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頒布しない同人誌(横書きA6)を作ってみた

A6(文庫本サイズ)の横書き小説同人誌というのをあまり見かけないので、作り方に四苦八苦しながら自分用にまとめあげたので、その覚え書きにこのノートに記しておくことにします。次に出す時はこれを見れば大丈夫、ということですね、嬉しい!
下に本を作ろうと思い立った当時の私のステータスを書いております。参考になれば。

印刷所さんへの依頼に至るまで

今までの経験やステータス

  • ネットプリントで背景付き横書きメーカーのものをフルカラー印刷したコピ本の作成経験あり(頒布なし)

  • 頒布経験はない(今後もしないであろう)

  • イラストスキルなし

  • パソコンスキルは調べながら体裁の調整できる程度

  • 紙の種類や印刷の種類を知らない

  • 印刷所情報は広告で見るくらい

どういう本を作りたいか

  • 頒布はしないけれども、個人で本にしたい

  • サイズは文庫本

  • 横書きのまま

  • なるべく安く、小ロットからの注文が可能なところで印刷したい

  • 表紙はカバーなしでもアリでもどちらでも

印刷所さんを探そう

「印刷 小ロット 同人 一冊から」などで検索して探します。印刷所さんによって小ロットの定義が違うので要注意!
私は友人と自分用に3部のみ欲しかったので1部からでも大丈夫な印刷所さんを探しました。
余部についてご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、落丁や汚れがあったときに取り替えるために余分に多く在庫をつけてくれます。最小ロットが
1とかだと、必要な部数プラス1部ほどがついてくる計算になります。それを見越して注文することをお勧めします。

同人誌作成の過程

普段の作業環境

Nolaというエディタツールで横書き執筆です。こちらのサービスはクラウド型で、スマホアプリもあります。PCで打ったり、外出先ではスマホで打ったりと使い分けしています(私は年間サブスクしていますが基本機能は無料)。

原稿を書く

この辺は割と何文字書いてもいいのですが、一応4万5千文字くらいあると100ページ超えになります。まずは原稿の文字数を揃えましょう。エディタツールで書いたものはWordなんかにコピーして体裁を整えていきましょう。
私の場合は文字サイズを9にし、BIZ UD明朝を用いました。ノド(本を綴じる側に当たる部分の呼び名)とかどれくらいに設定したらいいのかも皆目見当がつかなかったので、とりあえず、「Word>レイアウト>余白>狭い」で設定しました。120ページ以下なら問題なく読めました。

奥付けを記そう

個人のものですが、印刷所さんにわかりやすいようにつけておくことをお勧めします。
お手持ちの同人誌を数冊ご覧になって、被っている項目を使えば良いです。

タイトル
発行元:サークル名
発行者:執筆した人の名前
連絡先:連絡のつくメールアドレス
印刷所:どこで印刷したのか自分が覚えておけるので良い

プリンターで印刷してチェックをしよう

ここでのポイントは一度印刷して文字の大きさなどを確かめておくことです。印刷設定を変えて4枚を1枚に集約して印刷することをお勧めします。
やり方として一番簡単なのは、以下の手順ですることです。
まずは印刷の際に2in1(1ページあたり2枚の印刷)の設定をして、そのまま短辺綴じで両面印刷することです。この状況でA4に印刷すると、A5サイズのコピー本(つまり完成形の面積比2倍の大きさ)が出来上がります。この段階で文字や絵の潰れが発生しているのであれば、それはレイアウトが破綻しているような状態です。やり直しましょう。
A5で粗が取れた場合、そのまま4in1の設定に切り替えて印刷します。こちらが完成と同じサイズになるため、もう一度文字や絵のつぶれを確認しましょう。うまくいきそうなら、それでいいと思います。

誤脱のチェック

これに関しては本にした後に必ずといっていいほど表記の揺れが出てきます(ここまでいくともはやジンクス)。なのでまずは軽い気持ちで印刷所に持ち込むのもありかもしれません。試しに印刷して、製本したものから直していくんだと自分に言い聞かせるのもありです(有料スキルサイトにお願いするのもありです)。

原稿が揃ったら入稿しよう

本文をPDFなどに変換して入稿します。初めての入稿の前にしておいたことが良かったことがあるとしたら、用紙サンプルの取り寄せです。初めての一冊を作る時には本当に紙の種類や名前も知らなかったので、よく皆さんが使用されているものにしました。とっておきの一冊を作る前のちょっとしたものを印刷するなら、よくある用紙を使用すればOKです。
表紙:ペルーラ スノーホワイト180kg
表紙の色:スノーホワイト(細かいパールが入っているようなキラキラした感じ)
本文の種類:書籍用紙72.5kg 淡クリームキンマリ(ハードカバー本の用紙くらいの分厚さ、色味は落ち着いていて読みやすい)

ワクワク感を追加しよう

いくら試し刷りとはいえ、多少のワクワク感は「今後の本づくりのための冒険!」として、遊び紙と表紙の加工を依頼しました。
遊び紙:1枚、表紙の次に入れる トレペ(星くずし)
表紙:PP加工(マットPP)
よくあるツルツルの表紙にしたいならPP加工のみで大丈夫です。マットにしたかった理由は表紙を触ると指紋が気になるからです。
遊び紙は、本編が始まるまでの雰囲気づくりで入れました。

製本方法

くるみ製本 左綴じ(横書きなので)

表紙をどうするか

スキルマーケットのココナラなどを利用するのも一つの手ですが、今回はコストカットでサクッと作りたいと思いました。絵心がない私が選んだのは、Canva(キャンバ)です。入稿して表紙のサイズ(背表紙の厚み)がわかれば作成に取り掛かります。基本は無料で作ることができますが、月額の1,500円をかけてもいいかと思います(絵師さんへの依頼料のことを考えれば自分でプロパーツなんかも使えるので、使える人にはお得なサービスかもしれません)。また、無料トライアル期間があるので、チャンスとばかりに私はCanvaを使って表紙を作りました。

入稿するとこのように表紙サイズがわかるので……
トンボという線をつける作業だけは画像編集のできる人に頼みました
実際にCanvaで作ってみた表紙
裏側はこういう感じになっています。頒布するなら諸注意を書かなければなりません。



所感

かねてより下手くそではありながらも文章を書くのが好きだった私には夢がありました。
一冊でもいいから製本してみたいというものでした。
調べていくと文庫本一冊にするにはまずは10万字必要と書いてあり、10万字かき集めるためにうだうだとしていると一年が過ぎてしまいました。
文字を書いてアップロードする活動は2022年の9月だそうで、まだ私のキャリアは一年半といったところでした。
そんな私に製本のノウハウはなく、合同誌を作ろうと誘ってくれる仲間もいないわけです。イベントに行っては装丁の綺麗な同人誌を見つけてお迎えしていました。

転機は私の有休消化でした。時間もたんまりあるので、何事かしようと思い立った時に、有給の朝活で書き溜めた3万5千文字程度のシリーズを一冊まとめてみるかと決意しました。4万5千文字くらいから製本すると綺麗になると同人活動をされている方から伺う機会があって、書き下ろしをつけて4万文字強にしました。

特殊な二次創作なので頒布は厳しいなと思い、お友達と創作物交換会にそろりと出しました。



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