![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/48423734/rectangle_large_type_2_1675706bad4134f280812227412eb6ee.png?width=1200)
【読書メモ】オニールの空売り練習帖(ウィリアム・J・オニール)
投資本読書メモシリーズです。
今年は難しい相場が続くらしいので、弱い相場の下げ局面でもしっかり稼いでいけるようにと思って「空売り」を学びました。
とは言え、いわゆる業績相場への移行なので、ファンダメンタルズ(要は決算)がしっかりしている銘柄を買っておけば間違いはなさそうですが、空売りは、コロナバブル期の先導株(株高をリードしていた銘柄)に特に有効という点が参考になるかと思います。
参考になったら♡をお願いします。
▶【結論】空売りチェックリスト
このチェックリストをクリアしたら空売りしてもよい。
《空売りチェックリスト》
①市場全体が弱気トレンドで、さらにトレンドの初期段階にある。
②米国市場で1日平均100万株以上の出来高と同等の出来高がある銘柄。
③ヘッドアンドショルダーズトップの形成と、不完全なベースを固めていて値崩れのシグナルが出ている。
⑤直近の強気相場における先導株で、50日移動平均線が200日移動平均線下方にクロスしているか
⑥利益目標を20%~30%に設定して頻繁に利確する
▶市況|弱気相場への移行を主要指数から見極める
空売りは、弱気相場に入ったことを確認した後にすべき。
強気相場では、代替の銘柄が値上がってしまうのでリスクが高すぎる。
主要な株価指数の天井形成には2つある。
いずれも、ピークで売り買いが拮抗するポイントを見つける手法だ。
①株価指数が上昇し、平均か少ない出来高を伴って短期間の新高値を付ける場合
この水準での株式に需要が無いため、このような状況が現れる。
まもなく売りに圧倒される直前のサインとなる。
②1日の出来高が前日の水準を上回るが、株価指数が前日比でほとんど上昇しないor下げて引ける日が2~4週間で3~5回起きる
これは、機関投資家が売り抜けしているサインであることが多く、すぐに売りに圧倒されることは無いがこのタイミングで現金比率を高めておくことが推奨される。
例えば、2000年のITバブル崩壊の時のチャートを見ると、Cのあたりで出来高が増えているのに下げて引ける現象(②)が起き、その後反発してDで新高値を付けるもののAと比較すると出来高は減少している。Hに至るまで出来高を増やしながら指数が下がっていくことで「通常の株価調整」と錯覚する投資家も多かったが、大きな下げの最初の数日間は出来高は必ずしも大きく減少しないことに注意。
▶市況|反発の失敗を確認して空売り開始
日足ベースの株価指数が短期的なそこから反発して最初の3日間は、その3日間の全てで出来高を伴って大幅な株価上昇を示さない限りは無視。
本物の反転は85%の確率で出来高を伴った力強い株価上昇「フォロースルー」の日を伴う。
出来高が細りながら少ししか反発していなかったり、1日間の急激な上昇をのあとで急落し始めた場合は空売りポイント。
フォロースルーっぽい日があったら、1日ないし2日で出来高が上昇したにもかかわらず指数が横引き・下げの日が無いか確認した後に空売りに入るのが良い。
▶個別銘柄選定|崩れやすいベースを見つける
カルパイン・コーポレーションの株価推移を例にとる。
株価は値上がりとベース形成を繰り返して上昇してピークに向けて上昇していく。この時、適切なベース形成がされていればその後も値上がりする可能性は高いが、ベースを作って値固めしているように見えて不完全なベース形成はその後値崩れするサインになる。
不完全なベースを見極めることは非常に難しいが、「それまでのベース形成と同じか違うか」が一つの視点になる。
▶個別銘柄選定|対象銘柄は明確に存在する
強気相場で先導株だった銘柄で、直近で株式分割をしている銘柄。
それぞれ条件を見ていくと次の2つ。
①下げ相場に入る直前の上げ相場をリードしていた銘柄
先導株について、機関投資家は、相場をリードしていた時期よりも、その銘柄が天井を付けて1~2年後の方が多くの量を保有している。つまり、潜在的な巨大な売手要因が生み出される。
②株式分割された銘柄
特に分割比率が高い銘柄か、直近の分割がここ数年で2回目の分割の銘柄がよい。通常、株は2回目か3回目の分割の後1年以内に天井を付ける。
当然ながら、機関投資家の持ち株数が増えると、売却時にはより多くの売りが供給されるため巨大な潜在的な売り需要が生まれることになる。
弱い相場に入ると、往々にして遅れてinした機関投資家の株が膨張し過剰保有している状況が生み出される。この状況下で銘柄の下げが始まると、もう止まらない。
▶個別銘柄選定|空売りしてはいけない銘柄
大きく焼かれる可能性がある銘柄での空売りは絶対避けるべき。
具体的には以下のようになる。
《空売りしてはいけない銘柄》
・小型銘柄で浮動株が少ないか、出来高が1日100万株もない
・株価やPERが高そうに「見える」銘柄
・買われすぎ・売られすぎの指標でスクリーニングした銘柄
・手じまいをきっかけにした逆ザヤ買い
▶タイミング|クライマックストップを見極める
強気相場においては、上昇が止まり下げ局面へ転じる前に、クライマックストップと呼ばれる急激な動きがあることが多い。
シグナルが出ていることも多いため、個別銘柄の選定が終わったら、空売りを開始するタイミングをクライマックストップの到来で見極めればよい。
《クライマックストップのシグナル》
