新川国語教室

自らも中学受験を経験し、都内国立中学・高校から東京大学経済学部へ進学。卒業後、ロンドン…

新川国語教室

自らも中学受験を経験し、都内国立中学・高校から東京大学経済学部へ進学。卒業後、ロンドン大学で経済学修士号を取得。「東京都中央区新川の国語教室です。小学生を対象に、完全マンツーマンで個別指導を行います。家庭教師により、ご家庭のニーズにマッチした教材・方法で指導します。」

記事一覧

【読書メモ】『ワニのガルド』おーなり由子

さびしい人にだけ見えるワニのおばけガルド。 転校して友だちのいないヒナちゃんの前に、ガルドが突然あらわれた。 さびしい人にだけ見えるはずのガルドだけど、教室内に…

新川国語教室
18時間前
3

【読書メモ】『マリはすてきじゃない魔女』柚木麻子

主人公は11歳の魔女マリ。 人間と仲良く暮らすために、「魔女」は「すてき」じゃなければならないのに、マリは食いしん坊で、悪ふざけが大好きで、怠け者。 おばあさま魔…

2

国語を制するための3つの習慣?

「国語を制するために必要なたった3つの習慣」という記事がありました。難化・長文化する中学入試への「効率のいい対策方法」として、次の3つが紹介されています。 ① 銀…

11

【読書メモ】『時ひらく』伊坂幸太郎 ほか

創業350年の老舗デパート三越を舞台にした6つの物語。 仙台三越が舞台の「Have a nice day!」、主な登場人物は、女子中学生のフジサキとエンドウ、担任の若手数学教師の田…

4

【読書メモ】『放課後ミステリクラブ 2 雪のミステリーサークル事件』知念実希人

本屋大賞ノミネート作品「金魚の泳ぐプール事件」の続編。 推理小説好きの天馬、スポーツ万能の美鈴、合気道が得意な陸、小学4年生3人組が校庭に現れた雪上ミステリーサー…

14

中学受験が「課金ゲーム」と言われる理由

「中学受験が『課金ゲーム』と言われる理由」について、慶應卒お父さんの体験記事がありました。レギュラー授業以外がどんどん増え、補習塾や家庭教師をつけることが少なく…

12

【読書メモ】『ともだち』椰月美智子

毎日小学生新聞で'24年1月まで連載されていた作品。 主人公ジュンは公立小6年生、勉強が苦手で運動も得意ではない。 クラスで起こるいろいろな事件がジュンの視点で描か…

新川国語教室
2週間前
2

【読書メモ】『リラの花咲くけものみち』藤岡陽子

主人公の聡里は、小4で実母と死別、その後数年間継母に虐げられ、15歳で祖母に救い出される。 物語は、聡里が北海道の大学の獣医学部に入学し、寮に入るところから始まり…

新川国語教室
2週間前
2

SAPIXテスト論説文が慶應女子高の入試問題と同じ!

6年生4月のSAPIXオープン(選択肢問題)の論説文は、内田樹さんの『日本習合論』でした。内田樹さんの文章は、2016年の東大現代文で出題され、近年の大学入試では頻出で…

新川国語教室
2週間前
12

【読書メモ】『おしごとそうだんセンター』ヨシタケ シンスケ

宇宙人がおしごとそうだんセンターのお姉さんから、おしごとについて、様々な含蓄ある言葉をもらう物語。 忘れたくない言葉は、ノートに書き留めた。 「あなたのことは、…

新川国語教室
2週間前
1

【読書メモ】『夜明けのはざま』町田そのこ

地方都市にある家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」が舞台の5つの物語。 三章の須田の境遇が辛すぎる。 いじめの首謀者たちが、全く反省してないまま話が終わり、重苦しい気…

新川国語教室
3週間前
7

SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」は男子に不利?②

前回ブログ①に続いて、SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」です。物語文で問われるのは「登場人物の心情変化」ですから、これを丁寧に追いかけなければなりません。6年…

新川国語教室
3週間前
4

【読書メモ】『八秒で跳べ』坪田侑也

現役医大生による高校バレー部の物語。 プレー中の描写がわかりやすくて、チームがギクシャクしている試合も、絶好調の試合も、リアルに伝わってきた。 主人公にとって、…

新川国語教室
3週間前
2

【読書メモ】『風に立つ』柚月裕子

少年春斗が、南部鉄器の工房に、補導委託(問題を起こして家裁に送られた少年を一定期間預かる制度)でやってくる。 工房の大人たちが春斗に注ぐ愛情の深さに、たびたび胸…

