見出し画像

外科医のアート!   新見正則

僕の人生は外科医でスタート

僕は良い外科医になるために懸命に修練しました。
なんでもできる外科医を目指して一般・消化器外科を希望しました。

一般外科には乳腺や内分泌外科、そして血管外科が含まれます。
消化器外科は食道外科、胃外科、大腸外科、膵臓外科、肝臓外科等が含まれます。
僕が卒業した慶應義塾大学医学部の外科学教室には、
他に特殊外科として脳外科、心臓外科、肺外科、小児外科がありました。

1年間の大学での修練の後、1年の出張病院での研修を2回行います。
その後に一般・消化器外科内での専門を決めるのです。
僕は食道外科を希望しましたが、希望者が4人いて、定員は3人。
当時はくじ引きで所属する班を決めていました。
くじ運が悪い僕はハズレ。

そして僕は血管外科を志望しました。

血管が扱える一般・消化器外科医

専門は血管外科ですが、修練は他の一般・消化器外科のすべてを行います。
がんの手術もたくさん経験しました。
血管が扱える一般・消化器外科医は稀少だったので、いろいろと重宝されました。

慶應義塾大学病院では心臓外科の研修もさせてもらいました。
一生懸命に修練を積んだお陰で、外科の専門医は順調に取得できました。
その後、消化器外科の専門医を取得し、心臓血管外科の専門医も取得できたので、しばらくはダブルライセンスでした。

手術大好き。  見学も大好き

手術は本当に好きでした。喜んで緊急手術も参加していました。
慶應関係の病院の手術はお願いすれば簡単に見学することができたので
他の先生の手術もたくさん見学しました。

カニでも食べる?

「カニでも食べに行くか?」と誘われて
慶應とは関係のない有名な外科医の手術も見学にいきました。
がんをドイツ語ではクレブス(Krebes)と呼びます。カニの意味です。
がん研有明病院のロゴはカニのマークですね。

新婚旅行も手術見学。  徹底的に見学しまくる

昔は大らかで、多くの病院が大先生の手術の見学を許してくれました。
手術の見学と言えば、新婚旅行のときにダラスのベイラー大学で
世界的に有名な外科医の手術見学に一人で行って(助手をさせてもらって)、
家内に呆れられました。遙か昔の思い出です。

技術の伝承に必要なこと

外科は技術の伝承の世界です。
僕がよく口にする「徹底的にパクること」が大切と思っています。
上手な先輩を徹底的にパクって(TTPして)、
まずそれが出来るようになって、
その後に修正や進歩や進化を加えて自分のものにします。
これがTTPSだよ。

守破離で一流に

武道や茶道、芸道や芸術領域で守破離という言葉が使われています。

とは同じことができるようになること。
とは分析し改善・改良を加えること。
とは新たな世界を開発すること。

僕的には守はTTP、破はTTPS、そして離はその師匠からの卒業です。

好きなことで世界一に!

「好きこそものの上手なれ」で短期間で平均以上の外科医になりました。
その後、オックスフォード大学博士課程に留学し、移植免疫学を学ぶにあたり、
移植モデルとしてマウスの心臓移植モデルを用いました。

そこで守破離を順に行い、
まったく新しいマウスの心臓移植の方法を創り上げました。
当時のDVDは今もYouTube(限定公開)で世界中の研究者に見られています。

当時はマウスの心臓移植は世界一上手いと思っていました。
世界のいろいろな場所に指導に行きましたよ。

外科のアートを極める

現在、外科領域には内視鏡手術、そしてロボット手術などが導入され、
僕の扱える領域は超えています。
僕の同僚はそれらの先駆者として活躍している人も多数います。

外科はアートです。
そのアートを極める方法は守破離。
TTPからTTPS、そして自分の新しい世界を作るのです。

若い人が過去の技術を簡単に学べる方法を確立することは大切です。
守、つまりTTPの後に進歩があるからです。
外科医としてそんな方法も後輩に伝えてきました。

漢方も守破離

僕は漢方を簡単に学べる方法を、漢方の守でTTPをする方法を啓発しています。
モダン・カンポウとしてフローチャート的に処方する方法です。
興味がある方は新興医学出版社の僕たちの書籍をご利用ください。



漢方もTTPS!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?