40. 【日常編】繊維メーカーで勤務して得た日常の知恵 〜生地の組織編〜
Buongiorno a tutti!
前回は衣類に使われている繊維の知識についての記事を書きましたが、今回はその繊維を生地にするための織や編の知識について書いてみたいと思います。
前回の記事はこちら↓
・織物と編物の違い
みなさんは織物と編物をきちんと区別できますか?
服を買う時にも気にしていない人が多いのではないかと思いますが、実は意外と違いがあり、素材と同じように生地の性質に大きな影響があります。
なので今回はざっくりと織物と編物の違い、特徴をご紹介したいと思います。
・織物
ではまずは織物の説明から。
その名の通り、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織られた生地を指します。
数千本の経糸が固定されたところに緯糸を通して織るので、一番基本的なものですとチェック状に経糸と緯糸が交互に交差した見え方をしています。(これを平織りと言います)
ほとんどの織物が上記の3つのうちのどれかに当てはまるのですが、織物の共通した特徴としては頑丈さがあげられます。
後ほど紹介する編物とは違って、糸の密度が高くズレにくいので生地の型崩れが起きにくいです。
また密度が高いので突起物に引っかかりにくかったり、摩耗性にも強いです。
しかし、この組織を想像していただくと分かるかと思うのですが、基本的には糸の伸びがそのまま生地の伸びになるので、伸縮性は低いです。
(前回の記事で書いたポリウレタンの糸が入っている場合は織物でも伸びが良くなります。)
織物はシャツ、ブラウス、スーツ、ドレスなど、フォーマルなアイテムに使われることが多いです。
糸の表面が表に長く出るので、生地の見た目がツルッとしていて光沢やキレイさを表現できるのが特徴です。
キッチリとした服を買う際には織物の方がおすすめですね。
・編物
編物はいわゆるニットと呼ばれるものです。
編み物をする方は分かるかと思いますが、糸でループを作ってそれを鎖のようにつなげて生地にするイメージです。
実は編物にも、経編、緯編など種類がたくさんありますが、全体的な編物の特徴はなんといってもその伸縮性です。
図を見てもらえると良く分かるかと思いますが、引っ張ると鎖が伸びるような組織で作られています。
また、織物と比べて生産コストが低いので軽衣料によく使われる気がします。
これらの特徴から、Tシャツやインナー素材など伸縮性が必要な衣料に多く使われていますね。
しかし注意しなければならないのは、伸縮性による型崩れです。
洗濯したTシャツやセーターが縮んだり、ヨレたりするのは編物の負の特徴ですね。
なのでネットに入れて洗ったり、手洗いをしたりとケアが必要です。
また生地の密度が低いので突起物などに引っかかりやすく、ほつれが起きやすくもなります。
・まとめ
さて、織物と編物の違いについて簡単なご紹介をしてきました。
ぜひ、今後服を買う際には見た目、素材、織・編にも注意して服を選んでみてはいかがでしょうか。
この記事が、長く使える服はどんなものなのかを考える機会になればと思います。
それではまた
Grazie mille e alla prossima volta!
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