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地域おこし協力忍としてやるべきこととやりたいこと

甲賀市の地域おこし協力隊になって2週間が経ちました。もう忍者としてやってるので、「地域おこし協力忍」と勝手に名乗ってやろうと思います(笑)

「地方移住」という響きは、自然豊かな田園風景広がる田舎で、ゆったりたっぷりの〜んびりと暮らしていくイメージが湧きがちですよね。

僕もそんな感じかなと思ってはいたんですが…

なんかめっちゃ忙しいです!笑

これまでの仕事や原稿や論文、動画編集の依頼が溜まってる中、新しい環境でたくさんのお仕事が降って来るだけでなく、地元への挨拶や取材対応など、たぶん人生で5本の指に入るくらい忙しかったかもしれません…笑

週1くらいでnote書こうと思っていたのに全く書けませんでしたが、今回は地域おこし協力隊となってどんな活動をするのか、どんな活動をしたいと思っているのかを書いていきたいと思います。

観光振興活動と企画提案活動

他の地域ではフリーミッション型など、ほとんど決められたミッションがない所もあると思いますが、甲賀市では大きく2タイプの活動を行うことになっています。

1つは地域が推進している観光事業を支援する「観光振興活動」、もう1つは自らが主体となって地域おこしに必要なこと提案しながら活動していく「企画提案活動」です。

今回の制度では、個人事業主である僕が市から委嘱を受けて、(一社)甲賀市観光まちづくり協会に派遣される、という立て付けになっています。観光協会がいわゆる「受入団体」になってくれているというわけですね。

この観光協会が行う忍者観光に関連する事業を支援するのが、観光振興活動にあたります。つまり、助っ人的存在として諸々の業務を行う形です。

う~ん…特定のミッションのために期間限定で駆り出されるのって、とっても忍者っぽくて良き!

観光振興活動は「甲賀流リアル忍者館」の運営業務

その中で、僕の場合は甲賀に去年オープンした忍者の観光拠点施設「甲賀流リアル忍者館」のマネジメントがメインの担当業務となりました。

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ちなみに忍者の家から自転車で5分です。この近さ、最高です!

タスクとしては、施設の維持管理、観光情報の案内、売店管理、イベント企画、展示の検討、広報、パートさんの労務管理など、なんかこれだけやってて3年間終わるんじゃないか…ってほどやることがいっぱい。

いや〜たまに旅行に行って観光案内所に暇そうに座ってるおばちゃんとか見てたので、「地方の観光協会はいつも暇なんじゃないか」と思ってた時期もありました。

ですが中に入ってみたら、他にも駅や他の施設の指定管理とか、イベントとか会員対応、キャンペーンなどもやってて、少ない人数でよくこんだけのタスク回してるな…と思います。ずっとIT畑だったので現場というものに全然経験がないのもありますが、素直にすごいです。

いまはまだ慣れていないのであっぷあっぷしていますが、もう少し時間が経てば、慣れてきて余裕も出てくるかな〜とは思うので、それまで頑張るのみですね!

それにしても、お客様から電話で桜の見所とか、信楽の陶芸についてとか、土山や水口の宿場町などについての電話問い合わせが来るのですが、もう知らないことばっかり。。忍者のことならバシッと答えられるんですが、忍者以外のことはまったく知りません。勉強しながらキャッチアップしていきたいと思います。

甲賀流リアル忍者館がどんなところかは、また別の機会に紹介したいと思います。

甲賀忍者を盛り上げるためには?

甲賀の観光を推進する!というミッションをこなしつつ、もう1つ、3年間のうちにやらなければならないのが企画提案活動です。

甲賀の忍者を盛り上げるためには何が必要なのか?を考えた時に、以下のあたりが課題なんじゃないかな・・・と思っています。

①服部半蔵や風魔小太郎のような有名な忍者がいない
②各スポットが徒歩圏内で行ける範囲に揃っていない
③観光の重要要素である「見る・食べる・癒される」の突出したものがない

順番に説明していきましょう。

①有名な忍者がいない

伊賀には服部半蔵や百地丹波、藤林長門がいます。小田原には風魔小太郎がいます。では甲賀には…?