新川国語教室
3週間前
4

SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」は男子に不利?①

SAPIXの6年生は、4月はマンスリーとオープンの2つのテストがありました。物語文の出典は、マンスリーが如月かずささんの『給食アンサンブル』、オープンが吉野万里子さ…

新川国語教室
3週間前
5

【読書メモ】『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』廣嶋玲子

生徒さんに借りた本。 小学生に人気でアニメ化されていることしか知らず、読む前は、悩める子どもが銭天堂の駄菓子を食べて、問題を解決してもらうハッピーお気楽ストーリ…

新川国語教室
3週間前
2

【読書メモ】『ワニのガルド』おーなり由子

さびしい人にだけ見えるワニのおばけガルド。 転校して友だちのいないヒナちゃんの前に、ガルドが突然あらわれた。 さびしい人にだけ見えるはずのガルドだけど、教室内にはもう1人、ガルドが見える子がいた。 「おれが、見えなくなるのは、いいことさ……」というセリフを残して去っていくガルドが、かっこいい。

【読書メモ】『マリはすてきじゃない魔女』柚木麻子

主人公は11歳の魔女マリ。 人間と仲良く暮らすために、「魔女」は「すてき」じゃなければならないのに、マリは食いしん坊で、悪ふざけが大好きで、怠け者。 おばあさま魔女の「女の子たちが、もっと自由に、もっと気楽に生きられる世界になりますように。」というメッセージをしかと受け取った。 柚木麻子さん初の児童文学。

国語を制するための3つの習慣?

「国語を制するために必要なたった3つの習慣」という記事がありました。難化・長文化する中学入試への「効率のいい対策方法」として、次の3つが紹介されています。 ① 銀本(入試問題)を読書として読む ② 志望校の過去問で本文の長さを確認する ③ 記述問題で△を取る答え方を身につける 読書の効用は確かにありますが、点数アップを目的にすると、読書本来の楽しみが失われてしまいます。6年生ともなれば、休み時間もわずかになってしまうところ、銀本では「息抜き」にならないかもしれません。当ブロ

【読書メモ】『時ひらく』伊坂幸太郎 ほか

創業350年の老舗デパート三越を舞台にした6つの物語。 仙台三越が舞台の「Have a nice day!」、主な登場人物は、女子中学生のフジサキとエンドウ、担任の若手数学教師の田中先生。 不思議な話に引き込まれ、楽しい読書時間だった。 日本橋三越が舞台の作品には、お馴染みのライオン像や天女像、パイプオルガン、アンモナイトの化石、特別食堂などが登場。

【読書メモ】『放課後ミステリクラブ 2 雪のミステリーサークル事件』知念実希人

本屋大賞ノミネート作品「金魚の泳ぐプール事件」の続編。 推理小説好きの天馬、スポーツ万能の美鈴、合気道が得意な陸、小学4年生3人組が校庭に現れた雪上ミステリーサークルの謎を解く。 2作目から読んでも問題なく楽しめた。

中学受験が「課金ゲーム」と言われる理由

「中学受験が『課金ゲーム』と言われる理由」について、慶應卒お父さんの体験記事がありました。レギュラー授業以外がどんどん増え、補習塾や家庭教師をつけることが少なくない。苦手分野を補強し、理解したことを身につけるためのサポートが必要で、効率的に学習するには個別指導が最適だった、とのことです。 大手塾のカリキュラムが復習中心となったため、例えばSAPIXでは「集団授業が3割、家庭学習が7割」とも言われます。大手塾の費用は3年間で300万円がベースですから、そこに個別指導などがプラ

【読書メモ】『ともだち』椰月美智子

毎日小学生新聞で'24年1月まで連載されていた作品。 主人公ジュンは公立小6年生、勉強が苦手で運動も得意ではない。 クラスで起こるいろいろな事件がジュンの視点で描かれる。 クラスの勝利のために協力する運動会、教科書切られ事件後のクラス会議、書道指導の河原崎さん、近所の青年ダイがいい。

【読書メモ】『リラの花咲くけものみち』藤岡陽子

主人公の聡里は、小4で実母と死別、その後数年間継母に虐げられ、15歳で祖母に救い出される。 物語は、聡里が北海道の大学の獣医学部に入学し、寮に入るところから始まり、自然あふれる北海道でさまざまな人と出会い、少しずつ成長していく。 大小の動物、草木や花、北海道の風物などが鮮やかに描かれていて、聡里の12年間を追体験(あるいはそばで応援)していた気持ちになる。 親友綾華、異母妹唯、幼馴染のんちゃんとのエピソードも心に残った。

SAPIXテスト論説文が慶應女子高の入試問題と同じ!

