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WaveHack: On-chain Native Grant Framework

AKINDOプロジェクトを始めた2022年初頭から構想していたメインプロダクトを先日、しれっとリリースしました。まだまだ検証も必要なので特に大きなリリースやPRを進める予定はなく、スモールスタートで改善を進めていきたいと思っています。

一方でどのような文脈や思想でこのWaveHackを開発しているのか関係者や応援してくれる方々にはご認識頂きたいと思いこのnoteを書きました。この1年、約50に及ぶハッカソンや勉強会などイベントを開催してきましたが、その伏線回収とも言える今回のプロダクトについて紹介をさせてください。

What is WaveHack?

WaveHackはCryptoネイティブなGrant(助成金)フレームワークであり、これまでのハッカソンや助成金プログラムに置き換わるものです。チェーンやプロトコルレイヤーのプロジェクトはWaveHackを使うことで、エコシステムに貢献する開発者へ継続的、かつ自動的に予算を分配することができます。

これまでプロトコルレイヤーのプロジェクトはそのエコシステムを拡張するために、アプリ開発者にハッカソンや助成金プログラムを通して予算を提供していました。

しかし、その貴重な予算は効果的に活用されているとは言えない状況があります。ハッカソン、助成金プログラムいずれもその後の継続コミットが保証されず、特に助成金に関してはその審査プロセスの煩雑さにも関わらず希望観測的なものとなり、将来性の評価が不明瞭にならざる得ません。

ハッカソン、助成金いずれもその多大な実施リソースに対して求められるエコシステムの成長が、その工数に応じて伴うものではないという大きな課題があります。

Problems of Hackathon and GrantProgram

ハッカソンも助成金プログラムもアプリエコシステムの拡大のために必要なアプローチである一方、これは前時代から存在するレガシーな仕組みであり、CryptoやDAOにおける思想はもちろん、オンチェーンにも最適化されていません。それにも関わらず、盲目的に従来ながらの方法を踏襲し続けている点が今の業界課題だと認識しています。

そこでWaveHackはその両方を置き換え、プロトコルのエコシステムの質を10倍よりよく、そして10倍大きく拡大するためのソリューションとなります。

WaveHack Solution

WaveHack Solution

WaveHackはプロダクトのアップデートに応じて、継続的に助成金を自動分配できるツールです。

主催プロジェクトが設定した募集テーマに応じて、誰でも開発したアプリを提出できる継続ハッカソンのような仕組みになっており、プロダクトアップデートの差分が主催プロジェクトのコミュニティによって遡及的に評価されます。

その開発、評価期間の合計単位をWaveとし、予算プールが0になるまでWaveは繰り返されます。開発者は各Waveごとにプロダクト提出、評価されることで、継続的な資金獲得が可能となります。

主催プロジェクトのコミュニティメンバーは提出されたプロダクトの進捗コメントとそのコード、プロダクトをみて各Waveごとに投票を行います。予算プールからWaveごとに拠出される固定割合の助成金がその投票率に応じてアプリ開発者へ分配されます。

コアチーム、コミュニティによる属人的な開発進捗の評価だけではなく、リリース後のプロダクトはトランザクションなどのオンチェーンデータ成長率を進捗として評価されることで、自動的かつトラストレスに助成金が分配されていくものになります。

つまり主催プロジェクトに対してどのアプリがどれだけ貢献したかの評価を、コアチーム、コミュニティ、オンチェーンに分散的にもたせることで、そのプロジェクトのDAO化を推し進めていくことが可能になります。

一方でブロックチェーン開発者は短期的な売上やユーザー獲得を気にせず、興味のあるチェーンやプロトコルを活用した作りたいアプリ開発にコミットするだけで、生きていくための資金を得ることができます。

WaveHackはオープンな機会提供となり、いわば開発者のためのベーシックインカムになりえます。ハッカソンのようなMVPに対してだけではなく、本番リリース後もそのグロースに応じて評価がされるため、双方にとって長期的でWin-Winな関係性を築くことができます。

開発者は自身のアイデアを実現するため、いくつかのチェーン/プロトコルにコミットしてアプリ開発を続けていれば、毎週1000〜2000ドルの助成金を各プロジェクトから得られる世界線をイメージしています。

Why WaveHack?

