見出し画像

最近行った展覧会(2024.10、兵庫・京都)

前回の記事で「次回からは日曜毎週更新します!」と書いたにも関わらず、先週更新せず今回は土曜日に更新しています。この体たらくよ。前者の理由はなんか自分の文章つまんねえ~の時期に入っていたのと、後者は明日出かけるので更新ができないためです。
でも神戸の美術館うろうろ編は途中まで書いていたので、ちょっと付け足して最近行った展覧会まとめとして出そうと思います。気になる展示があれば是非行ってみてください。会期終了が近い順にしています。



生誕140年記念 石崎光瑤(京都文化博物館)

※会期は2024年11月10日まで。
展覧会のポスターを見て、知らない画家だけど確実に私好みの絵だ!と思って行った。実際、たいへん好みに刺さった。見た目が豪華かつ書き込みが細かくて、遠くから見ても近くから見ても楽しく、サイズの大きい日本画はとても良いものだ…。
一番好きだったのは「雪」という作品だ。 

写真だと良さが全然伝わらない

黄色と青の対比、積もった雪の表現、水辺の鳥たち…どれだけ見ていても飽きない。手を抜いて描いたような気配が全くなくてすごすぎる。完成されきっている、と思った。クリアファイルとポストカードがあったので即買い。あとは「惜春」「春律」も良かった。構図がバチっと決まっていて、見ていて気持ちが良い。ただ、南国の風景を日本画に落とし込むと、どうしても日本感が強くなりすぎてしまうので、そこだけ表現としてどうなんだろうと思った。
また絵とは関係ないが、石崎光瑤の人間性が分かる手紙も展示されていてそれも面白かった。あんなに絵が描けるのに、自分の作品に自信なさげなのが第三者から見ると不思議だ。後述のデ・キリコ展を見た後に行ったので、余計にそう思ってしまった。


美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶-(細見美術館)

※会期は2024年11月24日まで。
Twitterで告知を見てから絶対に行こうと思っていた。18歳未満は見れないので注意。昔(もう10年近く前らしくて驚いた)、東京の永青文庫で春画展に行った記憶があったが、その時に細見美術館に巡回していたと書いてあってなんとなく縁を感じた。
内容については詳しく書くと年齢制限をかけなくてはいけなくなるので何も言えないのだが、絵の見せ方は違うにしても江戸の人間も現代の人間もあんまり感性は変わらないのだなと思った。また永青文庫の時と同じで結構人が多い。京都に引っ越してからほぼ毎回細見美術館の特別展示には行っているのだがダントツで混んでいて、性的コンテンツの強さを感じた。あとグッズが完全に外で使えないやつで笑ってしまったので行ったら絶対に見てほしい。もうちょっと手心ってものを…。


デ・キリコ展(神戸市立博物館)

※会期は2024年12月8日まで。
2024年の企画展はこれを見ろ!的な雑誌のほとんど全てで紹介されていた記憶がある。私はシュールレアリスムが好きなので、そこそこ開催を楽しみにしていた展覧会である。

結論、あんまり合わなかった。ポスターにもなっている絵のように、キリコはマネキンのモチーフを気に入ってたくさん描いていたようだが、良さがあまり理解できなかった。マネキンの絵、3枚あれば伝えたいことは伝えられたのではないかと思ってしまう。他の絵もいまいち気に入るようなものがなく、グッズも買わなかった。ただ、これはおそらく私の絵の好みが変わっていっていることが大きな原因で、何が描かれているのかが明確じゃない絵が苦手になってきているのが悪いのだと思う。現に、広い年代の客層が来ていたし、そこそこ混んでいたので人気なのだろう。
そんな中で唯一記憶に残ったのが、キリコという人はかなり我の強い人間ということだ。なんというか、自分の作品が最先端であるという自負がかなりしっかりとある(実際そうだったのかもしれないが)。現代に生きていたら中々に面倒臭そうなおじさんだ…。