6年生4月のSAPIXオープン(選択肢問題)の論説文は、内田樹さんの『日本習合論』でした。内田樹さんの文章は、2016年の東大現代文で出題され、近年の大学入試では頻出です。リズミカルな表現と骨太な内容に、久しぶりに感銘を受けるとともに、これを小学生に読ませるのか!と驚きました。 本作品は、農業と市場の原理が相容れないことを、「農業=需要に上限のある生産活動」、「市場=需要に上限がないシステム」との対比で論じます。私も大学院まで経済学を学び、合理的な個人を前提に数式化する手法

【読書メモ】『おしごとそうだんセンター』ヨシタケ シンスケ

宇宙人がおしごとそうだんセンターのお姉さんから、おしごとについて、様々な含蓄ある言葉をもらう物語。 忘れたくない言葉は、ノートに書き留めた。 「あなたのことは、あなたが一番くわしくなっておいたほうがいいからね。 自分のことを、自分できめる力をつけるために。」 「『自分のやりたいこと』『自分に向いていること』って、からだ全体で感じるものだから、あたまだけで考えてもわかんないのよ。」 「自分をぎせいにして人のしあわせのためにはたらいても、すぐにつづけられなくなってしまうの

【読書メモ】『夜明けのはざま』町田そのこ

地方都市にある家族葬専門の葬儀社「芥子実庵」が舞台の5つの物語。 三章の須田の境遇が辛すぎる。 いじめの首謀者たちが、全く反省してないまま話が終わり、重苦しい気持ちになった。 四章、交通事故に巻き込まれて亡くなった青年の兄の「ぼくたちはあまりにも、明日に任せすぎている」という一言が印象深かった。

SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」は男子に不利?②

前回ブログ①に続いて、SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」です。物語文で問われるのは「登場人物の心情変化」ですから、これを丁寧に追いかけなければなりません。6年生4月のマンスリーで出題された『給食アンサンブル』を例に説明します。 主人公の女子中学生は、過去への「未練」からクラスメイトに「心を開けず」、「意地」を張って「自己嫌悪」に陥ります。一方、クラスメイトは、主人公に「裏切られ」たと「怒り」を感じ、「意地悪」を言ってしまって「後悔」します。そして最後には、仲直りしたい

【読書メモ】『八秒で跳べ』坪田侑也

現役医大生による高校バレー部の物語。 プレー中の描写がわかりやすくて、チームがギクシャクしている試合も、絶好調の試合も、リアルに伝わってきた。 主人公にとって、バレーボールが「好きとか嫌いとかじゃない」「生活の一部」であったように、私も青春を何かで埋め尽くしてみたかった。 最終章「八秒」稲村東高の和泉君がかっこいい。

【読書メモ】『風に立つ』柚月裕子

少年春斗が、南部鉄器の工房に、補導委託(問題を起こして家裁に送られた少年を一定期間預かる制度)でやってくる。 工房の大人たちが春斗に注ぐ愛情の深さに、たびたび胸が熱くなった。 男4人のパンケーキ屋さん、晴天のチャグチャグ馬コの場面が良かった。

SAPIXテスト物語文「女子の心情把握」は男子に不利?①

SAPIXの6年生は、4月はマンスリーとオープンの2つのテストがありました。物語文の出典は、マンスリーが如月かずささんの『給食アンサンブル』、オープンが吉野万里子さんの『いい人ランキング』です。どちらも女子中学生が主人公で、女子校の入試で多く出題されています。 前者は、主人公が意地を張って悪態をつくものの、優しいクラスメイトに受け入れられる場面。後者は、主人公に非がないのに、クラスメイトの妬みから、いじめに遭う場面です。女子同士の人間関係が描かれ、男子小学生は「女子ってめん

【読書メモ】『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』廣嶋玲子

生徒さんに借りた本。 小学生に人気でアニメ化されていることしか知らず、読む前は、悩める子どもが銭天堂の駄菓子を食べて、問題を解決してもらうハッピーお気楽ストーリーを想像していたが、心をえぐられるような展開の物語が多く、良い意味で大いに裏切られた。 『笑ゥせぇるすまん』を思い出した。 これはおすすめ。 廣嶋玲子さんすごい。 既刊の他作品も読みたい。