WaveHackはエコシステムを拡大していくCryptoプロジェクトのためのツールです。それらプロジェクトがWaveHackを使う理由は主に以下の3つです。

1.効果的なリソース配分

WaveHackは実績に応じたレトロアクティブ(遡及的)な評価で貴重な予算を開発者に分配することができます。助成金プログラムのような、資金を提供したけど進捗がない、という最悪な事態は起こりえません。

これはOptimism DAOにおけるレトロアクティブパブリックグッドファンディングでも実現されている仕組みであり、エコシステムの価値増大を実現する正のフィードバックサイクルをもたらします。

https://app.optimism.io/retropgf

2.開発者の継続コミットとリレーション

Expand your ecosystem

WaveHackはハッカソンのように一過性のものではありません。プロダクトを多少なりとも改善することは、開発者にとって予算獲得を意味するため継続的なコミットを行うインセンティブをWaveHackは実現します。

いわばハッカソンより短く小さなサイクルで継続開催することで、参加者の参加ハードルを下げ継続率を最大化します。

これまで多くの予算を使って開催したハッカソンでプロダクトを提出してくれた開発者たちをリアクティベートするためのツールでもあります。各プロジェクトが持つコミュニティに対して、適切なオポチュニティとインセンティブを提供します。

これはすでにマネーストリームプロトコルのSuperFluidでの同様の取り組みがなされており、彼ら独自の継続ハッカソンWavePoolでは従来ながらのハッカソンに比べ提出プロダクト、開発者の数において5倍の費用対効果を実現しているとのことです。1年以上続けており、その効果の高さから今後も継続して続けるとCEOのFranは述べていました。

Franとのmtgの様子

3.開発者の獲得とオンボーディング

WaveHackは既存コミュニティに対してだけではなく、そのチェーン/プロトコルを初めて知る開発者にとっても、そのエコシステムへ誘引するインセンティブとなりえます。

例えばEthereum上でアプリ開発している開発者が、次に展開するネットワークを検討している場合、このWaveHackの実施は開発者にとって大きな意思決定要因として機能するでしょう。

WaveHackはハッカソンのように0→1ではなく、主に既存プロダクトの進捗分によって評価されます。すでに実績あるアプリによる他チェーンからの展開はそのエコシステムを強化するものとしてコミュニティに受け入れられるのはご存知の通り、それは助成金を獲得するチャンスの最大化を意味します。

繰り返しますが、WaveHackは開発者にとって常にオープンなオポチュニティでありインセンティブです。既存の開発者はもちろん、他エコシステムの開発者を呼ぶこむものとして機能しますし、これは従来のDevRelのリソースを大きく効率化します。

つまりボトムアップの機会をこのツールによってアウトソースすることで、DevRel担当はアップサイドが期待できるアプリ開発者に対してより適切なサポートが可能になります。

WaveHack Journey

Paolo Soleri's "hyperstructure" in ground-level view.

WaveHackはあらゆるプロジェクトの分散化を促すためのインフラプロトコルです。その実現のためのアプローチとして、まずはプロジェクトにとって最も課題感の高いデベロッパーコミュニティの構築にフォーカスしています。

Solana,Sui,AvalancheなどのL1チェーンはもちろん、OPStack,Polygon zkEVMに代表されるL2 Stackによるアプリ特化チェーン、さらにはCelestiaを筆頭とするモジュラーチェーンの台頭など、これからますますプロトコルレイヤーによるアプリ開発者の囲い込みが熾烈な争いをみせこれまで以上に多くの予算がバラまかれ始めるでしょう(直近のETHGlobal IstanbulのPrizeは$625,000!)。

プロトコルレイヤーにおいてのユーザーは開発者であり、その予算の多くはユーザー(開発者)獲得、つまりアプリエコシステム拡大のために使われます。

そしてその方法これまでハッカソンや助成金プログラムというレガシーな方法に託されていました。あらゆる面でリソースがかかり、不明瞭でスピード感に欠け、オフチェーンベースであったその方法をWaveHackはオンチェーンネイティブに置き換えプロジェクトの分散化を成功に導きます。

その旅はデベロッパーコミュニティから始まり、次のマイルストーンはトラストレスアーキテクチャを伴う非開発者による貢献の評価、最終的にはあらゆる公共財(ハイパーストラクチャー)のインフラプロトコルになる未来を見据えています。

マイルストーンについての深掘りは主題とブレますので割愛しますが、AKINDOはこれまでの仕込み期間を終えブルマーケットに向けてその第一歩を踏み出しました。

最初のWaveHackの導入予定パートナーとしてAstar、Chainlink、Aptos、Taiko、Mina、BNB、TheGraphなどと話を進めており、もう少しで最初のWaveHackも公開できる予定です。アップデートはこのAKINDOのXアカウントをフォローしてチェックしてください。

WaveHackはここから誰でも活用できますが、どのように活用していけばいいのかなど、まずはぜひ一度私のXよりDMにてご相談を頂けると幸いです。

Podcastでより詳細の機能説明もしていますので、よかったらどうぞご覧になってみてください。https://www.youtube.com/watch?v=mVke6r-FVP0

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