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新規事業立ち上げ時のKPIについて深ぼってみた

シンチャオ!

新規事業のアイデア立案において、事業モデルのKPIを見定めることは非常に重要です。

筋が良いアイデアでも収益性を支えるKPIの構造理解を誤れば、誤った事業施策に走ってしまいます。

特にSaaS事業であれば、収益性のKPIを追うだけではなく、プロダクトの価値を高めてくれる価値指標(バリューメトリクス=そのプロダクトにとって最も価値と感じられている機能とその機能を定量的に計測できる単位)である"プロダクトKPI"を見極めることが、プロダクト機能改善に直結します。

ビジネスモデル、マネタイズ対象、マネタイズを実現するためのマーケティングチャネル及び施策によって、追うべきKPI指標は変化するので、新規事業立案初期に、KPIを特定する事は難しいです。

しかし、事業内容の検証時に、事業の成長性を検証するには、"仮説KPI"を何度も検証して、事業や事業の進捗に応じてKPIの解像度を深める事は極めて重要になります。

そんなKPIについて備忘録的に深ぼりたいとおもいます。


KPIとは

KPIについて考えると、大きく3つのKPIが存在するのではないかと思います。

・事業の成長性のKPI

事業の成長性のKPIは、何が最も事業を成長する要素になりうるかという、「KPIとは」と、ググったときに出てくるKPIの考え方になります。

事業のトップラインを伸ばすために必要な定量的要素が、事業の成長性のKPIになります。

事業は生き物なのでその時々で、ケアするべき重要なコトが変わりますし、それがKPIになります。

事業の成長性のKPIを仮説立てるには、事業構造の理解が必達で、売上を構成している最も影響力が強い、分母と分子の実数を導きだす必要があります。

この事業KPIの構造分析は、ググれば事業モデル別調査することが可能ですし、良心的な上場企業の決算資料にもKPIのロジックツリーなどを記載している企業もあるので、比較的考えやすいKPIになります。

・収益性のKPI

収益性のKPIは、事業が健全に成長できるかを会計上で判断できる指標になります。単純に、売上原価率、1製品当たりの利益率などの指標になります。

事業状況によって改善が必要な収益性のKPIは変化すると思うので、今期売上原価を〇%下げるために交渉力を強く持たせるために工夫しようなどがKPIに紐づく行動になってくると思います。

この領域はCFOや経理などど連携して事業に発生している金額を把握しつつ、改善できる項目がないかを探ることが重要です。

守りの攻めと言った感じのイメージです。笑

・プロダクトKPI

最後のKPIがプロダクトのKPIです。個人的にはこのKPIが最も重要なのではないかと思います。特にB2Cの事業よりかはB2Bの事業でこのKPIが価値発揮できると思います。

B2BのプロダクトはB2Cよりもソリューション型事業の要素が強いので、課題を解決する機能を定量的に観測できることが極めて重要になります。

例えば、ビジネスチャットツールのSlackなどでは、同僚及び外部人材とのコミュニケーションやそれに発生する情報共有のスムーズさを、メンション付きのチャットで解決することに成功しています。

このメッセージ数が顧客課題を解決できているかを定量的に計測できる指標になります。

そしてこのメッセージ数によって利用料金の形態や付属している可能利用機能が変わってきます。

この考え方は、SaaS事業だとバリューメトリクス(価値指標)の考え方になりますが、プロダクトの機能を定量的に観測する事ができれば、機能単体でプランに差異を積みだすことができ、顧客が価値に感じる機能を定量的に観測できるので、顧客も非常に合理的な意思決定を下すことが可能になります。

KPIの最大値をどのように決めるのか

KPIの項目を定めた後は、KPIに当てはめる数値の最大値をどのように設計するのかが、極めて難しいですよね。

ストレッチのある(届きそうで届かないくらい)目標が良いのですが、上限幅の感覚がどうしても経験則でしか判断できないように思えます。

私も新規事業開発を始めてまだ1.5年なので、KKD(経験・感・度胸)と言われる経験則はまだまだ低いです。

とはいえ、KPIを"仮"で良いの決める事が大切なので、どのように決めるのがしっくりくるのかについて書いていきます

・類似企業模倣

先ほどの、事業性のKPIと収益性のKPIは他社の決算資料や求人情報に記載されてい売上情報などから推察で出すことができます。

模倣先としては、同業界と異業界の2パターンですがどちらも取るべき行動は明確で、

・同業界で上場しているトップ企業の決算資料を分析する
・ググって売上や事業の収益構造を理解する

上記の2つに尽きるかと思います。ここで重要なのが、途中であきらめて数値をあやふやにしないこと。大半の情報はキャッチできるのとことん調べます。

もし情報抽出する事ができないor情報収集に時間が多く発生しすぎてしまう場合は、ビザスクで、対象業界や対象事業モデル事業責任者の経験がある人に聞くのが大正解です。

・時間軸分析

時間軸で考えるやり方は、自社の事業が既存で成長しているケースに限りますが、過去の成長率などからKPIに適切な数値を算出していきます。

「類似企業分析」「時間軸分析」どちらのやり方も、企業評価時の方法と同じで、何かを評価する際には、模倣を参考にすること、歴史をさかのぼること、この二つが極めて重要でないでしょうか。

KPIを定められないのは事業理解が浅い

とはいっても、事業性のKPI、収益性のKPI,プロダクトのKPIがなかなか定まらない状況も、頻繁にあります。ただ、この定められない状況は、新規事業の解像度が高い状態ではないと判断するのが良いと考えます。

事業の解像度が高ければ、KPIになるだろう候補が多く存在し、その項目に対して優先順位をつけることが可能です。優先順位までついていれば、優先順位を決めるための判断材料がそろっており、意思決定に必要な要素も分解できていると捉えることが可能です。

KPIが達成できている状態を言語化する

KPIの達成には、達成できている状態の言語化が絶対的に必要です。これは、プロダクトのKPIに限る話ですが、課題を解決できる機能を定量的に計測して目標数値を達成できていると、顧客はどのような状態になっているのか。という問いが必要なのではないかと思います。

先ほどのSlacjの例であれば、メッセージのやりとりが1,000を超える状態は、「Slackに親しみをもって、スタンプを作りだすだろう」「他のチャットツールはほとんど使用せずにSlackの活用がほとんどだろう」「朝起きたらslackを確認するようになるだろう」のように、顧客の状態を定義して顧客の行動にどのような変化が生まれるのまで設計できれば、非常に良いプロダクト開発につながるのでは?ないかと思います。

最後に

新規事業のアイデアを行う中で、事業構造やプロダクト構造に対する理解や引き出しとなる情報を複数持っているだけで、アイデアの中身も構想も異なったものに出来上がります。

まだまだ新規事業を成功させることに関してはひよっこなので、引き続き事業の解像度を向上させていければと思います。それでは、カモーン!!

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