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#野生の月評

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「月評」スピンオフ企画。新建築社刊行の雑誌『新建築』『住宅特集』などの掲載作品・論文にまつわる感想などの記事をまとめていきます。「#野生の月評」とつけてご投稿いただけると嬉しいで… もっと読む
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#新建築

勝手に月評 新建築2019年5月号

5月号ではすべてで16題からなっており,前半4題を終えると「地域の建築は設計できるか」という特集記事より,12題の地域の拠点が掲載されています. 塚本由晴氏の特集記事「地域の建築は設計できるか」は,今月号の作品の読み方に大きな指針を与えるものだと感じたので,簡単な要約をします. 本記事で述べられているのは,そもそも今現在でも「地域の建築」という枠組み自体に焦点が定まっていないこと,そのため何かとの対比によって補完的に「地域の建築」を浮かび上がらせる手法が取られていたことが

軍隊経験と建築家|菊竹清訓と清家清、それぞれの戦後民主社会な「格納庫」

新建築主催「12坪木造国民住宅」コンペで佳作に選ばれた菊竹清訓案(新建築1948.4)と、清家清の建築家デビュー作となる「うさぎ幼稚園」(竣工1949、新建築1950.4)(図1)。特徴的なシェル形の建築は、ともにそれぞれの戦時中の軍隊経験に由来しています。 図1 ふたつのシェル型屋根建築 敗戦を境にして、民主的変革を遂げたといわれる日本社会。でも、そんな社会の建設を担った若き建築家たちは、やはりそれぞれに戦争を体験し、自らもその技術・技能でもって「一億総火の玉」の一端を

金色の野に降り立つル・コルビュジエ|内田祥文の防空理想都市

『新建築』の1941年4月号は一冊まるごと東京都市改造計画案。それはちょうど、同じく『新建築』の1961年3月号に、丹下健三研究室の「東京計画1960 その構造改革の提案」が掲載されたり、2006年6月号に、東京大学大野秀敏研究室による「FIBER CITY 東京2050」が特集されたのに似ています。 そして、この1941年4月号は「新しき都市特輯號」と題し、若手建築家らによる都市提案、題して「新しき都市-東京都市計画の一試案」が掲載されているのです(図1)。 図1 『新

『#野生の月評』マガジンスタート!

いつも新建築社の投稿をお読みいただきありがとうございます。 noteでも公開している「月評」。 「月評」は前号の掲載プロジェクト・論文(時には編集のあり方)をさまざまな評者がさまざまな視点から批評するという企画です. こちらは専門家の方々によるものですが、読者の方が『新建築』や『住宅特集』など新建築社の雑誌をどのように読まれているか知りたく、この度スピンオフ企画として「#野生の月評」マガジンをスタートすることとしました。 読者の皆様の『新建築』『住宅特集』掲載作品・論