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冬のメンタルを徹底解剖。冬季うつについて

最近の気圧上昇はシベリア高気圧の影響によるものでめちゃくちゃ冷たい乾燥した空気が流れ込んでくる。いわるゆ西高東低『冬型の気圧配置』ってやつです。この冷たい空気にさらされていると体温を保持する熱エネルギーを産生しなくてはいけないため人間は生きているだけで体力を消耗します。また冷え性・風邪やインフルエンザなどのウィルス感染・しもやけや乾燥などの肌トラブルが増えてきますし、看護師妻と2人で配信しているstand.fmでも血圧上昇・大動脈解離などの重篤な血管系トラブルも冬になると急増するそうです。ちなみに雪国出身の看護師妻は冬が嫌いだとのこと。

という器質的なトラブルも含めて冬ってのは体調に気をつけないといけないわけですが、ここ数年急増しているのがウィンターブルーいわゆる「冬季うつ」です。今回はこの冬季うつがなぜ起きるのか?を西洋医学/中医学両面から徹底解剖してみます。それではいってみましょーーー!←敬愛する古賀アニキのYouTube風


①そもそも冬季うつとは何ぞや?

1980年代に報告がされている季節性感情障害(SAD)の一種で秋から冬にかけてうつ症状が現れて春になると改善するという特徴があります。明らかな心理的ストレスやイベントなどに起因するものではないということも診断の基準に入ります。湧永製薬のホームページからよく見られる症状を転記します↓

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上記の症状の中でも「思考がうまく進まない」「倦怠感がある」といった感覚や過眠・過食・体重増加といった身体的症状を伴うのが一般的な「うつ」との違いになります。

②西洋医学的にみた冬季うつの原因

日照時間の短い緯度の高い地域=北国や北欧で発症率が高く緯度の低い南国に旅行に行くと改善するというデータもあることから日照時間が影響しているというのが主な理由と考えられています。

日照時間が短くなることで起こる影響は以下の通り↓

*ATP産生量が低下しエネルギー不足を起こす。だるさ・冷え・倦怠感。

*セロトニン活性も低下するためメンタルも不安定に。食欲のバランスも乱れる。

*さらにメラトニン産生量も低下するので睡眠の質が低下。

他にも「日光を浴びる」ことで生成されるのがビタミンDで骨格を丈夫にしたり筋肉の収縮を正常に保ったり免疫力にも影響が出ます。

③中医学的にみた冬季うつの原因

中医学においても「冬」はメンタルに影響し冬季うつの症状につながります。身体の中で熱を生み出し生命活動を活発にする「気」は腎で生成されます。これは寒さを凌ぐために薪を焚べて温めるようにしているようなものでこの働きによって身体に陽気が充満して気持ちも身体も健康に保てるようになります。

外気温が下がっている冬は生きているだけでエネルギーが多量に必要な状態なので無理したり冷たい物を摂り過ぎたりしないようにすることが大切。また冬季うつの症状に過眠とありますが自然の摂理に合わせると日照時間が短い冬は「早寝遅起き」が身体に合っています。まさに「冬は閉蔵」なのです。

④冬のメンタルの特徴

さてここで自律神経からみた冬のメンタルの特徴はどうでしょうか?

心も身体も開放的に過ごせる夏に交感神経が優位になる!と思われがちなのですが実は冬の方が交感神経優位になるのです。以下に自律神経と季節の関係を転記します。(日本専門薬局同志会『こころの健康チャート』より)

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↑季節的には秋から冬にかけてがんばりモード=交感神経優位に入っているのがわかると思います。stand.fmでの看護師妻の話にもあったように冬になると交感神経優位に→アドレナリン分泌増加→血管収縮・心拍上昇→血圧上昇し血管系トラブルが急増する。というのも理解できます。また消化管運動は抑制されるため食欲不振など胃腸の働きが低下する方も増えやすい反面、セロトニンの働きの低下により食欲のムラができて過食や甘い物への欲求が高まるということも考えられます。

⑤冬を楽に過ごす心がけとは?

西洋医学の面からは日照時間の短さによるセロトニン活性の低下が主な原因と紹介しました。冬季うつが心配な方はぜひセロトニンの量を維持するよう心がけましょう。食事面での心がけは以下の通りです。

*セロトニンの原料となるトリプトファンをしっかり摂取。

*セロトニンの生合成に必要な補酵素ビタミンB6も補給しましょう。

*脳が働くために絶対必要な炭水化物。特に朝は脳はガス欠状態です。朝ごはんを抜かずに必ず食べてほしいですね。ここで朝ごはんを抜くと筋肉から糖を作り出す『糖新生』が起こり筋肉量が低下→冷え・疲れ・老化を助長します。

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また薬膳的にオススメの食材もご紹介します。

【腎に良い食材】黒ゴマ・黒きくらげ・黒豆・昆布などの黒い食材

【温性の食材】ニラ・シナモン・生姜・くるみ・かぼちゃ・海老・鶏肉など

【平性の食材】大豆・山芋・白きくらげなど

これらの情報は以下の日本中医薬研究会の作成した冊子に掲載されています。(漢方相談いただいた方にお配りしております。)

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最後に冬は生きているだけで一生懸命になります。頑張るモード=交感神経のスイッチは0.2秒で瞬時に入りますが、リラックスするモード=副交感神経のスイッチは入るまでに5分以上かかると言われています。デロンギオイルヒーターのように温まるまでに時間がかかるのです(←わかりづらい例え)。

深呼吸をこまめにする。

ぬるめのお湯でゆったり入浴する。

夜は早めにお布団に入ってのんびり読書する。

こんなリラックスする時間をたくさん作ってあげるのが冬のメンタル対策で一番重要なことではないかと思います。お日様の出ている時間が短い冬は生きているだけで頑張っているんですから。

*かえで薬局では「こころと身体の長引く不調」をお持ちの方に漢方相談を承っております。ご来店できない方にはzoomでのご相談もお受けしております。相談は予約制となっておりホームページからお申し込みいただけます。



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