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紀伊半島南下計画 4回目 (4)

前回はこちら。

謎の鳴き声

 日置川を渡り、右に曲がる。日置川すさみ線へと入っていく。すると、なんだかよくわからない鳴き声が聞こえてきた。鵺でないことは確実ではある。サルなのか、鳥なのか、とにかく何なのかわからない鳴き声にビビる。
聞こえる方向としては、進行方向左側の崖の上である。崖ではあるが、崩落防止のワイヤーネットが張られており、もしサルであれば下りてくるかもしれない。
 そんな恐怖から早く逃れるべく、登りにもかかわらず頑張って踏み続けた。

 動物は、今回のライドで2回ほど姿を見ている。
 場所は覚えていないが、アナグマとかアライグマの類とシカである。アナグマだかアライグマは恐らく子供サイズのものを2匹見かけた。シカは親子連れくらいの2匹である。
 野生生物は怖い。いくつか理由はあるが、今回は親子連れであることが特に怖かった。1回目のナイトライドのときもイノシシに遭遇した。その時も親子連れだった気がする。何が怖いって親がこっちに向かってくることである。彼らとて、何を守るべきかを考えているのだ。

おいでませ、イブ王国

 伊古木漁港を抜け、国道をくぐった先で少し休憩をする。丁度街灯から離れたところなので星空がきれいである。
 またしても鞍上に戻り、暫くするとすさみ町へと入った。一定以上の年齢の人には「イノブータン王国」と言えば通じるだろうか。井上ひさしの「吉里吉里人」をきっかけに乱立したミニ独立国の数少ない生き残りの一つである。全く関係ないけど、井上ひさしと平田オリザって似てるよね。多分メガネのせいなんだけど。

すさみ、漢字で書くと「周参見」である。かっこいい。

 すさみの名物は様々である。例えばギネスにも登録されている海中ポストやフェニックス褶曲、恋人岬などである。しかし、一般に行きやすい場所と言えばやはりイノブータン城こと「道の駅イノブータンランド・すさみ」と「エビとカニの水族館」であろう。

 話を戻すと、すさみ町に入った後はひたすら海沿いを進む。月が沈みただ暗い中を、波音を聞き、迫りくる車におびえながら進んでいく。この辺りは釣りの名所でもあり、日付が変わって暫くしようとも車通りが多いのである。
 ほうぼうの体でイノブータン城にたどり着き、トイレ休憩をする。しかし、こんな夜中に店が開いているわけもなく、長居をせずにそのまま進んでいく。

 暫く走っているこの道は悪天候時には通行止めになるような道であり、すなわち細かいアップダウンとカーブが続くような道である。このカーブも面白く、地面にそれへの注意として「急」とだけ書いてある。カーブを描く余地すらないのか、はたまた注意喚起を極限まで煮詰めたのか。面白い表示である。

急なのはわかるがもう少し手前に書いてもいいのでは。

 えっちらおっちら走りながら2時37分、ようやくエビとカニの水族館の脇を抜ける。串本まではもう少しである。

車で来た方が絶対にいい。

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