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留萌旅行記 ③ (留萌・増毛駅)
[前回はこちら↓]
朝に札幌を出発し、留萌本線の途中駅で何回か途中下車した後、留萌駅に到着した。
今回はかつての留萌本線の終点・増毛までバスで向かう。
(この記事は2021年12月に投稿したものを再編集しました。)
留萌駅
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留萌市はかつてニシン漁で栄えた街だ。
昭和時代中期以降は大幅に衰退してしまったものの、現在でも留萌港ではニシンの水揚げが行われており、その魚卵である数の子の生産は日本一となっている。
留萌本線は、このような海産物や当時留萌地方で採掘されていた石炭などを運ぶ為に建設された。
「本線」と名乗っているのは、このように重要な目的を持った路線であったことと、羽幌線と呼ばれる支線を持っていたからだ。
支線という表現は適切ではないかもしれないが、鉄道院(国鉄の前身)が定めた国有鉄道線路名称によって、全国の鉄道路線は23部の主要路線(本線)と、それに付随する中小規模の路線(支線)といった感じに分類されていた。
例えば、東北線の部(東北本線を主としたグループ)には山手線の一部や高崎線、さらに常磐線まで入っている。
留萌線の部には前述した羽幌線が所属しており、この為留萌本線は今もなお「本線」と呼ばれている。
因みに羽幌線とは留萌市(留萌本線)から羽幌町を通り幌延町(宗谷本線)に至る路線である。
総延長は本線である留萌本線よりも長い約141kmであったが、国鉄分割民営化の直前、JR北海道に移管されることなく廃線となった。
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留萌市は数の子をキャラクターとして押し出しているようだ。
留萌駅構内には駅そば屋が併設されている。
ここでは留萌名物のニシンの甘露煮が乗ったニシンそばを食べることが出来る。
今回昼食は別の場所で食べる予定なのでニシンそばは食べなかったが、留萌駅の駅弁であるにしんおやこ弁当を予約しておいた。
駅弁ではあるが、予約しないと買うことは出来ない。
店にはお客さんが結構いたので店の人に声を掛けるタイミングを見計らうのが大変だったが、なんとか駅弁を受け取った。
留萌市に到着したばかりではあるが、ここからは沿岸バスに乗り増毛(ましけ)町に向かう。
バス乗り場は駅から少し離れているので、駅を出て歩く。
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留萌駅。無骨な古い造りと掲げられた留萌の文字、そしてこの寂れた感じが何とも言えない。
バス乗り場にはたくさん人がいたので面食らったが、増毛方面のバスに乗る人は殆どいなかった。
観光客もそこそこいた感じだが、皆何処に行くのだろうか。
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国道231号線を南下していく。
車窓右手には日本海が開けてくる。
とても良い天気だ。
増毛
バスに揺られること約40分、旧増毛駅に到着した。
旧増毛駅を横目に、早速昼食の為目的の店に向かう。
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やってきたのは寿司のまつくらという店。
増毛町は留萌市と同様にニシン漁で栄えた街だが、他の海産物の水揚げも盛んに行われており、その中でも甘えびに関しては日本有数の漁獲量を誇ってる。
そんな甘えびをふんだんに使用したのが、この写真の甘えび丼。
ここの甘えびは今までに食べたものの中で一番美味しかった気がする。
人気店故に待ち時間が予想以上にかかってしまったが、満足して店を出る。
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通り過ぎてきた旧増毛駅に戻る。
”旧”と言う通り、現在は廃駅である。増毛はかつての留萌本線の終点であったが、2016年に留萌-増毛(16.7km)の区間が廃止された。
増毛駅の駅舎はその後増毛町に譲渡された後、写真の様に開業当時の状態に復元され、観光施設として利用されている。
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駅舎の中にはお土産売り場や廃止された留萌-増毛の区間に関する展示が行われている。
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廃止区間の最終列車に掲出されていたヘッドマーク風の物が展示されているが、実際に列車に掲出されていた訳ではないらしい。
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駅舎の外に出る。
ホームと線路は当時のまま残っており、終着駅の哀愁が漂う。
もうここに列車が来ることはない。
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再び街を歩く。
増毛町はかつて増毛支庁(振興局の前身)が置かれており、この地域の中心であった。
街中には写真の様な歴史を感じる建物が多く存在する。
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港町なので歩けばすぐに海が見える。
ありきたりかもしれないが、こういった道路の先にすぐ海が見える景色が好きだ。
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数分歩き、國稀(くにまれ)酒造に到着。
國稀は明治15年から続く歴史ある酒蔵であり、町の南の暑寒別岳連峰を源とする水を使用した日本酒を製造している。
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酒蔵の中を見学することが出来る。
お土産売り場もあったので、國稀の代表銘柄の一つである「北海鬼ころし」を使用した梅酒を購入した。
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ゆっくりしすぎて予定のバスの時刻を過ぎてしまったので、旧増毛駅で次のバスをのんびり待つ。
沿岸バスは留”萌”にちなんで(?)オリジナルの萌えキャラを使っている珍しいバス会社だ。
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駅前にキッチンカーがいたのでラテを購入。
國稀の甘酒を利用したラテらしく、独特な味わいだったが非常に美味しかった。
増毛町は留萌市よりも小規模な街で既に鉄道も通っていないが、駅などの歴史的建造物から酒、海産物を始めとした観光資源が豊富にあり、観光客は私の予想以上に多く賑わっている感じだった。
名残惜しいが、バスに乗車し留萌市に帰る。
バスに乗る客はまたしても殆どいなかった。
沢山いた観光客は皆車で来ているようだ。
留萌十字街で下車し、今日泊まるホテルに向かった。
留萌
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チェックイン後、昼間に購入したにしんおやこ弁当を開封。
雑にバッグに仕舞っていたので傾いてしまっていた。
中には大きな身欠きニシンと数の子が入っており、シンプルではあるものの満足感の高い駅弁だった。
ホテルでしばしの休憩後、日没の時間が近づいてきたので再び外に繰り出す。
前述したように、留萌は夕陽の街としても有名だ。
その夕陽を綺麗に見られる名所である黄金岬に歩いて向かう。
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街中を歩いていると留萌本線の廃線跡を発見。
線路は錆び、植物に覆われてしまっている。
山の中などで放置されているなら分かるが、普通に市街地に線路が放置されているのは中々無いような気がする。
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歩くこと十数分、海に出るとちょうど夕陽が見え始めた。日没寸前なので急ぐ。
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黄金岬に到着。
私たちの他にも観光客が来ており、三脚を構えている人も大勢いた。
私の写真だとどうしても貧弱に見えてしまうが、流石”日本一の夕陽のまち”を自称するだけあってその景色は圧巻だった。
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日没後の景色も綺麗だったので暫くその場に佇んでいた。
本格的に暗くなり始めたところで私たちもホテルへと引き返した。
この後は居酒屋に向かう予定だったが、疲れてしまっていたのでコンビニで適当に夕食を買ってホテルで食べることにした。
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セイコーマートに増毛産の洋なしを使用したアイスが売っていたので購入。
増毛は酒・海産物の他にも果物が有名らしい。
こういったものは本州では買えない気がしてついつい買ってしまう。
そしてホテルに到着。
本来は留萌本線の終電で藤山駅を見に行くつもりだったが、すっかり忘れてホテルでくつろいで寝てしまった。
③に続く・・・
↑ 本旅行の参考にした風流一人旅さんの動画