シャニ短歌のまとめと一言感想 2022.05

なんやかんやで2ヶ月続きました。
相変わらず短歌わかんねえなと思っています。


カミサマの隣は空白 全能を求められてはヒトには成れぬ

 全能者のパラドクスをネタにして作ったもの。
 人が祭り上げられて神にされることの邪悪さについてはそのうちシャニマスが語り始めそう。


朝先に目覚めた方が甘奈役 ママも知らない姉妹(わたし)の秘密

 やろうと思えば完璧な甘奈のものまねができる甜花ちゃん概念が好きです。
 双子入れ替わり、シャニならハロウィンなりエイプリルフールでありえなくもないのが怖いところ。


透明が色づくほどに満たされた惑星は未だ熟れてない青

 オイサラバエルを読みました。浅倉透の存在に曝され続けた人間による美しさの話、とてもよかったです。樋口は青い地球を美しいと思うのでしょうか。
 歌については特に解説できるようなことはなく、ただ抽象的な宇宙の景色を想像しながら作っていました。
 絵が描けないから文字で書いた。


新作のゲームと毛布とMΦNSTER 我もまたアルカディアにあらん

 大作ゲームを買うとまず大鍋一杯にカレーを作る習慣があります(食事の心配をせず遊び続けるため)。甜花ちゃんにもそういう儀式があるのかななどと考えながら作りました。
 下の句は『我もまたアルカディアにあり/著:江波光則』という、労働の必要がなくなった世界の人類が緩やかに滅びへ向かうディストピアSF小説のタイトルを引っ張っています。歌ではアルカディアを単なるフィクションにおける楽園の名として、ゲームの主人公と自身を重ねる甜花ちゃんのフレーズとして使いましたが、ディストピアとして読むとなんか違う意味になりそうだと思いつつ、特に浮かんでいません。


もうすでに今年二度目の五月病

575でオチがついてしまい77を付け足す余地が見つからなかったためこのまま完成。


炭酸は見てるのが好き 触らずにいれば不変と思ってたから

『「歩かなければ、どこへでも踏み出せる」 その考えは、甘いということ』
という4thライブday1の樋口の手紙がとても印象的でした。
 過去の樋口は可能性を狭めたくないがゆえに何もしないを選んでいた子で、今は(ライブ時点の樋口がどの時間軸にいるのかわかりませんが)それが間違っていることを知っている。
 樋口が炭酸苦手という設定が公式だったか二次創作だったかが思い出せない。


浴場に転がっていたヘアピンを隣戸を叩く口実にする

 「浴室に落ちているヘアピン」を何かに使いたいなとメモしていて、それを寮と合わせた途端に咲也コミュが生えてきた。
 音を合わせるために色々調べて「隣戸」という語を見つけたのですが、この熟語は主にマンションのベランダの避難壁くらいでしか使用されてない言葉らしいです。


淡青の空に跳ねれば爪先は影と分かたれイデアと為れり

 元ネタは[かぜかんむりのこどもたち]から。
 霧子コミュは相変わらず難解で解釈はいろいろあると思うのですが、[幽谷霧子]が周囲から照らされることで生まれる影が[アイドル:幽谷霧子]である…という話だと私は読みました。そこから、霧子がジャンプするガシャ演出は影と完全に分離した瞬間の霧子自身を見せてくれていたのかな、などと思えてこの歌ができました。
 アイドルが影の姿であるという解釈はストーリー・ストーリーの「生きてることは物語じゃない」などとも重なる感じがあって霧子の理解が進められた気がしています。


赤の目が出たらふりだしに戻れる アタシもうサイコロを振れない

 「神様はサイコロを振らない」のフレーズを使おうと思ってできた歌。
 過去に帰りたいルカと、そのチャンスを永遠に失うのが怖いルカ。
 カミサマになったからサイコロを振れなくなったのか、サイコロを振れないからカミサマになったのか。


今はもう手の中にある流星の欠片に私の名前を付ける


 4thの涼本さんの挨拶、「叶った夢の名前はなんていうんだろう」に対するアンサーを考えていました。
 叶った夢は叶えた人間の名で呼ばれます。


真面目だがたまに突飛なことも言う そこがあの子の可愛いところ(あとでエゴサをラクにするため)

 ルビ遊び。握手会でちょっとよくわからんことを言うこともあるけど、オタクはそれで喜ぶし冬優子はそのフレーズでエゴサしてオタクのアカウントを特定する(玄関クワガタストーカーの手口)。


糸電話 貴方に一歩近づいて弛んだ弦に声を隠した

 今月一番のお気に入り。
 糸電話の語を思いついた瞬間にスルスルっと湧いてそのままたいした推敲もしないまま勢いで投稿したので、自分の実力にはなっていないというかラッキーパンチの感はある。というか、「一歩近づくと聞こえなくなる糸電話」というネタが出来すぎていて有名な歌があるんじゃないかと思っている。
 歌意はそのまんまで、隠した内容も具体的なことは決めてないです。


