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web2からweb3時代へ。資本主義の歴史から考える、トークンネイティブなコミュニティへのメガトレンド

前回のDAO記事、多くの人に読んで頂くことができました(なんとnoteのTOPにも!)。

国内におけるDAO理解の底上げの一端を担えたことを嬉しく思います。DAOの概要についてはその記事に任せ、今回はもう少し思想的な側面を深堀りしてみたいと思います。

暗号通貨という側面で評されがちなブロックチェーン技術、古くはICOそして今はDeFiや(アート)NFTなどその半ば投機的なプロジェクトによって注目を浴びはじめたのは事実です。

わかりやすく数字のインパクトもありますのでそのような面ばかりが話題にあがりますが、個人的にはそういった短期的な視点ではなく、その仕組みを実現しているコアコンセプトの「所有権」がもたらす可能性について思想を深めることがより本質的、そして長期的な発展において重要だと考えます。

未来を考える上で、過去を学ぶことはいつの時代も有効でしょう。web2からweb3への移行を考える上で、同様のアナロジーとなりえるのが資本主義の成り立ちだと思い今回は少しばかり過去を振り返りながら未来を志向してみたいと思います。

絶対王政の終焉とともにもたらされた資本主義

1789年にフランスで勃発した、ブルボン絶対王政を倒したフランス革命

今、私たちが豊かな日々を享受できている理由の一つに、世の中の主流となっているイデオロギーが資本主義であることが挙げられるかと思います。

資本主義とは、生産手段の私的所有と利益のための運用を基本とする経済システムである。とwikipediaでは定義さえていますが、それはフランス革命に代表される18世紀の絶対王政の終焉とともに普及し、産業革命によって定着したシステムです。

これは「私有財産権」の延長によって実現したシステムであり、自分の努力によってリターンを得ることができるという、今では当たり前ですが当時としては「創意工夫による行動次第で平等にリターンを得られる」というのは革命的なものでした。

中世までの世の中には、土地の強奪、国による特許の独占、ギルド制など個人の血汗にじむ努力を無力化する多くの制約があり、構造的にモチベーションが上がる仕組みが存在しませんでした。努力すれば金銭的なリターンが得られるという概念を持つ人がその設計上ほとんど存在しえなかったのです。

その後、革命を通して手にした「資産を所有できる」という保証によって、今に続く資本主義が勃興し、2022年現在いち企業が340兆円もの時価総額に及ぶなど極まるレベルまで達しており、今は民間企業における独占と富の集中という問題が顕在化されるまでとなっています。

巨大テック企業の独占はいわば絶対王政時代の中世そのもの

そして今、これらごく一部の巨大テック企業は国を超越するほど強大な力を持ち、世界中の人々のデータをその手に収めています。なぜならそのデータこそが富を生む源泉であり、独占こそが優位性となりえるからです。

私達が日々生み出す行動データ、コンテンツ、さらにはアイデンティティともなりえるオンラインのアカウントは、それら企業に献上しているわけであり営利活動の支援を自発的にしている状態にあります。その本質的な所有権は私たちの手にありません。

この構図、中世でみられた君主制/封建主義と全く同じではないでしょうか?

歴史から学べることは多くありますが、この封建主義から資本主義へのイデオロギーの移行は今のweb2時代からweb3の流れに重なるところがあるように思えます。

人々は君主による剥奪や制約に怯えず、自身の財産を投資することでリターンを得られるインセンティブを持つことができ、それによって発明や生産性向上のモチベーションが生み出され今の資本主義が形作られました。

想像してみてください。今私たち日々生み出しているデジタルコンテンツから無限のリターンを生み出せる世界を。1,000年以上停滞していた中世と異なり、資本主義が定着した世界はたった100年ほどで圧倒的によりよい場所になりました。

オンライン上の財産とも言えるデータ(コンテンツ)を制限なく、自分のアイデアで自由に再投資しリターンが得られるようになれば、少なくとも今よりベターなインターネットを形作れるのではないでしょうか。

適切なインセンティブの付与がモチベーションを生み出す

インセンティブは重要な概念です。いわば今の世界は「頑張れば儲けられる」という共通のインセンティブプロトコルに則ったシステムであり、それが機能してこの豊かさがもたらされています。

web3におけるトークンは、私たちのあらゆる活動にそのインセンティブを付与するプロトコルです。トークンはデジタル上における株式のようなもので個人に対してその所有権を保証しますが、それはリアルだけではなく、匿名性あるデジタル上においても適切な努力が報われる世界を意味します。

YouTuberやTikTokerに代表されるよう、プラットフォームの意向(アルゴリズム)に沿う形で努力を重ね影響力を得て金銭的リターンを獲得する個人は存在しましたが、より自分らしい貢献によってリターンが得られる世の中は、おそらくもっと多様的な生きやすい世界になるでしょう。

クリエイターエコノミーは実質オーディエンスの有限のアテンションをどう奪うか、クリエイター同士をゼロサムゲームで戦わせるものであり、ギグエコノミーの潮流と合わせて今の仕組みがサステナブルなものだとは思えません。

プラットフォームは、すべてのクリエイターが常に新しいコンテンツを発信しながら、自分のオーディエンスを構築するだけでなく、維持しなければならない状況を作り出しています。 それは疲弊するもので、メンタル的な問題も引き起こしていますがその詳細は以下に譲ります。

