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Relux流 300ページの経営戦略策定

「しのさんって何してるんですか?」
と、よく言われるようになるくらいには、現場から距離が出てきた昨今ですが、何をしているかというと経営戦略の策定と採用活動がそのほとんどを占めています。今日は少しだけ、私が「どうやって経営戦略の策定をしているのか」「なぜこんな面倒で大変なことをしているのか」という全体像の共有をしてみようかなと思いました。

漢字が多くて重たくみえるのとなんかマニアックなネタかもですが、上場を目指すスタートアップの役員/幹部候補の方や、新規事業に関わる方などの参考にならば嬉しいところです。

「経営戦略の策定」について

私たちの会社では、毎年3月上旬頃までに次年度の経営戦略を完成させ、4月から実行。その大きめの進捗把握は9月中に行いローリングし、一年間を戦略に従って推進する。という大きな経営計画スケジュールを持って会社経営をしています。おそらく、大多数のスタートアップよりもここに時間をかけていますし、私自身もコミットしています。この型の原形はリクルートの経戦と呼ばれる戦略立案プロジェクトや、じげん社の平尾さんスタイルをパクらせて頂いたところからはじまります。平尾さん、ありがとうございます。

じげん社については、以下のブログが大変参考になります。なお、我々は500ページまではなく、数えたところ300ページちょいだった。


経営戦略策定のプロジェクトタイムライン

実際にどういうことをやっているかというと、ざっくり以下のようなプロジェクトスケジュールで進めています。

・12月〜:ドラフト of ドラフトの策定開始
【重要】データによる振り返りと課題の設定をやりきること
→次年度の経営戦略検討スケジュールを引き始める
→各担当役員、各部長やGMなどと現期の状況振り返り
→それぞれ事業部の課題を、データ根拠をもって定める。

・1月〜:テーマ策定、ドラフトの解像度をじわじわ上げる

【重要】各部のワクワクするテーマが見えてくること。Detailsは後回し
→より具体的に次期のテーマや大きな数値イメージを共有しあう
→徐々にCFOとも来期の見立てをPLに落とし始める
→第4Q、通期の着地見立てを精緻化する

・2月〜:経営戦略ドラフトの完成
【重要】おおまかな方向性のコンセンサスを取りきること
→かなり具体的な戦術論にまで踏み込んでディスカッション
→ドラフトVerを完成させ、さらに篠塚レビュー会を実施
→PLなど数値計画への反映、財務モデルの構築
→並行して全部署のOKRを具体的に落とし込み
→部署のあり方、箱をどうしていくかの検討(人事異動の手前
→各メンバーのコンディションや、Will/Canの把握

・3月〜:完成→幹部間共有→全社発表
【重要】他部署の戦略も横断インプット+全社への理解浸透
→1泊2日のGM幹部合宿を実施し、最終決定とコンセンサス
→全社経営戦略の完成、OKRの完成、通期目標の完成
→全部署の担当役員などによる、部署ごとの戦略と戦術の発表
※ここで横断して各幹部が他部署の戦略を完璧に理解する
→新しい執行体制、人事異動プランの完成
→全社へ経営戦略プランの発表、人事発表

これにて戦略が完成です。
ここからは実行に入っていきます。

実行後のモニタリングを行うためのオペレーション

こうして完成した次期経営戦略をもって、4月からは日々のアクションをしていくことになります。その後、毎月の決算や戦術の実行状況をモニタリングすることが非常に重要です。立てっぱなしはもちろん最悪となります。
そこで、我々は立てた戦略のモニタリングを徹底的に行うため、一般的なWeeklyの会議などに加えて、3ヶ月おきに幹部合宿を以下のようなスタイルで開催しています。なおこれは、メルカリ小泉さんから3−4年前くらいに教えて頂いた合宿スタイルを踏襲しています。独自進化しているけど、多分似ているはず。
※幹部はマネージャー以上が対象で、15人程度が参加します。

