生物多様性条約の国際ルール形成の構図ってそういうことだったのかぁ
ども、しのジャッキーです。
たまに、図書館にいって、気になるカテゴリーの書棚を眺めると新しい発見があっていいなぁ、と思いました。脱炭素、発電・送電の仕組み、生物多様性あたりにアンテナを立てて図書館行ってきました。
んで、「生物多様性」ってキーワードで見つけたのが「生物多様性を問いなおす ――世界・自然・未来との共生とSDGs (ちくま新書) 新書 – 2021/1/8、高橋 進 (著)」
当方のnoteでも、過去に何度か記事を書いている生物多様性ですが、実は、まだそのトピックで1冊も書籍を読んだことがありませんでした。ということで、発行年が比較的最近(2021年1月)だったので、この書籍を借りてきてみました。
本書が私に与えてくれた新しい視点
これまで自分で調べていたTNFDとかの文脈だと、以下みたいに、グローバルのリスクだよね、という側面からの知識が主でした。
一方で、本書から得られた視点は、「高い生物多様性資本を持つ国(なかでも特に発展途上国)」 vs 「生物多様性の資本を多く持たない国(特に先進国)やグローバル企業」という構図でした。
バイオパイラシーという視点
本書の冒頭に、に以下の記載があります。太字は、篠崎がつけたものです。
バイオパイラシーについてもう少し詳しく書かれている部分を抜粋(太字は篠崎による)します。
1992年、生物多様性条約の成立
ここでいう条約とは生物多様性条約のことです。さて、上記の状況でつづいた条約交渉について以下のように書かれています。(太字は篠崎による)
条約は成立したものの、多くの対立的事項が積み残しであり、それらを継続して話し合う場がCOP(Conference of the Parties)であると。私は、COPって一つだと思っていましたが、条約事にCOPがあるんですね。なんか国連気候変動枠組条約が有名すぎて、イコールCOPって思っていました。
2010年、名古屋議定書の意義
さて、この生物多様性条約のCOP10(2010年10月)が名古屋で行われ、本書では、その意義を以下のように記載しています。(太字は篠崎による)
ちなみに、ルール化において、以下の妥協点があったと書かれています。
TCFDとTNFDと国際ルール形成の構図
さて、こういった背景を知ると、生物多様性に関する財務情報の開示を求めるTNFDと、気候変動に関する財務情報の開示を求めるTCFDは、かなり趣きが違うな、と思いました。
気候変動は、先進国においても大きな被害を受けるものです。また、先進国がCO2をバンバン出して成長してきたのに対して、発展途上国に対しては、安価な化石エネルギーの使用を抑え込む、という側面もあります。もちろん、水位上昇によって国土が減少するリスクにある国は、先進国も発展途上国にもある問題でしょう。
これに対して、生物多様性は、発展途上国が主に被害を受けていて、先進国の搾取してきた権益を奪取にかかっている、という側面があり、気候変動とは逆の構図になっているという見方もあるんだな、と思いました。これは国際ルール形成を見る上では、とても重要な観点だな、と思いました。
国際ルールの形成上、議決権は国単位にあるわけなので、一般に、その強みを生かしているのはEUだと思います。これに対して、生物多様性は、発展途上国に共通する特徴が生物多様性であり、それは搾取してきた先進国との対立構造にあり、議決数という数の面で発展途上国グループが優位にあるというのは非常に興味深い構図だな、と思いました。
とはいえ、以下にあるようにグローバルリスクはお互いにつながりあっているという側面もあります。ということで、こういった国際対立の構図もありますが、人間にとってより良い地球であるだけでなく、他の生物にとってもより良い地球であることを促す相互改善のルールが回るといいな、と思うばかりです。
おわりに
このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。
ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。
しのジャッキーでした。
Twitter: shinojackie
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