竹中大工道具館

ここについては特別展目当てではなく、同僚に教えてもらってからずっと行ってみたかったので訪れた。と言うのも、とても可愛いミュージア厶グッズがあり、それがWebページにも載っている、大工道具を模した木製のキーホルダーである。一番の目的はそれを買うことではあったのだが、日本で唯一の「大工道具館」というのはどのような展示をしているのだろうというのも気になっていた。

訪問した日は「開館40周年記念企画展 日光の彩色と金工—社寺建築の美しさの謎を解く」という企画展がやっていた。※会期は2024年12月15日まで。
思っていたよりも内容が専門的で2割も理解できたか怪しいが、実際の修復の様子を小さなモニターに映してくれていてそれは分かりやすくて面白かった。ものすごく単純な感想になってしまうが、普段細かく見ないような建物のたった一部分、そのひとつひとつに、私などでは想像できないほどの労力がかかっているというのがよく分かって途方もない気持ちになった。
地下に行き常設展も見たが、意外にボリュームがある。大工さんの仕事、使う道具、素材…などなど、多角的かつさわれる展示もいくつかあって面白い。

大工道具がズラッと展示されている

私の祖父は大工だったらしい。伝聞形なのは、あまりに酒を飲みすぎて私が生まれる前に亡くなったためである。またとても感情的な人間だったそうで、正直あまり一緒にいたいタイプではないとは思う。しかし展示を眺めていると、祖父もこういう道具を使ったのかなとか、こんな専門的な仕事をしていたのだなとか、そういうことを考えてしまう。
地上に出てグッズを物色する。鉋と鋸のキーホルダーを購入した。1つは教えてくれた同僚へのお土産にした。やはり人気なのか、鉋は私が買った分で残り1つになっていた。展示も見応えがあるし、買いたかったものも買えて良い博物館だった。


響きあう絵画 宮城県美術館コレクション(神戸ゆかりの美術館)

※会期は2025年1月26日まで。
神戸ゆかりの美術館は、六甲アイランドという人工島にある。島に降り立ってすぐ、独特な雰囲気を感じた。なんというか…全体的にちょっと寂れている。でもこういう雰囲気は嫌いではない。

夜はライトアップされている

画像検索すると分かるが、美術館自体も美術館らしい見た目をしていない。本当にこの建物で合っているのかと恐る恐る入ってチケットを買う。
この特別展には、高橋由一の絵があるということで来てみた。ほとんど全ての絵が撮影OKだったので、気に入ったものを以下に載せていく。

宮城県庁門前図(高橋由一)
松島五大堂図(高橋由一)

高橋由一は鮭の絵の筆致や雰囲気が大好きで、それ以外の作品は始めて見た。写真みたいに精密で、かつ美しくもある。ポストカードになっていたのたが、本物の美しさの1割も表現できていない気がしてならなかった。

うずら(鳥)(鳥海青児)

洲之内徹という人のコレクションのゾーンに入って、一発目の絵がこれだった。うずらの死体が描かれており、ひと目でパンチ力があることが伝わってくる。解説にもあるが、洲之内徹は良い作品は盗んでも手にしたいという思想を持っているようで、それに該当するものがこれらしい。正直趣味が悪いと思うが、しかしこういう絵は私も大好きなので、なんとなくシンパシーを感じた。

ポアソニエール(海老原喜之助)

こちらも洲之内徹のコレクション。今回の展覧会の目玉作品の1つだ。さわやかな雰囲気がとてもいい。現代のイラスト的な絵の陰影の入れ方・色の選び方に近い気がして親しみやすさがある。

猫(長谷川潾二郎)

こちらも洲之内徹のコレクションかつ目玉の作品の1つ。ぱっと見可愛いが、解説を読むとちょっと切ない気持ちになる。猫の表情がとても良くて、好きな作品。

かなり好みの展示ではあったのだが、閉館時間が迫っていて30分くらいしか見られなかったのが残念だった。


ーーー
来週も出かけるので更新がずれると思います。しかし1週間に1回は更新したい気持ちはあるので頑張ります…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?