1Q(4−6月)の振り返りと2Q戦略:
1Qが終わる6月あたりに幹部合宿を開催。ここ1年くらいは経費削減のため日帰りになりましたけど(笑)、都内会議室を借りて2日間徹底的に議論をします。合宿では対象期間の状況振り返りと未達ならリカバー策の議論を徹底的に行っていますが、特筆点は、この合宿に向けた準備こそが真骨頂であることです。幹部たちにとってお祭りのようなものになっておりめちゃくちゃ大変で、合宿の日からマイナス2週間前には資料ドラフトが求められ、1週間前には連日のレビュー会やその修正作業があります。
わたしはこのプロセスにこそ大きな価値を置いています。これによって合宿が始まる前には80%程度の目的を達成したような状態に仕上がっているからです。合宿本番では横断的な理解や、全幹部からのフィードバックを行って、さらにブラッシュアップしていきます。

上期(4−9月)の振り返りと下期戦略:

9月頃、ここでは上期の振り返りと、下期戦略のローリングを行うために合宿を開催します。1Qに開催する合宿と進め方はほとんど同じですが対象タームが半年間と長くなるため、準備それ自体がとてつもなく大変です。更に加えて、大きな人事・組織異動などもこのタイミングになるため、アジェンダが大きくなります。(今まさにここの最中) 


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▲合宿のタイムライン。ここに資料、議事録、宿題など全てある。

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▲ 1-2daysの合宿が終わる際には、多い時で100以上の宿題が列挙される。


いわゆる創業期とでも言う時期、サービスインから3−4年くらいは私の一存でえいやーと戦略も戦術もどかどかとトップダウンで決めきって、プロジェクトもほとんどすべてが目に見えて手に負える範囲でしたのでまぁなんとかなりましたし、別にそれで良い気がします。しかし今や200人の大所帯、大小プロジェクトも常に100本近く走っているので、見えないし手におえません。そして優秀なメンバーもどんどん増えているからこそ、トップダウンとボトムアップの良さを融合したかった。そうして、現在の体制に落ち着きました。

3月の経営戦略が出来上がる頃には、ざっくり備考など含めると300ページちょいくらいの経営戦略資料になっています。先の記事の平尾じょうさんじゃないですが、9月や1月〜3月については私も月間100時間近くをこの作業に当てており、とにかく経営戦略の確からしさを高めていきます。結果的に(今のところは)、順調にRelux事業を拡大できているように思います。以下の記事でもかきましたが、あらゆるデータが急速に伸びています。

経営戦略を考え抜くことのメリット

以下に大きなメリットを3つあげてみましたが、多くのグロース期のスタートアップにおいてもこれでもかという位に時間をかけ、戦略を練ることをおすすめしたい派です。というより、どこのフェーズまでいこうとも、経営者の仕事とは、より成長確からしい打ち手をどういう順番でやるのかを考え抜き、それを支援・マネジメントすることで成果を叩き出すことだと考えています。この経営戦略をぐっと考え込む期間は、まさにこれのためと言えます。
※なお、まだ立ち上がり間もない場合はこんなにぎっちりと詰めきる必要もなければ、期間掛ける必要もないです。理由はシンプルに、3ヶ月もかけて来期計画を立ててもすぐ変わっちゃうからです。

【利点1】自身を含めた幹部の成長機会と、戦略理解度の大幅アップ
私を中心とした役員陣との相互レビューを通じ、徹底的にボコボコにされます。(物理的ではない。笑)また、私自身も各領域のことを徹底的に調べ上げ、戦略が確からしいものかを根詰めて考え続けています。この濃度の高いプロセスこそが極めて重要です。彼らが起案した戦略/戦術の甘さや漏れが露呈しますが、私もなぜ問題なのかを正確にレビューします。そうすることで、彼ら自身はどんどんと成長し、またこのレビュー期間を通して全社ビジョンや戦略の理解度が増すため、彼らがメンバーに語る際の浸透度も飛躍的に向上します。結果、組織全体へのビジョンや戦略の浸透がとてもスムーズになっていきます。

