シャニ短歌のまとめと一言感想 2022.09

 先月は歌会にたくさん参加できて楽しかったです

シャニマス詩歌部 シナリオイベント歌会「For Your Eyes Only」

銀の月 シミュレートした機械にはWhy done itだけが解けない

 シナリオ歌会をやるということでイベ予告を見た段階からぼんやりミステリー小説のことを考えており、その中で思いついていたwhy/who/how done itの言葉を使って組み立てた歌。
 イベコミュ中の真乃がすべての謎は解かれたがっているという風な発言をしており、マノにとっての一番解かれたかった謎は起こした事件のwhy done it, ヒオリが解析を駆使して解いた謎は(マノにとっては)核心ではなかったということをコミュを咀嚼しながら考えてこの形になりました。
 銀の月は共感覚を示す暗号として置いたつもりですが、上の句は全体的に推敲の余地がまだありそうな気がしています。

琥珀色の味のパフェ見る瞳にも日本語で「食べたい」と書いてる

 カフェにて真乃がケーキを食べたそうにしていたことをめぐるが言い当てた話。
 共感覚者の目も口ほどに物を言う、見えているものが違うとしてもそれぞれ受け取るものはあるしそれが素晴らしいことを伝えたいというめぐる/メグルの在り方を詠みたかった。
「琥珀色の味」は共感覚者から見たパフェ観を絞りだした表現でしたが、俺の目に月は金色なので合ってるのかわかりません。

16歳 禁止事項もスパイスでこそあど言葉まみれの車内

 仕事により制限されたコミュニケーションをゲーム的に感じてそれ自体が面白くなって、他所には伝わらないその場だけの妙なノリで盛り上がるというのがとても高校生的で懐かしいものがありました。
 一生こういう会話しててほしいし自分もしていたい。

ふ、と闇が舞台を満たす ざわめきはマイクを立てた瞬間に止む

 美琴の誕生日というものを考えたときにどうしてもネガティブな歌を作ってしまうと感じたので緊急回避策として誕生日要素は無視して作りました。
 ライブ開始の一瞬のモノローグで、この後のライブの展開を読み手の想像に任せることがうまくいったと思っています。
 詩歌部で他の方のライブ中の歌と並べていただいたこともうまく作用していたようで良かったです。

シャニマス詩歌部 第八回プロト歌会

「あんまんをふたつください」の声に似たゆるい時報が響く有線

 歌意としてはコンビニバイトの徳丸君が有線放送の「ぴ・ぴ・ぴ・ぴーん」という甜花ちゃんの時報を聞いて、いつもあんまんを買いに来る客の声に似てるなと気付くというもの。
 元コミュを付記できるプロトだからと冒険してみたのですが、徳丸君、甜花ちゃんの時報、あんまんなどY/Mの中でも傍流の要素を詰め込んでしまい伝えきれてなかったのが反省点。

倍速で人気ドラマを流し見る 鈍色の夜が乾かすネイル

 マニキュアを乾かす時間を業界研究に充てる冬優子の様子。
 追加組3ユニットのキャラは既に完成している世界観へのテコ入れとして作られた故にそれぞれのキャラ自体の味が濃く、場面描写するだけで何らかの意味合いが出てくる傾向が強いと感じます。

人生みたいに踏みつぶされた映画館をストリートビューがまだ覚えてる 

 浅倉のLPについてはすでに詠んだことがあり、その時もgoogle mapの話だったので焼き直しです。浅倉LP好きすぎ。
「人生みたいに」は「街はつづく、人生みたいに」の引用で、洒落たキャッチコピーの下に行われる再開発によって潰されているものもあるという浅倉視点の皮肉を込めていました。

出目×5000$ってくらいしか知らないけどアタシでいいのかよ?

人生ゲームのタレントの給料がルーレットの出目×5000$で、スカウト時点の樹里のアイドルへのイメージはその程度じゃないかという歌。
プロトの自由詠という場による冒険心から出したネタ一点突破の歌でしたが、感覚が伝わる人が何人かいらっしゃって良かったです。

土の熱、覚えてますか。空の色、忘れましたか。無音の風鈴

 霧子誕歌だけど誕生日要素はなく、過ぎ去った夏に思いを馳せる霧子の歌。
 まず最初に【縷・縷・屡・来】や【琴・禽・空・華】などで語られた命と記憶の話を元に二,四句を置いて形を決め、そこから初句,三句と結句について考えました。
 発言内容を一意に読み取ることは難しい霧子の塩梅を再現しようというのを念頭に伝わりやすさ無視で作った自己満足歌だったのですが、ほぼ完璧に受け取ってくださった方がいて、自分で作っておきながらかなり驚きました。俺も霧子をちゃんとわかるようになりたい。

第12回シャニマス詩歌部歌会

ヒーローの話題控える通学路 体操服の袋を小突く

「小突く」の部分は最初は「蹴飛ばす」「キック」などとしていたのですが、寂しさの表現としてはアグレッシブすぎ&果穂は良い子なのでマイルドめな表現に。
 釣られた体操服の袋を膝で蹴って歩く小学生という光景は題字「服」について考えてなければ切り抜いて言語化することはできなかったので題詠のありがたさを感じた歌でした。

故郷へ吉報告げる口ぶりに仄かに香る四万十の風

 電話口で方言の混じる咲耶を周囲が少しニヤニヤしながら見ているイメージ。
 四万十=高知の雑認識で使っていたのでその辺をツッコまれるとやばいと思いつつ出した歌でした。
 関西出身・関東現住なのですが、加齢なのか郷愁なのか年を経るごとに方言に対する愛しさが大きくなっています。

秋晴れの台風一過 昨晩の大貧民は玄関を掃く

 台風の晩のトランプ大会と翌朝の罰ゲーム。最初は秋⇒落ち葉⇒寮で焼き芋みたいなことを考えていたのですが、ちょうど台風が来ていて思いついた歌でした。
 樹里になったのは半ば消去法ではあるのですが、寮組でトランプ弱そうかつ罰ゲームとして掃除をやっている姿がしっくりくるというのが理由。
詠んでいる光景は朝の樹里の姿、その後前日の寮組が想像される構造にはかなり満足しています。
 初句の秋晴れという語は台風一過に意味要素が内包されて被っているため、この歌については題詠でなければorちゃんと推敲できていればより良い歌にできたかもというのが反省点です。

カッコいいところ見せたい 酔わせないカメラ操作と魅せプの特訓

 ゲーム配信のお仕事が決まった甜花ちゃんの歌。タイミング的にもスプラを想定。
 ゲームは得意な甜花ちゃんですが人に見せるという観点で考えると、単純な巧さ強さとは別の技術が合わせて要求されます。新しい視点で取り組むゲームの新鮮さや、趣味特技が役立つ仕事へのいつも以上に前向きなモチベーションを表現したいと考えながら作りました。
 薄桃色の頃にシャニマスを始めた俺は大崎甜花さんのことをめちゃめちゃ格好いいと思っているし格好いいところを見たいと思っています。


おわりに

 自分はこれまでに絵やら文章やら作ってみては自分から出力されたものを好きになれず垢消しというのを何度か繰り返していたのですが、二次創作短歌は良い意味で自分から生まれた感覚が薄く、半年たってもまだ自作を好きなままでいられています。短歌っていいですね。

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