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【時間旅行シリーズ〜日本文学をうたう。〜」

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日本の偉大な詩人・小説家の方々の《言葉の芸術》を私なりの解釈で音とイラストで映像にしています。【中原中也・萩原朔太郎・室生犀星・芥川龍之介・林芙美子…】
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#中原中也

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中原中也「頑是ない歌」/遥奈

◆時間旅行シリーズ◆ 中原中也さんの「頑是ない歌」を私なりの解釈で音楽と映像にしました。 中也さんの人生を調べてみると、それはそれは波瀾万丈な人生でした。 幼い頃に弟さんを亡くされ、ご自身がお若い頃には愛する人が一番の理解者であった親友の元へと去り、 詩人としての活動の中で孤独に苛まれ、苦しみながら、悲しみながら、迷いながら、生きた人生だったそうです。 しかし、そんな中也さんも結婚をし、子供を持ち、 この詩の中では、今までの自分の人生を懐かしみ、恋しく振り返っています。 そして、弱気な気持ちもありながら、それでもまだまだこれから、 家族のためにもがんばろうとする、前向きな気持ちが綴られています。 けれども中也さんは、病によって三十歳の若さでこの世を去ってしまいました。 さらに、この「頑是ない歌」が発表されたのは、中也さんが亡くなった翌年の事でした。 つまり、中也さんは、どんなに苦しくても悲しくても、自ら命を絶つ事などは考えにもなく、 その瞬間を全力で生き、詩にし続けた人生だったのだと思います。 そして、「頑是ない」とは「聞き分けのない」「無邪気な」といった意味だそうです。 きっといくつになっても、今感じているような不安や苦悩に苛まれて、 子どものようにつまずき転んだりするものなのかもしれません。 「けれど、それも生きているからこそだ」、と、 「死にたい」なんて一言も語らないこの詩が、 どんな事があっても生きてゆこうとする中也さんの姿勢が、 今日をなんとか生きている私たちを、励ましてくれます。 最後に、中也さんは、汽笛の音をきいたあの頃の心のまま、目には見えないけれど確かにそこにあるものを、 詩人として、ずっと追い求めていたのではないでしょうか。 この楽曲が収録されたCD・DVD「中也と私」のお買い求めはこちら↓ https://shinkaikanojo.stores.jp/ ★CD・DVD「中也と私」には、YouTube未公開映像の、中原中也さんの「湖上」も収録されています。よろしければぜひお買い求めください♪

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中原中也「骨」/遥奈

◆時間旅行シリーズ◆ 中原中也さんの「骨」を私なりの解釈で音楽と映像にしました。 「ホラホラ、これが僕の骨だ、」 この衝撃的な詩のはじまり方に多くの人が驚かれたのではないでしょうか。 自分で自分の骨を見ているかのような奇妙な詩ですが、どこか軽やかさがあり、それがまたより狂気を感じさせます。 人は、追い詰められた時、死にたくなる・死を選んでしまうといった事が、この頃よくありますが、 それに対して他人が頭ごなしに「そんな事を言ってはいけない・思ってはいけない」 と言うのもまた、悲しみの種を蒔くだけなのではないかなと思います。 そんな時に、この「骨」という詩を読んでみますと。 中也は自分の骨を見ている。 その骨を描写したり、生前の自らに思いを馳せてみたり、 浮遊する意識の中で、生と死の間を、彷徨う。 私の勝手な想像なのですが、もしかしたら中也さんは、 「詩」という、常識も意識も何もかもすべてが自由な世界で、 自分の弱ささえも許される言葉の景色の中で、 【死の疑似体験】をして心を遊ばせて、自らの精神を救済していたのではないでしょうか? 自分の中で「死」という概念から、癒しだけを持ち帰っていたのではないでしょうか。 「生きる」「生きてゆく」という事に 真剣に向き合った者だけが感じる事ができる「苦痛」。 その苦痛を解放する方法は死なずとも見つけられる、と、 現代の悲しみをも骨の髄まで癒し、ちからを与えてくれる、この「骨」という詩なのかもしれません。 この楽曲が収録されたCD・DVD「中也と私」のお買い求めはこちら↓ https://shinkaikanojo.stores.jp/ ★CD・DVD「中也と私」には、YouTube未公開映像の、中原中也さんの「湖上」も収録されています。よろしければぜひお買い求めください♪

