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[BOOK REVIEW] 『患者と支援者のための統合失調症薬物治療ガイド2022』


ピアサポーターの鈴木みずめさんからの嬉しい書評です!


 
 アップデートと聞いたら何だか期待しちゃいませんか? 『患者と支援者のための統合失調症薬物治療ガイド2022』が本になりました。専門家向けに書かれた『統合失調症薬物治療ガイドライン2022』はありましたが、当事者の疑問に沿って、薬の効果や副作用など最新の薬物治療についてわかりやすい言葉で説明したのが、この「ガイド」です。毎日のんだり、定期的に注射したりして身体の中に入っていくお薬を、もっと積極的に知ろうとするための第一歩として、こちらオススメの本です。

 この本は、私を含めた当事者や家族が作成メンバーとして協力しながら完成しました。そのため、私たちが読みやすいよう視覚的にデザインされています。この本のもと情報のガイドはインターネット版として公開されていますが、読みやすさは本に軍配が上がってしまうのではないでしょうか? たとえば、文字が大きく、用語解説がていねいに入っています。

 「アカシジア」「ジストニア」「錐体外路障害」など似ていたり、わかりにくい用語がありますが、体調が悪いときは、医師からの説明も何だか呪文を聞いているようで意識がぼーっとしてしまいますし、頭に入りにくいですよね。ぜひ診察の予習と復習にお役立てください

 このガイドは、本なので待合室でじっくり読むのにも向いていますし、そのまま診察室に持ち込むにも手軽な大きさで楽ちんです。しかも「主治医に渡すメモ」の見本が入っているので、このガイドを活用して診察を受けると、今までよりも内容の濃い時間になるでしょう。エビデンスレベル(どれだけ勧められる内容であるか)が★の数で表されていたり、薬剤リストが載っているのもわかりやすいですね。

 この本には「はじめに」として「薬以外の治療について」という項目の説明書きがあります。私たち当事者や家族は、薬の重要性と共に、薬以外の治療がよい効果をもたらすことを知っています。そのあたりを充実させた総合的なガイドが今後生まれることを期待しています。

                  「こころの元気+」2024年2月号より転載

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