見出し画像

『地面師たち』の物語構造

『地面師たち』の物語構造について、小説の指南書でもお手本にできるような、分かりやすく秀逸な構造が取られていたので自分用メモがわりに書く。

とは言っても私は文学部を中退しているので、物語論の基本的な構造や近代文学までの思想の潮流みたいなところについて深い知見があるわけではない。あくまで個人的な感想だ。

***

地面師では、マイクホームズの10億円の取引のエピソードから始まる。
これは登場人物たちを紹介する意図をこめたエピソードだ。
途中で老人が近所のスーパーを聞かれて答えられないなど、ひやりとする場面はあるが、おおむね順調に話は進む。

地面師たちの2話〜7話で、100億円の地面師事件(本命のエピソード)が物語られる。
エピソードごとに主人公の過去のエピソードが語られ、視聴者が主人公に徐々に感情移入できる。

また、話に深みを持たせるために「騙す側(地面師たち)」←→「騙される側(積洋ハウス)」の単純な二項対立に、新たなプレーヤーが加わる。
地面師たちを追う「刑事たち(追跡者)」というプレーヤーだ。

短編では単純な二項対立だった構図が、長編になると深みを持たせるために三つ巴の構造に変更されるのは良くあることだ。

逆に、深みのない小説では長編になっても、新たなプレイヤーを追加しなかったり、追加したとしても既に登場している陣営にプレーヤーを追加してしまうことで、話に深みが持たせられていないことがある。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?