家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています 感想

「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」という映画をみた。面白かった。榮倉奈々も、安田顕もうまい。脚本もいい。タイトルのおかしさと妻の奇行で面白くしたぶん、着地点は日常に寄り添うような優しい雰囲気。明日も好きな人と過ごそうと思える。気持ちのいい映画だった。

今ならNetflixにあるので、ぜひ見てみてください。


一つだけ気になったのは、「月が綺麗ですね」の一節だった。おそらくこの映画の満足度を下げる唯一のポイントだ。
「私のことをどう思っていますか?」「私に不満がありますか?」と繰り返し聞く夫に対し、妻は夜空を見上げ「月が綺麗ですね」と返す。この言葉の意味を知っている人にとっては、気にも留めないシーンである。夫の疑問に対して、少し変わった妻が古風な言い方で「月が綺麗ですね(=愛しています)」と返事したのだと理解してしまうのだ。

映画の後半、安田顕が妻の実家で国語便覧を見つけ、その言葉の意味を知る。そこでやっと妻の思いに気がつく。という流れなのだが、視聴者として、安田顕と同じような思考回路をたどりたかったと思ってしまった。このシーンの演出もあまり説明的でなかったので、監督の意図としても、「月が綺麗ですね」の言葉がある程度市民権を得ているという前提での演出だったのだろう。

「月が綺麗ですね(=愛しています)」だと知ってしまった私たちは、安田顕が国語便覧を開いた時のような衝撃を感じることができなかった。安田顕が羨ましいと思ってしまった。安田顕よりこの物語を楽しめることができなかったと思ってしまった。

では、どんな言葉だったら良かったのだろう。

「月が綺麗ですね」の代わりになる言葉を考えてみたい。

長くなってしまうので、以下のnoteに続きを書く。




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