8月6日の朝
今年の初めに祖父が死んだ。今日は8月6日なので、彼の名前が刻まれた名簿が原爆慰霊碑に入る。何千人かの、この1年で死んだ人の1人として。祖母の名前は数年前にすでに載っているから、夫婦が名簿のうえで揃う。
テレビで中継されるから知っている人も多いと思うけど、広島の平和記念公園では8時15分の原爆が投下された時間にあわせて式典が開催される。
各国から要人が来ることばかりが話題になるけど、式典は被爆者の家族のためのものだ。
夏の暑い盛りに早朝から、わざわざ喪服を着て参列する死没者の家族がそこにはいるのだ。思想とか主張とかはなく、ただただ法事のように亡くなった人々を思う人たちがいるのだ。
どんな素晴らしいスピーチも、どんな有名人も飾りでしかないことを知ってほしい。
私はその場には行けないけれど、亡くなった人々に思いをはせるためにテレビをつける。そして15分になったら目を閉じて祈るのだ。宗教心のないわたしには祈るというのが、適切な言葉なのか分からない。
平和のためなのか、未来のためなのかそれは分からない。ただ、数分間 祖父と祖母のことを思うんだと思う。
おわり
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