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陣痛、始まる〜出産編①

これは破水?

早朝、じわっと下着が濡れる感触で目を覚ます。おりもの?いや、もしかして破水ってやつなのか?あわててトイレへ。
朝一だったからおしっことの区別がつかない。いったん膀胱を空にしてからもティッシュをあてるとまだ濡れる。
透明、匂いなし。これはやはり破水というやつでは。
生理パッドをあてていったん布団にもどる。
で、どうするんだっけか。
陣痛の前に破水が起こることごあるのは当然知ってたし、ミッドワイフからも注意を受けてた。でも自分には起こらないという気がしていたのか、いざとなって何を言われたか覚えてない。
電話すべき?でもまだ5時だし。
もう一度トイレに行って確認してみるとパッドは濡れてない。あら、止まった?破水が止まることってあるのか?
しばし混乱しながら寝てるDDを起こす。破水したかも、と言ったらハリウッドのドラマチックな情景を連想したのかええっと飛び起きたけど、今止まってるんだけどね、というとぽか〜ん。よく分かってない。
とりあえずまだ早いし、8時か9時くらいになったらミッドワイフに電話しよう、ということにする。

ベッドから立ち上がった途端、ドバッという水が流れる感触。あとから聞くと、これが尿漏れとの区別のヒントになるポイントのひとつだった。トイレでチェックすると、パッドがぐっしょり濡れてる上に、ピンクのおりものみたいなのがついてる。これが俗に言う、おしるしというやつか!これは、確かに近いみたい。

9時になってもういいかな、とミッドワイフに電話。この日は週末、というかカナダ最大のイベント、建国記念日であるカナダデー。こんな日も24時間体制で対応してくれるミッドワイフはじめ医療従事者にはまったく感謝しかない。
すぐに電話で応えてくれたのはアマンダ。いくつか質問されて、破水の可能性が高そうだから、確認するため昼にクリニックに来てほしいと言う。

まだ昼まで時間あるね、どうしようかね。ここでとりあえず鍼を打ってみることにした。

妊娠中、禁忌だった、子宮を収縮させるツボを総動員。

合谷 
三陰交 
崑崙

打ってすぐドラマチックに陣痛が始まるわけでもないんだな、むしろリラックス効果は感じた。

最後だから…

いまだ陣痛は始まらない。破水してるといってもちょろりちょろりという感じで、どうせなら最後に美味しいものでも食べましょうか、ということになった。
インスタで見て気になっていたヴィーガンカフェに行って、ケーキとラテを頼む。美味しいね〜、幸せ〜。と破水しながら好物を堪能。
店を出るとライブミュージックが聴こえる。近くでカナダデーのイベントをやってるよう。よく晴れて、親子連れがたくさん集まってる。DDはビールなんて飲んじゃって、わたしは子供しか並んでないフェイスペイントのブースで、膨らんだお腹に記念にカナダの国旗をペイントしてもらってお祭り気分を満喫。破水してるんだけどね。いつがDue(予定日)なの?とペインターのお姉さんに聞かれて、これからなのよ!と言うとびっくりされたけど、その場にいた皆さん、明るく祝ってくれた。

そろそろ時間だわ、とミッドワイフのクリニックへ向かう。なんとなく破水してるのに祭りに行ったり不謹慎!と怒られそうな気がしてしまって、やっぱり日本的な思考が染み付いてる。カナダではもちろんそんな反応はなくて、わたしのお腹を見たアマンダと研修生のステファニーは素敵!I love it!! と大絶賛。そうそう、自分のお産だし、誰に何を遠慮しているんでしょうね。

陣痛、始まる

普段は通されることのない奥まった診察室のベッドに横になる。果たして本当に破水なのか、特殊な試験薬を染み込ませた綿棒で拭って調べるという。羊水であれば反応するという先端が、きれいなブルーに変色する。これで確定ね!破水してるわよ、とアマンダ。研修生のステフのために顕微鏡でこのぬぐい液を見ていいかと聞かれる。もちろんいいけどなぜに?なんでも羊水を顕微鏡で拡大すると用水だけの独特の結晶を見ることができるらしい。ミッドワイフの二人が教科書通りの結晶だわ!と嬉々として顕微鏡を覗いている。わたしたちにも見てみる?と言ってくれたので覗いてみると、シダ植物の葉っぱのような、繊細な模様。赤ちゃんを守り育む羊水の結晶が植物の形をしているなんて全く知らなかったし、とても神秘的だった。

羊水なのは確定だけど、量が少ないのはおそらく胎嚢を包む二重の膜の外側が破れただけだからだろうというのがアマンダの予測で、実際に触診で確認することに。PAPテストでも使う、金属の器具を膣に入れられるのだけど、下腹部に不快な鈍い痛みがくる。するとどぷっと液体が流れ出る感覚が。刺激によって二重の膜の内側も破れ、本格的に破水したらしい。子宮口ももう3センチ開いていた。このままいったんうちに帰って陣痛が始まるのを待つか、今直接子宮に刺激を与えて陣痛を促すのどっちがいい?と聞かれて、だったら早く済ませたいから刺激してくれと頼む。
アマンダが膣に手を入れぐりぐりっと回転させるとイタタタ〜、よじれそうな痛みが走る。子宮が収縮を始めたみたい。
お腹に筋肉の収縮を図るモニターをつけると、等間隔で針が振れ始めた。陣痛が始まったらしい。キタキタ、と思うとぐ〜と下腹に鈍痛。それでも生理痛の嫌なやつ、くらいな感じであとから思うと余裕しゃくしゃくだった。

つづく


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