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Vol.2 デザイナー・リサーチャー育成はじめました -メンバーが持っているスキルの見える化-

こんにちは、デザイナーの篠原(@shinopara_jp) です。サイボウズという会社でデザイナーの採用・育成・チームブランディングを担当しています。

この記事はサイボウズ デザイン&リサーチの育成に関する取り組みについて紹介する2回目の記事です。1回目では、業務に必要な知識とスキルの洗い出しについて紹介しました。

今回は「メンバーが持っているスキルの見える化」についてご紹介します。

持っているスキルを見える化することで「ちょうどいい業務」をアサインしやすくなる

「ちょうどいい業務」とは簡単すぎず難しすぎない、ちょっと背伸びをして取り組める業務のことをそう呼んでいます。

手に負えないような業務を任せて苦手意識が生まれても良くないですし、簡単にできる業務を任せてやりがいを感じられなくなってしまうのも良くありません。

あらかじめ持っているスキルを見える化しておけば、スキルを伸ばしつつ仕事への意欲を高められる「ちょうどいい業務」をアサインしやすくなるというメリットがあります。

サイボウズでは仕事において「やりたい・やりたくない」という軸が超重要

「ちょうどいい業務」というのは人によって異なります。その人にとっての「ちょうどいい」ラインがどこなのかを見極めるために、サイボウズ デザイン&リサーチではメンバーそれぞれのスキルを「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」の2軸で見える化しています。

図:横が「できる・できない」の軸。縦が「やりたい・やりたくない」の軸で作った4象限

サイボウズ デザイン&リサーチの方針として、「できない・やりたくない」の部分を無理に伸ばすことはしません。得意だったり好きなものを伸ばしていくほうが任される方・任せる方もお互い幸せなので「やりたい・やりたくない」という軸を尊重しています。

ただ、新卒1〜2年目の場合は経験が少ないので「できない・やりたくない」の判断が難しいです。なので先輩社員と共に様々な業務を一通り経験してからその部分を判断するようにしています。

「やりたい・やりたくない」で仕事が回るのか!?と感じると思いますが、意外と誰かが苦手なスキルは他の誰かが得意だったりします。サイボウズ デザイン&リサーチは現在17名で活動しているのですが、それぞれの得意分野・苦手分野がいい意味でばらばらなので、うまく「できない・やりたくない」部分をカバーしあえる状態になっています。

さて、「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」の2軸とした場合、象限は「強み」「研修・育成」「やらない」「キャリアの方向性を確認」の4つに分けられます。

図:横が「できる・できない」の軸。縦が「やりたい・やりたくない」の軸で作った4象限の図の中に、それぞれの象限の特徴を記してある

強み=得意で好き
ここを伸ばしていくとその人の武器になる

研修・育成=今はできないけど、できるようになりたい
研修・育成のサポートが必要な部分

やらない=できないし興味もない・嫌い
無理に伸ばそうとするとメンタルを壊したり、やりがいを感じられなくなるので注意が必要

キャリアの方向性を確認=得意だけどやりたくない
得意なのにやりたくない理由を深堀りする。1on1等を実施して今後のキャリアを見つめ直すことが必要

この軸でスキルをマッピングすることでメンバーそれぞれのスキルレベルを把握するだけではなく、どのような仕事が得意なのか、今後伸ばしていきたいのか、いっそやらないのか等を知ることができます。

見える化方法(2軸でマッピング)

「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」の2軸に基づきスキルをマッピングしていくわけですが、サイボウズ デザイン&リサーチが定義した業務に必要なスキルは全部で72個あります。

72個のスキルを手動でマッピングするのは非常に酷で非効率なため、Typeformというアンケート作成・集計ツールとExcelを活用してマッピングを行いました。

まず、Typeformを使って72個のスキルについて「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」を10段階評価で答えるアンケートを作成します。

「できる・できない」の評価基準
1…全くやったことがない、できない
5…何回かやったことがある、都度アドバイスをもらい業務を完遂できる
10…一人で上手にできる、人に教えることができる

「やりたい・やりたくない」の評価基準
1…やりたくない
5…普通
10…とてもやりたい

アンケートが完成したらメンバーに回答してもらいます。回答作業としてはTypeformで以下の画像のようなアンケートが表示されるので、表示される質問に対してポチポチクリックしていくだけの簡単作業です。

キャプチャ:Typeformのアンケート画面

キャプチャ:Typeformのアンケート画面

アンケートの回答結果が出揃ったらCSVデータをTypeformから書き出してエクセルに読み込みます。エクセルに読み込んだあとはデータを整理して、散布図の機能を使い「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」の2軸のマップを作成します。

出来上がったマップはこんな感じです。横が「できる・できない」の軸で、縦が「やりたい・やりたくない」の軸です。マップの中のアルファベットと数字の文字列はスキルに割り当てたID番号です。

キャプチャ:出来上がったスキルマップ

そしてこのようなマップをメンバー分作成しました。このマップはあくまでも「できる・できない」と「やりたい・やりたくない」を自己評価した結果なので、その人のスキルに対する自信の度合いや性格(楽観的・悲観的など)が反映される主観的な評価結果となります。

キャプチャ:メンバー全員のスキルマップ一覧

主観的な評価結果ではありますが、その人の得意分野や、やりたいことが色濃く反映されるため、「ちょうどいい業務」をアサインするための目安として活用できます。

また、今後伸ばしていきたいスキルも把握することができるので、研修や育成のプランニングにも役立てることができます。

もし客観的なスキルを把握したい場合は、第三者(先輩社員やマネージャー)に評価してもらうことをお勧めします。主観・客観どちらのマップも作成してギャップがどれくらいあるのか見てみるのも面白いかもしれません。

このスキルマップは一回作って終わりではなく、毎年計測してどのくらい新しいスキルが身についたかや、得意技を磨くことができたかなどの定点観測としても活用していきたいなと思っています。

見える化応用編(レーダーチャート)

10段階評価のアンケートでスキルを計測するメリットとしては、2軸でマッピングする以外の切り口で回答結果を分析することができるという点があります。

スキルカテゴリを評価項目にして「できる・できない」の結果をレーダーチャートで見てみると、今自分の持っているスキルレベルが視覚的に把握しやすくなります。

以下のレーダーチャートは青い線が個人の「できる・できない」の数値で、オレンジの線がとあるサブチームのメンバー全員の「できる・できない」を平均化した数値です。

キャプチャ:レーダーチャートで集計したスキル

このようなレーダーチャートを作ることで、どのようなカテゴリのスキルがチームに不足しているのか判断し、採用活動やメンバーの育成、サブチームの運営方針に活かすことができます。

次回予告:育成コンテンツの整備

メンバーが持っているスキルを見える化することで、「ちょうどいい業務」をアサインするための下地が整ったのと同時に、組織として研修・育成のサポートが必要な部分が見えてきました。

次回の記事では、チームに必要な育成コンテンツをご紹介したいと思います。

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