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金継体験2側面

つい今年まで、金継について存じ上げませんでした。

名前くらいは、うっすら知っていたのだっけ。
ともかく、がつっと知ることになったのは今年の2月か3月。
猫ちゃんのおかげ。

陶芸などに興味のあるワタクシ、4,5年ほど前に奈良は薬師寺東塔の基壇土

でつくられた、赤膚焼きのお猪口を2個、窯元で買って持っているのですね。
漆黒にちかい色で端正なのと、はじ色を主に微妙な色合いでごつごつした味わいのあるやつと。

姿がうつくしいものですから、普段目にするダイニングのカウンターで
作家ものの木製ベンチミニチュアの上に飾っておりましたら、端正さんを愛猫にゃんが落として、3つにぱっくり割れたわけ。

そこで修復を検索して、京都の金継してくれるところいくつか、見つけたのですが
体験で直せるいうところに申し込んだら「3つ以上に割れたものは体験では直していただけません」。

その際のメールの書き方が、悪意はないのだろうけれどぶっきらぼうで
すぐ気を悪くするわたしはムっとしたので、そこの修復部門には依頼しないことに。

かんなり高くなるけれど、もう一か所、目をつけていたA社に修復打診メールしてみると
こちらは大変丁寧で感じの良い返信。さすが高いだけあって、できた対応でした。

とりあえずそこに持っていってみることにして、行ってみると
とても高いんだが(ほかのとこの4倍以上くらい)丁寧に話ききとってくれて
ただの修復ではなく、「こういう感じで、こういう色に仕上げましょうか」と芸術の域なので満足。

知ってるひとはご存じの通り、漆掻きやら筆造りやら、いろんな道具・材料は安い中国産などに押されて良質の国産の担い手が減っているので、若手を育てるためにも、道を絶やさないように、高くても敢えて国産のものを使っているそうです。
金持ちではないけれども、あたしもできる範囲で、すこしはそういうことに貢献したいなあと思いました。

んで、そこでは主宰の方から「ここの教室通って、自分で直したらいいのに」と言われて、教室をすすめられた。しかし高い!厳選された国産のものをご用意されてますから、お道具箱だけで10万ちかく(笑)。それは考えさせていただくことにして、兎も角可愛いお猪口ちゃんは預けてきました。

お直しとは別に、体験魔としては経験もしてみたいなあ。
ほかに、市販品ではあるけれど、欠けてる器もあるし。
しかし、A社は高いのでB社にウェブフォームに従って申し込んだら
「おひとりの参加では、実施できません。2名以上で申し込んでください」
とまたフラれた。

事情はわかるんだが、なんかここの文章の書き方ってぶっきらぼうで、ちょっと失礼に感じるのよなあ。

で、A社の倍以上のお値段の体験に申し込みました。
こちらは一人参加もOKだし、なんなら、日時もフレキシブル。
さすがお金持ち相手。
(あたしはお金持ちじゃないけどさ。でもやはり、値段相応の対応の質ってあるよね)

行ってみると、外国人2人とわたしの3人で、英語はわかるんで(むこうもご存じ)英語ですすめられました。
時折説明の動画も見ながら、あらかじめ処理をしてある器から好きなものを選び、漆の説明をきいてからデザインを考えて漆を塗り、金を捲いて仕上げ(湿度、温度調整の必要な漆の乾燥)は託して終わり。1~2か月後に送ってもらえます。

本格的に学びたければお教室のほうへ、て感じで体験はあくまで体験で、説明が半分以上な感じでしたが、いろいろ知らなかったことを学べてよかったです。

そうして2か月ほどのちに器ができあがったというので、送ってもらうんではなく、取りにいきました。教室への参加を迷っていて、さすがに高いしな~。で結局、そのときは保留にして、体験した器だけ引き取って帰ってきました。

そうして注意してみてみると、ハンズにも、京都の老舗の画材やさんにも、「金継セット」というのが売ってあって、安いのは1万円以内です。安くすまそうと思えば、中国産など材料だしね。それにどうやら、さいきんは本物の漆はかぶれるので、樹脂製の漆というものがあるようです。

8月に孫3人を預かり、子どもの頃の経験は大切なのであちこち体験や経験に引きまわしたのですが、金継にも連れていきました。

さすがにB社では莫大なお金がかかるし、A社は当日に作品持って帰れるし、今回は1人じゃないからいいだろ、と思って申し込んだのですが、またまた申込にあれこれいちゃもんつけられたり(先方はそういう意図はないのだろうが)、あたしひとりだけ持ち込みしたいと言ったら、最初了承してサイズをきいてきて、「持ち帰り用の風呂敷を用意するように」とか言ってきたくせに、あとから「全員当店の用意したものでないと難しい」と言い出したり、あたしの苗字が外国人の夫のもので外国の名前だから「お子さんは日本語理解できますか。あなたが通訳したとしても、日本語が母語のひとでないと難しいです」。さらには、子ども3人とあたしの合計4人で申し込んでいたんだが、「小学生のお子さんがいるので、あなたが体験しつつ、お子さんをみるのは大変と思います。」と言われて結局あたしはサポートに回り、子ども3人だけが体験することに。

そんなやりとりも、普通一度で済ませられるだろ!
と思える内容を何度も、しかもやはり不躾な感じがしてすごく感じが悪い。
よっぽどキャンセルしたろかと、すぐ気を悪くするわたしは思ったが子どものためにぐっとこらえて当日でかけたら、子どもたちは今回のあれこれで一番楽しかったと言ってくれたので、我慢した甲斐があったとおもった。

欠けのあるものにすでに漆が塗ってあり、最後の捲きをするだけの抹茶茶碗か蕎麦猪口を選ぶようになっていたA社の体験に対して、B社ではひび、割れそれぞれひとつずつ、好きな小皿を選ぶようになっていて、ひびと割れの修復を最初から体験するというもの。本物の漆だと時間がかかるので、ということで糊は漆の代わりに樹脂をつかってくっつけ、捲きは漆で行い、用意された木箱に両面テープで固定して蓋をして、それを保温バッグのなかに入れて濡らしたキッチンペーパーを入れて持ち帰り、2週間は木箱をあけずに高温多湿の状態に置いて漆を「乾かす」そう。

A社は金継の背景を知り、能でいうたら「仕舞」、ハイライトな部分をええ材料を使ってする、いうものですね。B社は安物、簡易でありつつ、一通りの作業を体験できた。

そういう違いって、ウェブサイトの情報だけではわかりませんね。
両方、経験して違いがわかってよかった。

自分ももうすこしやってみたいな~と思い始め、A社のお高い教室にエッフェル塔から飛び降りる気持ちで参加するか、ハンズか画材店で安い材料調達して、手持ちの本(淡交社の金継の方法記した本持ってるとです)見ながら安い市販品で進めてみるか、思案中です。

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