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カイコガ

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回顧録と創作のはざま
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記事一覧

カイコガ

ー蚕ー チョウ目カイコガ科に属する昆虫の一種。 和名はカイコガまたはカイコ。クワ(桑)を食…

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#だれにも、、、

両親が別居して母と二人移り住んだのは父の住む家から自転車で20分ほどの距離にあるアパートだ…

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#未熟という成熟

小学校一年の夏休みに入ったあたりから家事を手伝うようになった。 初めは夕飯の為の炊飯だっ…

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#堕ちる

母の暴力は日常的なものではなかったが一度火が付くと止められなかった。 背後には常に木刀が…

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#父がいた場所

家の中が悲惨な空間になっていたころ、もう一つ私にとって大きな出来事があった。父が定年を迎…

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#生い立ちという過去

実の母が私を産んだのは、彼女が16歳の頃だったらしい。 相手はチンピラ崩れのクズのような男…

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#夏のおもいで

ある夏休み、母の妹が住む村に泊りがけで遊びに行くことになった。 鈍行列車に揺られて数時間、駅に到着すると母にそっくりな末妹の叔母と 頭をはげ散らかした夫である叔父が出迎えた。彼らの自宅に到着すると私と同じ年の娘に、20歳前後の下駄のような顔をした姉、田舎のヤンキー臭を纏ったリーゼントにハコスカが愛車の兄の3人がいた。 どれくらい過ごす予定で訪れたのか記憶にはないが はっきりと覚えていることは2つ。 地元の村で花火大会が行われた夜、暗闇の中、花火が空を舞うたびに 花火もそ

#初恋

12歳。初めて恋をした。 母がパートで勤めているスーパーの息子だ。 県内でもそこそこ名のあ…

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#予感

幸せな日々が続いていた。 休みの日には彼が私の勉強を見てくれたり、デートみたいにファスト…

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#開花

あれ以来、自分に近づいてくる男はすべて、その種の人間だと思うように心掛けた。そう思えば驚…

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#求める

本能とは言葉や慈しみを必要としない生きるという行為だ。 あの日、彼と過ごした時間は”満た…

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#迷い道

私が人生の長い長い迷い道に入り込んでしまう、少し前の話を 記しておきたい。 あっけない初…

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#出遭う

この頃、母はよく自宅から歩いて数分の所にある居酒屋に呑みに出かけていた。 夕飯を済ませた1…

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#飼う

初めはほんの出来心。 出来心? いや、待っていたのだ。 彼が私を女として見てくれる日を。 略奪? 考えもしなかった。あの人の存在なんてどうでもよかった。 やっぱり生まれた時から何かが欠けてるんだろう。 その日は、朝から出掛ける約束をした。 車を少し走らせ、停車した場所は山間から覗く絶景だった。 無垢なフリをして感動してみせた。 14歳の私には不釣り合いなオーシャンビューのレストランで 葉っぱと魚介類にパン。想像の斜め上を行く味だった。 頭の中はそれどころじゃなかった。