響く音

重いハードケースを背負って帰ったあの日から、わたしの部屋にはチェロがある。

部屋は楽器禁止だし、どれくらい響くのか響かないのかわからないから音が出せない。
だからボーイングの練習は諦めて、左手の音程を取る練習ばかりをしている。

まだこれ以外に知らないニ長調の音階。
右手は弦をはじいて音程を確認する。
はじいたくらいじゃチューナーが正確に反応しなくて、自分の耳頼りだからかなり不安。
そして最後に5分間だけ弓を目一杯使う。
5分なら怒られないかな、と思って。
それでも毎日だからそのうち苦情が来そう。
近くのスタジオを探さなければいけないなーと思いつつ、ベッドタウンなわたしの住む街にはスタジオなどあるのだろうか。

先生は「最初は大きな音出せないから大丈夫」と言うけれど、ソワソワして思いっきり練習できない。

ということで、駅前のカラオケに行ってきた。
楽器が重いから、たどり着くころには背中バキバキ。
練習中も変な力が入ってしまって脱力できないから、手も腕もすぐに痛くなってくる。
やっぱり練習は必要だなぁなどと、当たり前のことを思いながら帰宅の途に着くのであった…

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