マニアックな僕からしたら、もちろんいろんな甲賀忍者の名前は出てくるのですが、多分一般の人からしたら、実在した戦国の甲賀忍者の名前なんて出てこないんじゃないでしょうか?フィクションでも、猿飛佐助、ケムマキくん、甲賀弦之介くらいしか思い浮かばないのでは…?

そうなんです。甲賀にはいわゆる忍者のスーパースター(として認識されている人)がいないんです。

甲賀二十一家とか五十三家などの甲賀古士と呼ばれる元忍者達や、江戸幕府や他藩に取り立てられた忍者達などはいるのですが、いまいち有名にはなりきっていないんですよね。まぁ名前が知られる有名な忍者は、忍者としては優秀ではないのである種有能なんですけど(笑)

伊賀を殲滅しようとする信長側についた甲賀忍者や、秀吉に怒られて武士身分を剥奪された甲賀忍者、家康の窮地を救って褒められた甲賀忍者もいて、それはまあたくさんの活躍をしているのですが、なぜか伊賀忍者ほどにカッコいい忍者として認識されないんです。

おそらくこれは伊賀を正義、甲賀を悪とするフィクションが多かったことの影響だと思うのですが、この辺りをちゃんと研究して、正しく発信をしていきたい。1つ目のやりたいことは、この研究→発信の流れです。

今はちょっと更新止まってしまっていますが、NinjackやYouTube、ネットラジオなどで、その辺りも発信していきたいなと思っています。

②各スポットが徒歩圏内で行ける範囲に揃っていない

甲賀にはいろんな忍者を感じられる史跡やスポットがあります。これを巡ったりするとやっぱり忍者オタク的にはおもしろい。

でも甲賀を一度訪れた人はわかると思うのですが、基本的に車がないと行きたいところに行けません。甲賀に行ったら甲賀の里忍術村・甲賀流忍術屋敷・油日神社は行きたいところですが、電車の駅はすべて別だし、駅からもかなり歩きますし、バスも走っていません。とにかく回りづらいんですよね。

基本的に甲賀に来る人は県内か近隣県の方が多いのですが、いずれも車での来訪っぽいです。甲賀市内にはI.C.が3つもあって、車で来るには便利かもしれません。でも関東からいつも甲賀流忍者検定で甲賀に訪れるたびに、草津線に乗るのは楽しいものの、着いてからの移動に困るっていうのが結構ありました。

交通網については利用者が多くないと発達させることはできませんし、かといって交通の便が悪いと人も来ない。にわとりたまごの世界です。ですが、マチュピチュ遺跡に27時間かけていく人がいるように、今の時代は強烈なコンテンツさえあれば、多少不便でもそれを乗り越えて行く人は出てくるでしょう。そうなってくるとやっぱり重要になってくるのはコンテンツなんだと思っています。

③「見る・食べる・癒される」の突出したものがない

観光に関する調査データなどを見ていると、絶景や美術品などの見るもの・おいしい食事・温泉などの癒し、が観光においては重要な要素となるようです。そしてそれらを包含する要素が「体験」です。

甲賀にも温泉はありますし、おいしい食事や桜の見所などもあるのですが、全国的に「甲賀が一番!」と言えるものがあるのかな?と思い浮かべると、あんまりないのではないでしょうか。

甲賀と聞いたときに人は何をイメージするのか。それは多分やっぱり「忍者」か「信楽焼」なんじゃないかと思います。(お茶も売り出していますが、自分はいままでで甲賀=お茶が浮かんだことはありませんでした)ちょっと前に見たデータのソースが見当たりませんが、忍者が一番だったような気がします。

