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想像した者勝ち。「拡張の世紀」ブレット・キング

 序章にある3人の物語は、それなりに刺激になる。現在でも他の人達がどのような生活をしているの知らないが、近未来人の生活を垣間見れる。もっとも、どんな時代にもいろいろな生活様式の人が混在(分布)しているので、もっとも時流に乗っている人たちの生活様式ということだろうか。近未来においても、山奥で自給自足する人々もいなくなりはしない。
 なんとなく、そっちに方向にテクノロジーは進んでいくのだろうな、ということが書かれているが、そのような世界が現在と比べてより幸せなものになるのかというと、そうでもないのではないかと思った。(もちろん、世界から貧困が減るというのはよいことだが、先進都市に住む人間は機械に管理された生き方を強いられるのではないか?)


 p.374に掲載されている「表7-1 テクノロジーの発達とディスラプションの対象」が理解しやすかったので以下に書き出す。(以下、CT:コア・テクノロジー、CD:コア・ディスラプション。)
(1)機械/工業時代、CT:蒸気機関、内燃機関、電気、CD:量とインフラに関係するすべて、工場プロセスでの製品製造に向いた個別職業
(2)原子力/ジェット/宇宙時代、CT:ジェット機/宇宙船、原子力/太陽光エネルギー、電話、CD:スピードに関係するすべて、遅くて非効率な生産プロセスと発電、交通と通信システム
(3)デジタル/情報時代、CT:コンピューター、インターネット、CD:データに関係するすべて、テサ号での記録管理、物理的な販売網と製品
(4)拡張/インテリジェンス時代、CT:人工知能、スマート・インフラストラクチャー、分散顧客経験、埋め込み型コンピューティング、CD:経験に関係するすべて、経験とアドバイス


 なお、2016年に原書が出版され、2018年に日本語訳が出された本であるが、2020年の武漢ウィルス(Covid-19)の流行により、都市間移動が制限されるような状況については、もちろん想定されていない。また、米中覇権争い(香港問題、貿易戦争など)により進んでいる世界の分断ついても想定されていない。

Original Title: Augmented: Life in the Smart Lane by Brett King ©2016 Brett King


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