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フィリップ・コンタミーヌ『シャルル七世』感想文前半:歴史家はソースを渇望している

カクヨムにて『歴史家たちのポジショントーク:暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世』を新規投稿しました。

あらすじ:各時代の歴史書に書かれている「フランス王シャルル七世」の評価が乱高下しすぎで面白かったので、歴史家たちのポジショントークの移り変わりをまとめました。

noteでは紹介を兼ねて、今日の更新分から一部引用します。

 著者のフィリップ・コンタミーヌは『シャルル七世:ある人生、ある指針(Charles VII. Une vie, une politique)』のイントロダクション冒頭で、「本書でフランス史を取り上げる意図はない」と宣言し、シャルル七世個人に焦点をしぼった理由をいくつかあげている。

 そのひとつは、シャルル七世が権力を掌握し、権威を確かなものにしていく過程で「実際に果たした役割」を明らかにすること。

 コンタミーヌは自問自答する。

「過去にいくつかの伝記が書かれ、そのうちの4〜5冊は現在も参考文献として有効でありながら、ジャン・フーケの冴えない肖像画そのままに大衆イメージがこれほど悪い人物を、著書の中心に据えるのは本当に正しいのか?」

 もとはと言えば、コンタミーヌの専門は14〜15世紀フランスの軍事史と貴族制度で、人生の大半をその研究に費やしてきた。加えて、大衆向けであれアカデミック向けであれ、英仏・百年戦争とジャンヌ・ダルクも欠かせない。

 それらの題材の中には、必ずといっていいほどシャルル七世が出てくる。
 歴代国王の中でも治世が長く(在位39年、摂政だった王太子時代を含めると44年)、激動の時代にシェイクスピアのような運命を背負った王でありながら、シャルル七世はつかみどころがなく、不可解で謎めいている。

 本文に出てきた言葉を借りると、「歴史家(優れた歴史家)とは、伝承や神話に登場する怪物オーガのようなもので、いつも新鮮な人間の肉を探し求めている」という。

歴史家は、ターゲットの性質や入手しやすさに関係なく、相手のソースを飲みたいと渇望し、情報源(ソース)に想像上の手を伸ばす……。

 ようするに、歴史家コンタミーヌはキャリアを締めくくる「最後の晩餐」としてシャルル七世を食べたくなったのだろう。

21世紀(2)フィリップ・コンタミーヌ『シャルル七世』感想文前半 - 歴史家たちのポジショントーク:暗君か名君か、矛盾だらけのシャルル七世(しんの(C.Clarté)) - カクヨム


フィリップ・コンタミーヌ著『シャルル七世』は2017年刊行。
最近の本ということで、著作権的にどこまで翻訳・引用が許されるか分からないため、今回は感想文スタイルです。

もっと軽い文体にしたかったのに、すごいカタイ。
『7番目のシャルル』の語り部・シャルル七世モードだと思えば、かための口調がかえってキャラクターらしさを感じさせる…かもしれない。

上記、引用分の太字は、個人的におもしろいと思ったところです。
例え話がいかにもフランス人らしい。

そう、シャルル七世は知れば知るほど「おいしい」のだ❣️

続きはカクヨムにて。

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よろしくお願いします!



自著の紹介

既刊:デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念にリリースしました。
Kindle版(電子書籍)とペーパーバック版があります。

新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

ジョン・ラボック著『The Pleasures of Life』第一部を翻訳・書籍化しました。訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろし。

web小説『7番目のシャルル』シリーズ

シャルル七世が主人公の小説(少年期編青年期編)連載中。


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