心が震えたお芝居 ~舞台あの花の感想~

※この記事には「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のネタバレを一部含みます。

2023年8月9日から8月15日まで博品館劇場で開催されていた「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の千秋楽を観に行った時の感想記事だ。
これを12月に書いている点には目を瞑っていただきたい。
私は原作を知らないまま観に行き、大号泣で目を腫らしていた。
泣いたシーンはたくさんあるのだが、その中で1つ不思議なことがあったため、そのシーンについて記事を書こうと思う。

そのシーンは、本間芽衣子(めんま)の格好をした松雪集(ゆきあつ)が宿海仁太(じんたん)に掴みかかる という場面だ。
何故めんまが現れたのが自分ではなく、じんたんの元なのかという怒りとやりきれなさを叫ぶシーンであり、客観的に見ても泣くシーンではないと思う。
だが、ゆきあつ役の井坂郁巳さんの慟哭を聞いた瞬間、私は涙をこぼしていた。
他のシーンでは感動や悲しさで泣いたりしていたのだが、このシーンだけは、そのどちらにも当てはまらなかった。

どうしてそのシーンで泣いたのか、考えた結果が「心が震えたから」だと思った。
ゆきあつの感情を全力でぶつけられ、心揺さぶられた。
彼の自分に向いた怒り、八つ当たり的にじんたんへ向いた怒り、やりきれなさ、後悔。そういった感情のすべてが込められた慟哭で殴られた。
その出力の結果が涙だったのだと、当時を振り返って思う。

素人目線のため正確なことは言えないが、あの涙は舞台という場だったから流れたものだと思っている。
アニメや映画だったら音声の収録的な観点から声量や聞きやすさが優先されて、あの演技はなかったのではないか?と素人ながら感じた。
それほど強い叫びだった。私はあのお芝居を生で見られたことを忘れることはないだろうと強く思うほど、心が震え、記憶に刻まれている。

そのシーンが泣けるシーンかに関係なく、感情を揺さぶられて、心が震えて涙を流す という貴重な経験ができたことを非常に嬉しく思う。
数年前から声優さんを応援していることもあり、お芝居を見る/聞くこと自体は好きだったのだが、この1件で演技を見ることが更に好きになったのは間違いない。
最高の思い出をありがとうございました。



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