実践としての福祉と心理:はじめに
筆者は福祉施設で働いている心理師である。
福祉施設といえど、施設にはあまたの種類がある。
筆者が従事している(いた)施設は
グループホーム、就労継続支援B型事業所である。
どちらも精神がメインである。
筆者が思うに、福祉施設において生活支援員(心理職)の立ち位置は
あまり明確化されていないように思われる。
心理職としての要素というよりは生活支援を主とした業務がメインになる。
加えて、状況により心理師としての要求がある。
ここには生活支援員、心理師としての業務に乖離が生じているように思う。
自身の立ち位置の調整が意外と困難であり、福祉施設で働く心理師は自己の職務を徐々に確立していくことが良いと思われる。
それは生活支援員としての仕事と心理師としての仕事は全く別物だからである。
筆者が思うに生活支援員は比較的、利用者様に対して指示的な態度で接しなければならない場面が多い。
利用者様が仕事としてのスキルや適応的な生活習慣を身に着けられたという思いがあるからである。
かたや、心理職としての業務は、過去・現在・未来の不安、焦り、トラウマ等さまざまで、よりパーソナル、踏み込んだ内容を聴くことである。
その悩みに対して改めてそれぞれの時空に対する認知を変容するのか、はたまた解決していくのかということが主なように感じている。
ベクトルは重なる、異なるところもあるが生活支援員と心理職ともに利用者様が良い方向に向かってほしいという思いは同じである。
本書では福祉へ携わる中で生活支援員(心理職)として工夫したこと、実践したこと、施設ごとの関わり方などを思いを込めて書き込むことができたらと思う。
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