記事内にもありますが、クリエイターエコノミーの概念を最も早く提唱していた著名VCである@LiJingさんのこの皮肉は本当に強烈です笑

web2インターネットがもたらす最大のインパクトは、ビジネスモデルがないために存在しないクリエイターと、作られることのなかった作品かもしれません。

ブロックチェーン技術にって適切なインセンティブプロトコルを得た個人は、自分らしい貢献方法で世界とダイレクトに繋がり従来とは比べ物にならないアップサイドリターンのチャンスを(トークンによって)得ることになります。そしてそれはDAOというコミュニティを通してもたらされます。

トークンエコノミーと相容れないweb2時代の企業は、今後ピークアウトしていく

https://www.ft.com/economics-of-big-tech

分散型社会になっていくにつれ想定的にweb2領域の会社(特にGAFAMのような巨大テック企業)はその独占を弱め、影響力を弱めていくことでしょう(もちろんなくなりはしませんし、web3に足りない部分を補う関係性となると思います)。

2022年の今が成長のピークであり、これ以上の時価総額を持つ会社も資産をもつ個人もDAOが定着する未来には存在しえないものになると感じています(世界はまだまだ成長していくでしょうが、その遍在性が是正されてロングテール部分がよりボトムアップされていくイメージです。)。

会社の従業員として雇用される働き方とプロジェクトのオーナーシップを持りリターンが保証されている働き方、それぞれメリットデメリットあり人それぞれですが一定の割合が後者へ移行していくのは不可逆的なトレンドだと感じます。※もちろん前者も自社の株式をもったりSOがあればアップサイドがありますが、その手続きの煩雑さや流動性などトークンのそれと比べると前時代的だと感じずにはいられません。

そしてまさにイノベーションのジレンマそのものなのですが、大きい企業であればあるほど(トークンの発行など)web3的なアプローチが難しい点に新陳代謝の可能性を感じます。

既存のユーザー、従業員、パートナー、株主がいる中で、株式と類するトークンを発行してステークホルダーコミュニティを作り出していくことは、これまで積み上げてきた関係性をいわばリセットする行為であり(古参の貢献者の信頼をなくすなど)ほぼ不可能な選択肢であるとも言えます。

Discordが暗号通貨のウォレット機能追加の可能性を示唆しただけでものすごい批判が巻き起こりました。この記事を読んでいるあなたは特殊であり、まだまだ暗号通貨はマイノリティでありマジョリティには「怪しい」ものと認識されているのです。

これまで強い企業だと称された大企業であればあるほどweb3の世界線では強みを失い、トークンネイティブな組織に比べて相対的に弱くなる。これほどまでの転換が起こり得るからこそ、web3時代の組織形態であるDAOは株式会社の再発明とも言われています。

暗号の未来を信じているトークンネイティブなコミュニティによって生み出されるのは、よりオープンでフラットで多様的、全員に優しい世界かもしれません。web2時代のような巨大テック企業が出ることはもうないでしょうが、より人間らしい生き方は増えるでしょう。

また、人種、場所、学歴関係なく、その貢献によってリターンを手にできる社会は途上国の人々に大きなチャンスと富をもたらすのは間違いありません。まだまだ世に出ていないビッグアイデアに光があたるというだけでもワクワクしますね。

課題:トークンによる外発的動機づけはサステナブルなものになりえるのか?という問い

一方、まだまだ黎明期でもあるこの概念、実際に世界では日々多くのDAO(=プロジェクト/プロダクト)が生まれていますがその課題感も噴出しています。

特に僕たちのコミュニティでもフォーカスして考えていきたいのが、トークンによる外発的動機付けはそのプロジェクトに対してサステナブルな貢献を生み出すことになるのか?という問いです。

マクロにおいては、前述の通り資本主義の発展によって答えはでているかもしれませんが、DAOの運営に焦点をあてて考える必要があります。トークンはあくまでもインセンティブのいち手段であり、本質的なものはDAOのミッションへの内的動機付けでしょう。

コミュニティと自身のミッション、およびインセンティブが一致していて、メンバーへの許可を必要とせず自律的にアクションを行うことができ、自分のための行動がコミュニティのための行動に紐付いている状態。それがひとつの理想形態かもしれませんが、(黎明期でもあり)まだそのようなWin-Win運用が完全かつ継続的にワークしているDAOは少ないといえるでしょう。

その点も含め、いかにプロジェクトのオーディエンス(認知)を増やし、エンゲージメントを高め、そして定着(継続的に貢献)を引き出すのか、その方法について次回の記事で深堀りしていきたいと思います。

まさにその課題感を解決するプロジェクトをYoursDAOというコミュニティでは進めていく予定です。Twitterでもその過程を随時アウトプットしていきますので、よかったらぜひフォローをお願いします。

web3の世界線において、あなたのウォレットはオープンなものとなり、そこにあるトークンはあなたの信用であり、そして資産ともなりえます。

どのプロジェクトにどれだけの貢献をこれまでしてきたのか?どのようなプロジェクトを信じて投資していきているのか?そういった積み上げてきた活動をトークンの数字で可視化される世の中でどのように生きていくべきでしょうか?

リアルの制約を解き放ち、自分らしくいれるコミュニティファーストで生きていく未来はまさに今です。より本質的な議論をしていきたいと思っています。Discordコミュニティへぜひご参加ください。

Podcastもやっています。1週間に2回ほどのペースで更新しています。こちらもぜひフォローをお願いします。

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