【利点2】計画と実態の差をモニタリングできる
計画のない動き/浅い動きというものは、振り返りが極めてしづらいです。というかできない。なぜなら比較すべき対象が存在しないので、なにをしたら正解か、または何をすべきだったのかがよくわかりません。これほど時間をかけて緻密に検討したプランを実行していくことによってのみ、期初計画と実態の乖離がとてつもなく目立ち、できた場合もできなかった場合も振り返りの精度が高まります。なおこの振り返りにおいては、数字だけではなく、戦略や戦術もローリングすることが重要です。

【利点3】採用価値へ直結する
経営と採用は切っても切り離せず、どのフェーズまで言ってもなんらかの関与は必須であると考えていますが、経営ビジョンや戦略がシャープであればあるほど、候補者の方にとっても魅力的にうつります。逆にそうでない場合は「??」 と、当然なります。私たちはほぼ全メンバーに採用ミッションがあり、全メンバーが面接に対応をするスタイルです。このような戦略検討のためにぐっと潜って考える期間があり、きちんとその情報を全メンバーにオープンに伝えておくことで、候補者の方へ各自がきちんと説明でき、結果的に採用につながる。という良いサイクルが生まれます。経営戦略のアウトプットと本成果は直接の因果関係があるとまでは言えませんが、確実にプラスの効果を持っており、採用活動も今なお絶好調にまわっています。

という感じです。

これらのハードな期間を経て、最終的にはこんな形でシンプルな全部署のObjectivesの一覧ができあがり、また当然に事業戦略のフレームや戦術のスケジュールなども完成します。
※COとはチェックアウトの略

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(結論)グロース期のスタートアップにはおすすめ

今回のNoteでは、私たちReluxの経営戦略の検討スケジュールをシェアしてみました。結論として、ある一定規模を超えたグロース期のスタートアップなどにはとてもおすすめできるというもので、逆説的ですが別にすべての会社がやるべきでもないという感じになりました。(そもそも私たちもこの体制になってから2〜3年くらい。)
前述の通り、創業初期のスタートアップは2〜3ヶ月も机向かう暇はほぼないし、戦略よりもセンスあるメンバーによる直感でザクザク戦術を遂行したほうが良いことも多いものです。ただ、グロース期となるとそうでもないです。全員が考える、メンバーにも考えてもらう、その意見をぶつけあう、そして削ぎ落とす。そんな一連の長期に渡るプロセスこそがチームも事業をも強く育ててくれます。

今ちょうど私は9月の戦略ローリング期に突入し、ものすごい時間を割いているわけですが、またこのあとすぐにも来期経営戦略の海に潜っていくことになります。乗り越えるための気合、覚悟のために。そして、少しでも参考にならばと久しぶりにNoteを書いてみました。

スタートアップ合宿の企画や場所選びについて

Reluxで実はかなり多くのIT系スタートアップの幹部合宿や全社合宿の企画やサポートを行っていたりします。1泊1名1万円くらいから、変な手数料は一切ありません。<Relux PR>

Reluxを間に挟むメリットは3つです。
1)幹部合宿や社員合宿の運営ノウハウ提供による品質の向上
2)コストダウン。法人レートで直接応募するよりも安くなります。
3)総務チームの工数逓減。準備にかかるサポートを行います

これ見てもっと込み入った相談してみたい方や、どうやってるの! と気になった方がいたら、直接でも以下のサービスURLからでも構いませんので、ぜひ教えてください。合宿の成否は場所選びと準備にかかっていますので、ノウハウ全部提供します^O^


・追記
相変わらず、経営と砂の関連性だけがいまいち理解できません。
誰か教えて下さいお願いします。



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