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野球肘 知っておくこと

野球肘とよく聞きますが、どのような障害・状態なのか?知っている方にももう少し深く知って頂きたいので書きます!最近では大谷選手が手術を受けた事でも話題になりました!

肘は投球すると壊れるものです!

140kmの球を投げると64nmという外反ストレスというものが内側の靭帯にかかります!靭帯が破断するストレスがかかるのは32nmです!64nmかかってるから切れるじゃん!と思いますが筋肉などの組織が負荷を軽減してくれているために32nm 半分ほどの負荷がかかります!ただ半分になっても32nmの靭帯が破断するほどのストレスがかかるので投球するたびに靭帯は切れていきます!

いくらフォームが良くても140km以上投げる選手は肘を壊します

そのために投球数の制限や投球後には十分な休息を取り靭帯の修復をしなくてはなりません!

ちなみに投球不良(身体の開き・手投げなど)があると靭帯にかかるストレスが増えていきます!
小学生はでは15nmのストレスがかかるというデータがありますがフォーム不良があると倍の30nmほどのストレスがかかるといわれています!プロ選手が破断するほどのストレスがかかるのですから小学生が肘を壊してしまうのは明白です

野球肘がおこる機序

投球時に肘は外反します!肘がしなっている状態です!すると肘の内側についている靭帯は引っ張られます(伸ばされます)逆に肘の外側は圧迫(潰される)する力が加わります。すると肘の外側では関節の骨と骨がぶつかり合う衝撃が加わります!
他にも投球した際に上腕三頭筋が引っ張られて上腕三頭筋の炎症や肘頭が引っ張られて肘頭の剥離骨折、肘が外反しながら伸展することで上腕と尺骨がぶつかり起こる疲労骨折!
投球時に肘が外反することにより内側の靭帯・筋と一緒に神経も伸張されることによって尺骨神経麻痺が出現して試合後半に力が入らなくなるボールが抜けるなどの症状が現れることがあります!

内側の靭帯が損傷してしまった場合

基本的には保存療法です!投球を3~6か月中止します!あとはリハビリです!
あとは手術ですが、昨年 大谷選手が受けたトミージョン手術という体の他の部位から腱を持ってきて行う再建術があります!
術後1年間ほどのリハビリが必要になります!術後再建した腱が定着し十分な強度になるまでは安静が必要なために早期に肘を動かすリハビリが出来ないためにリハビリの期間が長くなってしまいます!
復帰できたとしても以前のようなパフォーマンスに戻れるのはなかなか難しいようです!

離断性骨軟骨炎

上腕骨小頭と橈骨頭がぶつかり上腕骨小頭の関節面が損傷してしまうもので肘の外側に痛みを訴えます。
症状として肘の外側に痛みを訴えますが、症状の出始めは違和感程度のことが多く症状が軽いために見過ごされることが多く、症状が進むと痛みが強くなり関節を動かした際のクリック音・肘が曲げ伸ばしでいなくなるロッキング症状が出ます!僕が診てきた経験ですと、痛みが出て少し休むと痛みがなくなりまた投球しまた痛みが出るを繰り返してある日突然に痛みが強くなり投球ができなくなる選手が多い感じがします!
まれに今まで何ともなかった選手が急に痛みが出現し投球できなくなる選手もいました!
基本的に離断性骨軟骨炎は特徴的な理学的所見はなく、早期に見つけるのが難しいようです!もし見つけるのなら画像診断になります!
離断性骨軟骨炎になってしまった場合は手術になります。損傷してしまったところに他の部位から骨移植します!
術後復帰してもトップアスリートとして活躍するのは難しそうです。

野球肘によって選手の将来を失わせないために

内側靭帯の損傷・離断性骨軟骨炎ですが早期であれば手術なしでも十分に治る可能性の高いものです!そのためにも肘の異変があれば医療機関で検査を受ける必要があります!
そして指導者が選手に無理をさせない事です!今PITCH SMART ピッチスマートという青少年の年齢別の投球数や休息期間が設定された基準があります!

上記のサイトには詳しく書かれているので参考にするといいと思います
十分な修復に必要な休息期間を設ける事、投げすぎない事が大切です!
昔に(今でも)聞く投球して体を作るとかで1日に200球も300球も投げさせるのは論外です!
最後ですが、青少年の野球肘になる選手のほとんどが投球フォーム不良があります!始めのほうに書きましたがフォーム不良がある選手は肘の負担が倍になります!いくら休んでも治療を受けてもフォーム不良を修正しないといつかは壊れます!

選手に無理をさせない事や選手の状態に注意することフォーム不良を見過ごさないことが大切です!


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