断してくれたのです。その方がフラットなスタンスで私の考えを聞いてくれ、ときに肯定してくれたおかげで、私は徐々に自信がついていきました。その人がいなければ、もしかしたら楽しむことを理解せぬまま、仕事を辞めていたかもしれません。

しかし、そんな充実感溢れる日々は、長くは続きませんでした。


「申し訳が立たない」亡き先輩への想い

ある朝、出社して就業準備を整えていると、耳を疑う一報が入ってきました。それは、尊敬する先輩社員が亡くなった、という訃報でした。先輩は私にとってあまりにも大きな存在になっていたため、事実を知った瞬間は頭が真っ白になりました。

そんな茫然自失の私の肩を叩いたのは別の上司で、「あいつが担当していた案件を引き継いでくれ」とあるリストを手渡されたのです。そこには目を見張るほどの数の物件が掲載されていました。リストを目で追ううちに、私の心のなかには沸々とした感情が湧き上がってきました。

「これは僕に託されたんや。終わらさんと申し訳が立たん…!」

リストを握る手には力が込もり、身の引き締まる想いがしたのを覚えています。その後、案件を引き継いだ私は、先輩社員と同行していた頃のように自分なりに考えを深め、結果を出す方法を編み出していきました。ときには「先輩だったらどうやって交渉を進めただろうか」と思いを馳せ、試行錯誤を重ねた経験が、さらなる自信へと繋がっていったのです。


みんなの会社だからこそ、パートナーの意見を100%尊重する

その後、図らずも私は不動産事業を創業することになりました。創業2年目からはパートナー(社員)を迎え入れて事業を行っていますが、経営する上で大切にしていることがあります。それは、「パートナーの意見を100%尊重する」ことです。

私はこれまで、パートナーと衝突したことがありません。「間違っていることがあるなら、社長にもっと意見して欲しい」と言われてしまうくらいです(笑)ここまで徹底して意見を尊重する姿勢でいるのは、担当であるパートナーの思い描く方向性を邪魔したくないからです。

たとえ失敗したとしても、あるいは高確率で失敗するとわかっていても、まずは担当者の思うようにやってみたらいい。失敗から学び、全力で修正する過程が糧になることを、私は身をもって知っているからです。かつて尊敬する先輩社員にしてもらったことを、今度は自分がパートナー全員に向けて行っています。

さらに、私がパートナーを迎え入れた大きな理由は、「一人で事業を行ってもつまらなかったから」です。人が多く関われば関わるほど、職場環境や金銭面などで、大変な部分は出てきます。しかし、それらの要素を差し引いても、パートナーと一緒に、価値観の違いを楽しみながら仕事に取り組む面白さの方が、遥かに勝っていると感じています。


私が今日まで不動産事業を継続できているのは、尊敬する先輩社員とビジョンの実現を目指す仲間に出会えたからです。会社の代表は僕ですが、新生都市開発はあくまでもみんなの会社。これからも、「パートナーたちが共感できるような会社であり続けたい」と心から願っています。

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