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物語「星のシナリオ」 -25-

それはまたいつも以上にボクにとって新しい概念で、もう正直、これまで生きてきた人生は、学校で習ったことは、いったい何だったんんだーって、叫び出したいくらいだった。

「まず。きみ達人間は自分が見ているものが世界の全てだと思っているところがあるけど、それをさ、一度忘れてみたらいいよ」

「ん?どういうこと?」

「例えば、きみがいつも行くおばあちゃんの家っていうのはさ、きみが思い描いているイメージがその通りに現実というスクリーンに映し出されているだけ。
同じようにきみが来ているこの星の世界は、きみが思い描いたイメージが映し
出されているだけ。そして、おばあちゃんの家は歩いて10分くらいの場所に
あって、この世界は空のずーっと果てのどこか遠い場所。それは勝手にきみが
そう決めて描いている設定なだけ」

「へ?良くわかんないや。だって確かにこの世界へ来るには虹を渡って、現実
とは遠い場所にあるよね?」

「じゃあ聞くけど」

「う、うん」

「そんなに遠いところまで、しかも歩いて来て、でもきみはいつも朝が来るまでにはちゃんと自分の部屋に戻ってるよね?そんなに遠いところ、本当だったら
もっと『時間』がかかるはずじゃない」

「確かに」

「時間も幻想なんだ。ゲームをよりリアルに楽しむための人間界のルールの一つなだけだよ」

「じゃあこういうこと?本当は自分が見たいような世界を見ることができて、
自分が望んだことを体験できる」

「そう。というか、既にみんなそれをやってるんだ」

いや〜。そんなのカンタンには信じられないよなぁ。だって、こんなウソくさい星の世界はきっと、現実からずっと遠くの空の果てにあるんだろうし、おばあ
ちゃんの家は確かにいつだって歩いていける場所にある。それが真実なはずだよ。

「そう、真実だよ。きみにとっての、ね」

「ボクにとっての?」

「そう。みんなそれぞれに信じているこの世界の真実をもとにシナリオを描いているんだ。だから、どうやったって、星の世界に行けるはずがないって思ってる人にとっては、ずーっと行けない場所。逆に、わざわざ虹を渡らなくたって、
おばあちゃんの家のある場所に居ると星の世界に瞬間移動できる気がすれば、
そうなる」

「え〜何だよ、それ」

「きみが最近、星の世界に来るのと、おばあちゃんの家に行くのを同じような
感覚で感じ始めたのは、見えてる世界だけでなくその場のエネルギーに敏感に
なってきて、その二つの場所のエネルギーが全くおんなじだってことに気がついたから。そうなると、もうきみの頭の中でわざわざ虹を渡る必要がなくなって
きたんだ」


つづく

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