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ビジネス書と学術書の違い。

主語が大きな話し方になってしまう。

ビジネス書と学者が書いた本は大きく構成が違う。

ビジネス書は箇条書きで、学者が書いた本は論理の筋道を追っている。

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まずビジネス書について考えよう。

例えば、『20歳で活躍する50の秘訣』という本があったとする。

「挨拶は自分からする」など、50の項目が列挙されている。

その項目を見出しとして、それぞれ3〜4ページずつ本文をつけると50項目×4ページ=200ページの本が完成する。

それぞれの項目は、箇条書きであり、体系だっていない。

体系だっていないというのは、相互の項目間の繋がりが無いことがあるのが一般的だという意味だ。

悪いことではない。
ビジネスの現場に、すぐに活かせることは具体的なことだ。具体的な書き方を追求した結果、ビジネス書はこのような書き方が多い。

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逆に学者の本は、論理を追う。
主張があり、それを補強するために、具体的な事例などを持ってくる。

マイケル・サンデルのトロッコ問題などが有名だが、学者の提示する具体例は、オリジナルのもの、もしくはまだほとんど知られていないものに光を当てているものが多い。

そして、学者の本がビジネス書と異なる、最大の点は、体系だっていることだ。

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知識が有機的に結びついていて、ひとつの秩序だった体系を構築しているものを"学問"と呼ぶ。

カール・ポパーが論じるように、体系だっている知識は反証可能性に開かれている。

反証可能性とは、正しいのか間違っているのか、第三者の観点から検証できるということだ。

理系でも、人文系でも大学で「学問」と括らられるものは、反証可能性に開かれている必要がある。

だから、学者の書いた本は、反証可能性に満ちているのだろう。

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最後に隙あらば自分語り。

最近読んだ本では国分峰樹『専門性の身につけ方』が、学者とビジネスパーソンの両者の領域を横断をしたような書物だった。

なぜだろう、と気になり著者のプロフィールを見た。広告代理店の電通で部長を務めながら、東大で研究もしている方だった。

領域横断的な活動をしているから、書いたものにも現れるのだろう。 

仕事をしつつ、その分野を大学院で研究し、大学で教える客員教授。

そんな人が大学にいて、そんな働き方がしたくて就活で今の仕事を始めたのだったなと、彼の本を読んで思い出した。

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P.S.好きな短歌を載せます。
弱った時に良く思い出す。
「日向 今日のわたしはよわい 猫を抱くちからがあればじゅうぶんなのだ」谷川電話


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