ポジティブ思考

ロシア人の夫は、ひじょーに頭のいいひとです。

数学で強いロシアの中でも最高の理系大学の出身で
めちゃめちゃ頭いいのに、ぜんぜん偉ぶらずに優しくて、
バカなわたしにもものすごくわかりやすいように説明してくれます。

とてもとても頭がよくて、優秀なソフトウェアエンジニアの彼ですが、
言語に対して能力が割かれていないので、日本語は、それでも20うんねん前よりは上達しているものの、ビジネスで運用できるものとは程遠く、
それでも、40歳代までは社長が英語できたり、理解があったり、
プログラマ言語や仕様には支障がなかったので正社員の職を得られていたのですが
50歳代になってからは、業務縮小で職を失ってから、なかなか職を得られません。

わたしも、自分の仕事の合間、彼の仕事を探しては彼のかわりに応募してみるのですが、ことごとくNG。なかには、彼の能力をかってくれるところもあるのですが、日本語能力の乏しさでNG。ソフトウェアエンジニアとしては、かなり優秀らしいのですが、わたしには門外漢のため、うまく売り込んだり、つないだりすることができません。

ほんとうだったら、すごく優秀なひとだのに…と、とある縁で、社長が英国大学の出身だと知ったいまをときめくサイバー関係の某企業に、正直に「言語がネックとなって、なかなか職につけませんが、社長が英国大学出身だということで、ハードルが低いのではないかと期待して応募します」と書き送ったら、ご親切にも今後の参考として「原因を他になすりつけているのがネガティブ」とかダメ出しされてしまいました。

わたしが勝手に応募して、たまさか面接までこぎつけるときちんと準備して出かけてくれる彼。でも結果ダメばかりなのに、落ち込むこともなく
「会社に受け入れられないけれど、ぼくは自分ができることを知っているから、それによって自信喪失することはない」
と言います。ささいなことで自信なくして右往左往しているわたしなんか、うらやましい。その強さを、欲しい。

旧ソ連人の強さというより、彼の個人的な資質な部分も多いようです。
「とあるプロジェクトの案があって、参加候補者の精神鑑定があったけれど、ぼくは精神異常と正常のボーダーだった」
というようなことを言っていました。

わたしは略奪婚で、彼が日本に帯同してきたロシア人の妻子をロシアに追い返すことになったのですが、追い返したあとに写真を整理していて、彼の幼い娘の写真を「捨てる」ほうにわけてたので
「え、いいの???」
と問うたらば、
「いまは必要ない。ぼくが欲しくなったら、『写真ちょうだい』とお願いするからいい」
と涼し気な顔で言っていました。
その後、写真をお願いしている様子はありませんでしたが。

そういうように、「じぶんに、必要ない」と思ったものは容赦なく切り捨てられる精神の持ち主で、その他動向から、彼との間にできた、いまは成人した娘と「ロボット」と陰口たたいています。

いま、就職活動に苦戦している娘との将来をみすえての話し合いから、現在の我が家の状況になり、いま住んでいるマンションは売って、よほど安い賃貸に引っ越さなければやっていけない等、わりと深刻な話になりましたが、ある程度話の区切りがついたところで
「じゃ、(毎日20時ごろになると開始する)ネットの戦闘ゲームするね」。

わたしにはない、彼のこの割り切れさ加減、ポジティブ思考が大好きで、救われます。

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