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日記2022.7.24『コーダ あいのうた』を観た

昨日アマゾンプライムに新しくあげられた『コーダ あいのうた』を観た。

なんというか、真っ当な映画だな~と思える作品だった。「ザ・愛の物語」という感じで、家族愛について描かれている。主人公であるルビー以外、皆耳が聞こえないという家族の中で様々な困難や葛藤を抱えながら、主人公の女性が自分の生きる道をみつけ、家族を卒業し独り立ちしていくという話である。耳の聞こえない家族を助けるために、ルビーは自分を犠牲にしてきた。しかし、様々な人の支えや、家族との衝突を経てルビーは独り立ちする。そして、家族とも良い感じの距離感を見つけていくというシンプルなストーリーである。
もし耳が聞こえない家族に生まれたらどういうことが起こるだろうか。また、耳が聞こえない両親は子育てにおいてどのような難しさがあるのか、この映画を観ていると考えさせられる。(オーバーともいえる愛の表現に家族愛をちっとも疑わない軽薄さが見えて、どこか見ながら自分は少し興ざめしてもいた。しかし、総じて、観る人がハッピーになれるであろう良い映画だと思う。)

映画を観ていると、本筋でない所で過去の自分の記憶と結びついて、昔あった事を思い出すことがある。
この映画で面白いなと思ったのは、ルビーの一家は漁師で生計をたてているのだけれども、ルビーも小さい時から漁に駆り出される。大人に混じって働かされているのだ。(これは児童労働であるし、搾取という一面がある。)
小さい頃から漁師として働くというのが、自分の人生とは違いすぎて、どんな事を感じたり経験するのだろうと想像が搔き立てられる。

主人公のルビー(『coda あいのうた』より)

私がそこで思い出したのは、私は富山の田舎の小さな町で育ったのだが、夏になると、夏祭りがあって、たくさんの夜店が出る。そこに、全国から夜店をする香具師の一家がトラックでやって来るのである。その中には、明らかに10歳にも満たないような子どもや、10代の子どももいた。そして、彼等が店を手伝ったり、トラックの荷台で寝起きしていたりするのだ。
私は子どもながらに、「この子達はどういう生活をしているのだろうか?」「ちゃんと学校へ通っているのだろうか?」と不思議に思っていた。心配するというのとは違う。ただ、自分とは全然違う生き方をしていることをすごく不思議に思っていた。そして、ある意味で、ずっと旅をする人生が羨ましかったり、カッコよくも見えていた。全然自分と違う世界で生きる、同世代の子どもたちがカッコよく見えたのである。
一方の自分は、小学校へ行って、帰ったらのんべんだらりんと過ごしたり、塾へいったりするという何の変哲もない小学生ライフを送っていた。それに比べて、香具師の子どもたちは、色々な大人に囲まれてトラックに乗って全国を旅しているのだ。自分よりはるかに大人びて見えた。何となく、この子たちと、一生違う世界を生きるように感じた。ただ同時に、その子たちの話を聞きたいとも思ったし、入れ替わってみたいなと思った。

自分は、自分の人生よりも、他の人の人生を知ることに興味があると思う。自分よりも面白く生きている人は沢山いるからだ。そういうことを子供の頃に思っていたことを思い出した。
(終)

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