見出し画像

松坂桃李が出ている映画なら見る


昔からキムタクが出る映画を必ず追って観ている。

2000年代の彼の映画やドラマはどれも陰湿なシーンが少なく、後味の悪い結末もない。大体はスカッとした結末が待っていて、観終わった後も気持ちがいい。当時の私にとっては、それこそが映画やドラマを見る意味だった。

キムタクといえば、表面的にはとっつきにくい人物でありながら、周囲の人からは可愛がられており、ヒロインの女性はそんな彼に振り回されつつも、物語の終盤には彼が胸の内に秘めた熱い想いを知って彼の魅力に気がつく、という役柄を演じさせたら右に出るものはいない。その役柄にはもうキムタクと名前をつけていいぐらい、そのポジションは日本にキムタクしかいない。

(・・・いや、ヒロインとの関係性を除けば、大泉洋もこの役柄はぴったりかもしれない)

今でもキムタクの出る映画は必ずチェックしている。最近では検察側の殺人やマスカレード・ホテルが良かった(どちらもアマゾンプライムビデオで観られます。両方とも傑作!)。キムタクの演技は渋くて格好良く、映画の作りはものすごく豪華だった。お金をかけて素晴らしい邦画を作るなら、その中心にはキムタクがいてほしいなと思う。


キムタクの他には、松坂桃李が出る映画はほとんどチェックしている。

松坂桃李を意識して追うようになったきっかけは、2016年公開の「湯を沸かすほどの熱い愛」だ(こちらもアマゾンプライムビデオで観れます。オススメ!)。

映画後半になってひょっこり出てきた松坂桃李の演技に心を奪われた。宮沢りえの怪演と目頭が熱くなる展開にはもう感動しっぱなしで、本当に素晴らしい映画なのだけど、その中に一人だけ平熱のような存在感の松坂桃李が、胸のど真ん中に飛び込んできた。こんなにすごい俳優がいるんだ、という気づきに震えた。この映画をきっかけに、意識して松坂桃李を追いかけるようになった。

端正な顔立ちの彼には、正義というキーワードがよく似合う。愚直で青い、青年のような彼が巨大な悪に触れて立ち向かい、成長していく姿には胸が熱くなる。

最近だと、「狐狼の血」と「新聞記者」の松坂桃李は本当にもう素晴らしかった。映画自体もすごく面白かったし(どちらもネットフリックスで見れます!)、松坂桃李主演の映画には間違いがないな、と確信するに至った二作だ。

上にあげた二つの映画は、暴力的な表現が激しく、あるいは社会的メッセージが強いせいで、大衆受けしないということを承知の上で主演した二作だ。名前を売るためにというよりも、脚本によって出演する映画を決めるという決意を感じた。そしてその二作は間違いなく傑作だった。

作中の松坂桃李の目には、うっすらと青い炎が宿る瞬間がある。苦汁を嘗めて追い込まれ、不退転の覚悟を決めた瞬間、彼の目の色が変わる。そこでまた一段グッと映画の世界に引き込まれ、一緒になって両手を握りしめる。映画のギアが上がる瞬間だ。

やっぱり、松坂桃李はすごい。

今追うべき俳優は、松坂桃李で間違いないのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?