①多くの場合、日足チャートでギャップアップしている
②多くの場合、週足で前週の安値から高値までの大きな値幅を繰り返す
③週足で、少しだけ前週より高く引けて線路のようなチャートになる
④往々にして、良いニュースや目標株価の引き上げによって引き起こされる
▶タイミング|天井と正しいタイミングは違う
天井で空売りを始めるのではなくて、正しいタイミングで空売りを始めることを意識したほうが良い。
正しいタイミングとは、大きな株価急落の後に訪れる2回か3回の反発のタイミングと言われている。
■50日移動平均線をブレイク
ルーセント・テクノロジーズを見ると、50日移動平均線以下へ急落した後に、5回も反発をしている。
つまり、急落したポイントやクライマックストップで空売りを始めてしまうとハラハラすることが多く、それと同じだけの利幅は最後の反発から空売りを始めても取ることができるという意味。
■オーバーヘッドサプライで上値に重し
株式が現在取引されている株価より上で、一定期間取引が行われていた領域をオーバーヘッドサプライと定義している。
この領域で取引した投資家が、その後の株価低下で塩漬けした株を手じまいしようとするため、一回オーバーヘッドサプライを抜けるとそれ以上には上がりにくいというもの。
■ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップからの下落
ネックでの空売りは多くの投資家が狙っているポイントなので、50日移動平均線のブレイクをサインにして空売りを始めると良い。
ネックと思って売ると、二度目三度目の反発で大きく値ががることも多いので、必ず移動平均を割ってから買うようにしたい。
▶タイミング|手仕舞いはいつすべきか?
損切のラインは8%よりも小さめに設定すべき。
何故ならば、下げを確信しての反発は大きな損失につながることが多いから。
VIX指数が40を超えるような市場が下げの恐怖のピークに達しているタイミングは手仕舞いのタイミングとして十分だが、基本は利食いはあらかじめ設定したパーセント目標に達した時点で行うべきだ。
弱気市場は非常に早く崩れやすく、短期間の急激な反発を起こして売り方を踏ませ、空売りポジションによる利益を雲散霧消させる傾向にある。
したがって、損切りの限界で使うパーセントの2倍を下限にして利食い目標を設定することがおススメで、1回の正しい判断で2回の失敗を許容できる。
少なくとも20%の利益が空売りで出ていたら既に手仕舞いのタイミングは到来していると考えるべきだ。
▶空売りの構造
多くの銘柄がたどる変遷をたどりながら、空売りのタイミングをおさらいしていく。
■きれいなチャートの場合
キレイに株価が上がっていく銘柄はこのような形になる。
Bでクライマックストップ(大きな出来高を伴った極端な新高値)を付けた後、大きな出来高を伴って直近の支持線を割り込む。
この②で空売りに入る投資家は多いが、多くの場合はその後にCで示している50日移動平均線のブレイクを試すような反発が3回~4回続く。
この時点で初めて空売り銘柄候補としてのモニタリングを開始する。
反発が続く間で徐々に出来高は減少していき、その後に大きな出来高を伴った急落が訪れる。真の買い場はこの出来高が減少した最後の反発になる。
こんなに綺麗で分かりやすいチャートになることは稀だが、本質はクライマックストプからの反転後、銘柄への需要がとうとう消滅してから空売りを始めるべきという点。
■崩れたチャートの場合
後期ステージでのベース形成に失敗して、クライマックストップを迎えずに値崩れする銘柄はこのようになる。
このケースでは出来高が増加しているのに株価は並行をたどる、強い投資家から弱い投資家への株の移動が目安になる。この移動が一巡すると①の大きな出来高を伴った急落が発生する。
その後、やはり50日移動平均線のブレイクを試す反発が3~4回あり、買い需要が出切った段階で大きな出来高を伴って急落する。
したがって、後期ベースの形成に失敗しているパターンでも適切な空売りポイントは反発の最後(③)ということになる。
▶株価下落のサインおさらい
以上を総括し、株価下落のテクニカルなサインをまとめる。
1.ストーリング(失速)
株価は反発しているが、週足で見ると1~3週間にわたって週の終値がその週の取引レンジの真ん中よりも下で引けている。特にヘッドアンドショルダーズトップ形成後のストーリングは大幅な下落前のサインになる。
2.ウエッジ(先細り)
出来高が徐々に細りながら株価が上昇すること。需要が不足している兆候なので、しばらくすると大幅な下落が起きることが多く、特にヘッドアンドショルダーズトップ形成後のウエッジは大幅な下落前のサインになる。
3.線路(全く同じ取引レンジの週足が2回続く)
ある週に株価が急激に上昇し、その次の週にその前の週の取引レンジを完全になぞる、かつ、大きな出来高を伴ってその週の高値付近で引ける現象。株高が大きな出来高に支えられているように見えるが、ディストリビューション(強い投資家から弱い投資家への株の移動)が起きていることが多い。
4.アイランド・トップ
株価が2~3週間以上の上昇を続けた後、最後にギャップアップして、その週は狭い範囲の取引になる現象。これも売りと買いが拮抗していることを暗に示しているため、その後の下落局面への移行を示唆している。
5.後期ステージのベースから薄商いでのブレイクアウト
だましのブレイクアウトの可能性がある。
以上です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?