青い鳥は隣にいると告げられてそれでも進む、しか選べない

 モノラル・ダイアローグスを読んで。
 アイドルはファンの方を見るものですが、美琴はステージの奥に向かって走っていて、今付いているファンもその背中を見ているような感じがあります。
 早くシーズを救ってくれ。


白肌のサニーサイドに塩を振る 山羊座も探す朝の占い

 星座占いって独りで見ていると当たりが1/12しかなくて11/12は虚無の時間なんですよね。千雪さんが283に入って、アルストになって、星座占いの当たりが増えたことを幸せと思っていてほしい。


竹串で煮込み具合を見るように君の温度をチクチク探る

 許容ラインを探るような摩美々のコミュニケーション方法について。
 いくつかお褒めの言葉をいただけて嬉しかったのですが、自分では「煮物を竹串で探る」というモチーフと摩美々の人物像がミスマッチかなと思いながら投稿していたので少し意外でした。


逆転のムーンショットが打ち鳴らす鐘高らかにはるか故郷まで

 元気な恋鐘の歌を作ってみたかった。イメージは[雪、えとせとら]のフェス衣装。
 「ムーンショットが打ち鳴らす」がサビで、下の句は余韻。


窓際にしおれたポトスあの子みたいに水をやる気にはなれない

 自宅の鉢植えが弱っているのをみて詠んだ。投稿時は事務所でだらんとしている摩美々を想像していましたが、霧子とモブないし霧子と俺についての歌だったかもしれません。


美化もせずただ薄れゆく故郷の五月に残る雪は汚い

 モノラル・ダイアローグ後の、帰省した美琴について。
 地元に特に思い入れが見えない美琴は10年の東京生活の中で北海道の生活をただぼんやりと忘れ、5月に帰省した時に初めて「そういえばこっちは5月まで雪が残っているんだった、このころの雪山は廃棄ガスなんかが溶けだしていて汚いんだった」という風に思い出すんじゃないか、そういう話です。


脚光が映せし影の物語 障子の裏は兎か狗か

 ストーリー・ストーリーについて。
 このイベントの頃にシャニマスを始めて、二次元アイドルコンテンツとして挑戦的すぎるシナリオにびっくりしたのを覚えています。また、その直後に実際のリアリティーショーで事件があったこともあり復刻はないと思っていたので今回の復刻にも少し驚きました。
 上でも書きましたが、かぜかんむりや霧子GRADを踏まえて改めて読み直す『生きてることは物語じゃない』がより味わい深かったです。


祝福も素直に受け取らない君のその前髪のナナメの角度

 摩美々誕歌。前髪三人連打は面白かったです。
 斜めぱっつんの強烈な属性に食われないキャラデザすげえなあ。


虹彩(アイリス)が捕らえた空は写せずにこのクオリアを何に例えよう

 クオリアとそれについてのコミュニケーションの話。
 紫色のクオリアというラノベでこの単語を覚えたのでいつもその本の表紙を思い出します。


愛用の裁縫セットのものさしにまるく書かれた『くわ山 千雪』

 習ってない漢字をひらがなで書いているネタで一個作りたかった歌。
 裁縫セット、千雪さんならおしゃれなのを新しく買っているかもしれないけど、中身は小学校の裁縫セットのものさしや母親から貰った裁ちばさみがあったりすると良い。


追いかけてシュヴァルツシルト半径の内 覚悟して目指す極点

 シュヴァルツシルト半径とはめちゃくちゃざっくり言うとブラックホールの大きさのこと。浅倉を追いかけて踏み込んだ場所はすでにブラックホール内で、樋口自身も周囲を惹きつけるブラックホールの一部となっている…イメージ。
 似た意味合いの用語で「事象の地平面」という言葉もあったのですが、若干ポエジーすぎるというか、知らない人はブラックホールに関する語だと気付かずに読んでしまう可能性があったので、いっそあからさまに専門用語な方にしました。嘘、ドイツ語が格好良かったからです。
 全然専門ではないですが、宇宙モチーフ大好きです。


神託の示すとおりに乗り換えて聖蹟桜ヶ丘は孤島

 関東の路線網は複雑すぎて乗換アプリ無しで移動できる気がしませんが、アプリ頼りでいると経路が把握できず、最寄り駅と目的地が地続きなのかわからなくなってきます。
 美琴もそんな感じで東京に10年暮らしても自宅・事務所・レッスン場などがバラバラに浮いていて繋がっていないんだろうなという想像と、美琴がシーズを始めるためには283プロに来るに至るまでの10年ないし24年の経路をちゃんと把握する必要があるんだろうなという考えを重ねて作りました。


Life goes on 白米に染むすき鍋の Life goes on 甘きまほろば


 元コミュは[夜よこノ窓は塗らないデ]。
 にちかがようやく隙を見せてくれるようになったというか、内に入れてもらえた感じがして少し安心しました。
 にちかについて暗い歌ばっか作ってたので、柔らかいものが作れて良かったです。


終わりに

 シャニ短歌を始めてから短歌のネタを探す視点が増え、コミュを読むときの楽しみが増したように感じています。
 ここまでお読みくださり誠にありがとうございました。




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