教団を超えた立正安国論理解のために

はじめに

10/10(土)20:00より表題のZOOMミーティングを行います。詳細は末文に掲げますが、かかる試みに対し「創価学会のことやってる日蓮宗の坊主が何で立正安国論のことやるんだ」と思われるでしょうから、まずもって開催のいきさつと趣旨をお話したいと思います。


立正安国論の重要性

言うまでもなく日蓮聖人の代表作は立正安国論です。その認識は日蓮門下のみならず一般の人にも及んでいるでしょう。中高の教科書・歴史書等で日蓮という人物が扱われる時も、法華経と共に立正安国論が紹介されます。
よって、たとえ開目抄や観心本尊抄を知らずとも「日蓮の著作といえば立正安国論」という認識は広く世に知れわたっています。就中日蓮門下においては、それぞれの組織のお立場で安国論理解の研鑽に励まれていると思います。あえて説明する必要も無いかもしれませんが、創価学会が喧伝する平和主義も、本抄で示される立正安国という概念が典拠となっています。立正安国論の重要性は、すでに前回の投稿で述べたところであるため割愛しますが、私は教団を超えた立正安国論理解こそが、組織の枠組みに左右されない共通の日蓮認識を持てる糸口があるように思うのです。


教団を超えて立正安国論理解を深める意味

例えば日蓮門下で日蓮聖人のことを語ろうとすると、本尊論・顕本論、あるいは大石寺唯受一人血脈の正統性という論へと発展することが多く、そうなるとお互いの信仰上譲れぬ部分がある為、まとまりある議論ができません。しかし立正安国という普遍的な日蓮思想を対象とした場合はどうでしょう。教義上の論争は生まれにくく、有ってもせいぜい実乗一善は何を意味するかという解釈の差異くらいだと思います。
日蓮聖人の悲願である立正安国実現は全日蓮教団が志向するところですが、その為には日蓮門下共通の安国論理解が無ければスタート地点にも立てないと思うのであります。

安国論は北条時頼に宛てられた公文書です。時頼がそれをどう読んだかなどは詳らかではありませんが、少なくとも他の日蓮遺文を読むようなことはされなかったでしょう。ということは、安国論は安国論をもって理解しなければなりません。その解釈に本尊論・顕本論等教義上の異なりは余り問題とならないでしょう。況んや宗教法人の差異にをいてをやです。有り体に言えば、日蓮門下が喧嘩せず日蓮思想を語り合えるのは安国論のみといっても過言ではありません。答えを導き出すというより、それを模索し深めあう行為に意義があると思います。
なお今回は立正安国論を専門とされる法華宗僧侶、矢吹康英先生をお招きし安国論について少しくお話して頂き、そのあと自然な流れでミーティングへ発展すればと思っています。今回のミーティングもいたずらに他門の考えを批判する目的はありません。日蓮聖人が目指された立正安国という概念を共に深め合いましょう。皆さんの参加をお待ちしています。


ゲストプロフィール

矢吹康英(法華宗僧侶・立正大学日蓮教学研究所研究員)
noteブログ
1990年生まれ。福島県にて東日本大震災を経験し、日蓮聖人の災害感、国家観を探求することを目的に立正安国論の研究に従事している。著書に、
「明治期における日蓮著『立正安国論』注釈をめぐって」(『宗教研究』89号)
「日蓮聖人著『立正安国論』受容の一考察 -近現代における第七段問答の解釈をめぐって-」(『立正大学大学院年報』33号)(検索の窓に「矢吹康英」と入力すれば無料でPDFがダウンロードできます)

など、多数の立正安国論に対する論文を執筆。他論文の詳細はCiNiiを参照されたい。

参加方法について

・10月10日(土) 20:00開始(開場は19:45~)
・ZOOMアクセス先
https://us02web.zoom.us/j/84878979308
(もしくはZOOMアプリを開きミーティングID: 848 7897 9308を入力)

自由参加(無料)。途中参加・途中退出もOK。顔出しせず、音声のみの参加でも構いません。名前もハンドルネームで結構です。ラジオ感覚でリスニングに徹するのも構いません。ちなみにZOOMの機能上、こちら(ホスト)から個人を特定できるような操作はできません。ですので身バレが怖い人も安心して御参加下さい。

※荒れたり、他の参加者の迷惑になると判断した場合はこちらでミュートや、退出頂く場合もありますので、その点はご了承下さい。

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