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中原中也「サーカス」/遥奈

◆時間旅行シリーズ◆ 中原中也さんの「サーカス」を私なりの解釈で音楽と映像にしました。 様々な地をまわり、人々の日々の悲しみを一時忘れさせてくれるサーカス。 皆を楽しませてくれるはずのサーカス。 だけど、みんなと同じようには思えなかった心を、この詩には感じました。 みんなの心を惹きつけてやまないサーカスですが、 その華やかさの裏にあるものを中也さんは見つめていたのではないでしょうか。 そしてこの詩は、まるで現代を風刺しているかのようにも感じました。 みんなの退屈や憂鬱を一時わすれさせてくれる、埋め合わせてくれる、 テレビや、SNSや、ゲーム、などなど…。 それらを活用していながら、ふ、と思います。 本当の幸福とは、何なのでしょうか? 情報に踊らされて、流されて、 自分の本当の気持ちや直感を、忘れてしまってはいないか? 自分を失ってはいないか? そうこの詩に問いかけられているような気がしました。 そして、そんな鰯(いわし)の群れからはぐれてしまったからには、 自分が本当に素晴らしいと思えるものを、 自分の心が素直に感じる事を、 今こそ私は、信じてみようと思います。 この楽曲が収録されたCD・DVD「中也と私」のお買い求めはこちら↓ https://shinkaikanojo.stores.jp/ ★CD・DVD「中也と私」には、YouTube未公開映像の、中原中也さんの「湖上」も収録されています。よろしければぜひお買い求めください♪

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中原中也「月夜の浜辺」/遥奈

◆時間旅行シリーズ◆ 中原中也さんの「月夜の浜辺」を私なりの解釈で音楽と映像にしました。 夜、浜辺に落ちていた「ボタン」は、 誰にも見向きもされないようなものかもしれません。 けれど、手放せない。 途方もなく愛しくて、 自分には輝いて見えてたまらないのだ! 「もう手放せ」と、ひとに言われたとしても、それができないのだ! と、子どものように泣きわめきながらも、 目をきらきらと輝かせている中也さんの姿が、この詩を読んだ時に思い浮かびました。 自分のしあわせや、 自分の好きなもの・嫌いなもの、 何に感動し、何をするのか、 それは、自分の心が決める。 たとえ世の中においての正解が決められていても、 それに縛られる事はないのだ、 心はずっとずっと自由なのだ、 と言ってくれているような気がしました。 そして、 私にとっての「ボタン」は、 あなたにとっての「ボタン」は、 それぞれの心が、きっともうよく知っているのでしょうね。 この楽曲が収録されたCD・DVD「中也と私」のお買い求めはこちら↓ https://shinkaikanojo.stores.jp/ ★CD・DVD「中也と私」には、YouTube未公開映像の、中原中也さんの「湖上」も収録されています。よろしければぜひお買い求めください♪

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中原中也「汚れっちまった悲しみに……」/遥奈

◆時間旅行シリーズ◆ 中原中也さんの「汚れっちまった悲しみに……」を、私なりの解釈で音楽と映像にしました。 皆さんもきっとよくご存知の、「汚れっちまった悲しみに……」に、私がはじめて出逢ったのは小学生の頃でした。 あの頃から時を経て、今、私はこの詩と再会しました。 私は、この表現活動が、「生きていく」という事が、なんだかどうにもうまくいかず、疲れて落ち込んでしまっていた時がありました。 そんなところに、この「汚れっちまった悲しみに……」との再会がありました。 そして、悲しみを様々なものにたとえて伝えようとするこの詩が、新しいメッセージをくれたような気がして、 どうしてもうたにしたくなりました。 叫び出したいほどの後悔や怒りや悲しみが、ないまぜになって込められているような、この詩。 「苦しいよう、悲しいよう」 自分にも、誰かにも、それを叫びたい、泣き喚きたい、 この心地を知ったからには、生涯それを携えて行かなければならないのか! と、打ちひしがれている姿が、この詩から感じられました。 だけど、中原中也という人には、詩があった。 この悲しみを詩とする事ができた。 悲しみがあったからこそ、「汚れっちまった……!」と、詩によって中原中也さんは嘆く事ができたのではないか? 悲しみの行き場を詩に置いたのではないか?と思いました。 そこで私は「ああ、それだ!それだったんだ」と思いました。 何かをつくる・生み出すという事の本質は、きっとそれなんだと思いました。 自分がそのように苦悩しながら、つくったもの・生み出したものを、 自分が一番に信用してやり、真摯に届けるという事が、一番に大切なのだと思いました。 中也さんが、自分の詩を信じ続けてきたように。 それが、今の私が、中原中也という人と、この詩に教わった事でした。 この楽曲が収録されたCD・DVD「中也と私」のお買い求めはこちら↓ https://shinkaikanojo.stores.jp/ ★CD・DVD「中也と私」には、YouTube未公開映像の、中原中也さんの「湖上」も収録されています。よろしければぜひお買い求めください♪