見出し画像

ノルドストリーム2に関する雑感

「歴史は繰り返される」と言われるように、現在起きている状況を見て過去の類似した出来事が脳裏に蘇ることはよくある。
ノルドストリームについては2006年に当時、国防相だったラドスワフ・シコルスキが、ノルドストリームの建設を批判するとき、リッベントロップ・モロトフ協定を引き合いに出した(その後、シコルスキは考えを180度転換する)。リッベントロップ・モロトフ協定は独ソ不可侵条約締結時に交わされた独ソ間の密約で、両国でポーランドを分割することが決められた。
ノルドストリーム2の建設計画が伝えられたとき、私自身もリッベントロップ・モロトフ協定が脳裏に蘇った。そして、今回のバイデン大統領の制裁解除決定。これはまさに第二次世界大戦終盤のルーズヴェルトにも似た重責対する実感欠如行動のように思える。ルーズベルトは第二次世界大戦中のドイツによるユダヤ人大量虐殺について知りながらも、批判することを避けた。また、テヘラン会談ではチャーチル、スターリンとともにポーランドの国境を決定した。これは「関係国の国民の意思に反して領土の変更をしない」と定めた1941年の大西洋憲章に反する。さらに、カティンの森事件についても、ルーズベルトはソ連による虐殺との情報を得ながらも、ソ連と良好な関係を維持するためにひた隠しにした。
これらの歴史的事件をポーランドを含む中東欧諸国が忘れるはずもない。だからこそ、ノルドストリーム2の建設は中東欧諸国にとっては脅威であり、「歴史は繰り返される」と思わせるような行動をとったバイデン大統領の決定でさらに脅威が増すのも当然のことのように思える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?