中殿筋とトレンデレンブルグ徴候
中殿筋は主要な股関節外転筋であり、歩行やその他の機能的活動中に骨盤の前額面の安定性を提供します。1)
中臀筋が弱い、または機能不全に陥ると、下肢の多数の損傷や歩行周期の異常に関連することから、どのような主訴のクライアントでも初期に必ず機能評価は欠かせない筋であることが分かります。
今回は中殿筋と歩行をメインに深掘りしていきます。
中臀筋の機能解剖
中殿筋は、殿部の上部外側に位置し、腸骨稜の下にあります。この筋肉は上部が幅広く、停止部に向かって狭まり、扇形状になっています。また、大殿筋は、中殿筋の前上方の1/3を除く、殿部全体を覆っています。1)
中殿筋は股関節を外転させ、前部線維は股関節屈曲と股関節内旋に寄与し、後部線維は股関節伸展と股関節外旋に寄与します。
中臀筋の機能不全と障害
中臀筋の機能不全でジムやスタジオで多く見られる症例といえばトレンデレンブルグ徴候ではないでしょうか?
また立脚期にトレンデレンブルグ徴候がみられる歩行をトレンデレンブルグ跛行またはトレンデレンブルグ歩行といいます。
健常者であっても、いわゆる太ももの張りや外ももの張り系にお悩みの方で散見される異常歩行となります。
歩行中の中臀筋の機能は、片脚を前方に振り出すときに骨盤を持ち上げることです。
片方の脚を前方にスイングすると、反対側の 中臀筋(立脚側) が収縮して、骨盤が横に傾くのを防ぎますが、トレンデレンブルグ歩行では、中臀筋が片脚支持時に骨盤の反対側を上に保つことができないため、遊脚側の骨盤が下に傾きます。
この対側骨盤の低下は、片脚立脚中に発生する外部股関節内転モーメントと釣り合うのに十分な内部股関節外転モーメントを 中臀筋が生成しないときに発生することが示唆されており、2)トレンデレンブルグ歩行の人は歩行効率と走行速度が低下し、歩行、ジャンプ、着地の際、または片側のウェイトトレーニングを行う際に骨盤が安定しないため、腰痛を発症するリスクが高くなります。3)
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