やっぱりいろんなコンテンツがありふれるこの時代で、その地域で思い浮かぶものの強みをガンガン伸ばしていかないと、地方が生き残るというのは難しいのではないかと思います。人々は甲賀に忍者を期待している。だけど忍者を感じられるスポットといえば、離れた忍術村と忍術屋敷しかない。甲賀を訪れた人の体験の価値もっと感じていただくには、やっぱりもっと甲賀の忍者コンテンツを増やしていかねばならないと強く思っています。

見る忍者⇔なる忍者

一方で伊賀はどうでしょうか?伊賀上野城の中にある伊賀流忍者博物館には、たくさんの史料と忍具の展示、からくり屋敷、そして忍者ショーとしては日本一クオリティの高い阿修羅のステージがあります。城下町に行けばお土産も充実していて、忍者をモチーフにしたメニューのあるうどん屋や定食屋もあり、忍者部屋と呼ばれる部屋があるホテルもある。おそらく、忍者としては伊賀に行けばお腹いっぱいになることでしょう。

じゃあ伊賀の真似事をすれば伊賀に追いつき、追い越せるのでしょうか?それは多分難しくて、あの形になるまで50年とかそれ以上の歳月を要しているはずですし、それだけの時間をかけて同じものを作ったとしても、距離が近いのもあってあまり意味がないと思います。

たった一つだけ、まだ伊賀も試行錯誤中でできていないことがあって、差別化するポイントは1つだけあるかなと思っています。それは上に挙げたものはいずれも「見る忍者」であることです。観光バスで乗り付けて物見遊山的に見ていくのは多分すごくマッチするのですが、そこで観光客が主体となって行うアクティビティがほぼ存在していないというのが、唯一の弱点なのではないかと考えています。

昔はバスに詰め込まれて決められたルートと時間で、施設やショーを見て、いいものを食べていい宿に泊まる、という物見遊山的な観光が主流でしたが、ネットも発達して、趣味嗜好も細分化した今では、FITが主流になっていると言われて久しいです。そうなってくると、やっぱりそこでしか体験できないアクティビティが重要になってきます。

そう考えた時に、甲賀には「甲賀の里忍術村」があって、ここは忍者になりきってアスレチック的に遊ぶことができるという施設があります。水蜘蛛に乗れるという体験は、ここか長野のちびっこ忍者村しかないんですよね。あれは大人気アトラクションです。

そう、甲賀には見る忍者じゃなくて、「なる忍者」の土壌が備わっています。要するに、「忍者になるための体験ができるアクティビティ」こそが、唯一伊賀と差別化できるコンテンツなんだと思うんです。

じゃあ忍術村があればええやん、というのはあるのですが、忍術村はお子様やファミリ―向けなので、もうちょっとだけディープに、もうちょっとだけマニアックに、外国人でも喜べるようなアクティビティが提供できると、甲賀の忍者体験の幅が広げられるのではないかと考えています。それがまさに、僕が甲賀で企画提案活動としてやりたいことです。

・今住んでいる甲賀忍者が昔本当に住んでた家を忍術学園の教室のようにして、忍術を座学で学べるコミュニティスペースがあったら…
・忍具を作る所から体験して、実際に甲賀の忍者達が戦った中世城郭で忍者サバゲ―みたいなことをやってみたら…
・信楽焼で焙烙火矢を作って、家に持ち帰って思い出にできたら…
・琵琶湖で大凧に乗って空飛べるのかを実験出来たら…

などなど、忍者・忍術の聖地である甲賀だからこそできて、忍術書にも基づいたもので、本格的な忍者アクティビティをたくさん作りたいんですよね。うー早くやりたい!

最初は地域支援活動がほとんどで、空いた時間があれば自主提案活動をやるのですが、今はまだそこまでの余裕はありません。とりあえず今年は観光支援をやって研究を進めつつ、来年度以降にガンガンアクティビティを作っていきたいと思っています!

最後まで御読み頂き忝く存じ奉り候。 忍者のことしか書いてなくてすみませぬ。 更に忍者の詳しい情報はこちらでどうぞ〜 https://ninjack.jp